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18.GLOBAL CITIZEN

日本の作曲家が作った曲がサンノゼのスタジアムに轟いた記念的な1日。
まさか自分の曲がアメリカで演奏される人生なんて...想像していなかった。

二度と味わえないであろう自己肯定感が途切れてしまわないように、何度も何度も頭の中で繰り返し味わっていた。


「自分の曲が?」
「アメリカのスタジアムで演奏される?」
「自分の曲で?他人が喜ぶ?」

自分の曲が誰にも必要とされていなかった人生から180度の転換。
突如訪れる全能感。今までの長きに渡る不遇の人生はこの日の前菜だったのだろうか。

今日くらいは幸せを受け止めていいだろう。
自分のことを認めて褒めよう。

ロサンゼルスに戻り子供の頃から憧れていた場所、ビバリーヒルズで乾杯!

自分の中でのアメリカといえば海外ドラマのロサンゼルスとビバリーヒルズ。それくらいしか知識が無かった。セレブの住むビバリーヒルズに観光で訪れたとしたら、言葉も不十分でチケット代も用意できないpoorな自分では萎縮して楽しめなかっただろう。

でも今日は少し違う。

心の中で「私はミュージシャンなんです」


聞かれてもいないのに「MONSTER DADAのコンサートで自分の曲が演奏されるので日本から見に来たんです」....ドヤ顔。

自信満々。堂々としてる。
「ここにいてもいい人」
「地球に存在していい一員」
一夜だけの勘違いだとしても誰にも遠慮することなく振舞うことができた。

こんなに誰の目を気にすることもなく無邪気に笑うことがあっただろうか。根拠のない全能感が体から湧いてくる。子供の時にしか無かった感覚だ。

もし、自分に自信が持てなくて毎日遠慮している人がいたら伝えたい。
謝ってばかりの人生を過ごしていた昔の自分に会えるとしたら言いたい。

「村を抜け出して違う環境に身を置くと、新たな出会いが逢って自己否定から抜け出すことができるかもしれない。」

「誰かがダメだと否定してきたことも、場所を変えたり人を変えると良いことになる可能性がある」


もっと早く気がつけば楽しい人生だったのに。


でも今日は暗い過去は忘れて祝杯を挙げよう!
ロサンゼルスの日は長く、夜になっても外のテラスで快適に飲食できる。

ただの観光客として、お金を支払ってくれるから笑顔で受け入れてくれるだけなのに、自分が歓迎された気持ちになっていた。明るい能天気な自分に驚く。

日本市民としては爪弾きにされて存在感の無かった自分だけど、地球市民にはなれたようだ。


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