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エッセイ162.河村たかしという「じん」

日本語の人称代名詞について書き続けたいのですが、その前に。

そう悪気はなかったかもしれませんが、金メダルを噛んだあの人。
お茶目な気さくなご自分をアピールできると思って
ちょっと滑っただけかもしれませんが、
ちょっとあんまりだと思うので、やっぱり書きたいと思います。

その人を、河村たかしさんと言って、
長年私の住む名古屋で市長さんをやっています。

私は、2011年の4月6日に東京から名古屋へ引っ越してきました。
なので、あの方、誰だっけ・・・放言・元・都知事の石原慎太郎氏が当選した東京都知事選挙に、タッチの差で投票できず。
そして、これからお世話になる名古屋の大事な名古屋市長選挙にも、投票までに2週間住む必要があったかなにかで投票できず。

自分にとって、意味ある選挙の、せめて一つには投票したかったけどできなかった、悔しい年になりました。

ちなみに、そのときの都知事選では、ジャンピングシューズで有名なドクター中松さんとか、東国原さんとか、マック赤坂さんとか、いろいろ立候補されて面白かったですね。


河村さんは、今回のガブリについて、

「ご迷惑をおかけしたならごめんなさい」

と、やや カマトト風な謝罪をしましたが、ご迷惑をおかけしたなら、の、
この「なら」が、さらにいけませんな。
これだと、悪意はなかったのだが、迷惑に感じる人もいるかもしれない、
それ「なら」、ごめんなさい、って言っていますよね?
こっちに丸投げしたらいかんがね〜、と思いました。

金メダルガブリは、
ご迷惑をおかけした「なら」
どころではありませんね。

金メダルは、若い人が、普通の娯楽や生活をほぼ諦めて、
文字通り血を流すようにして到達した結果の、「シンボル」ですよね。
会ったこともないよそのおじさんの、綺麗そうでもない歯に、
「冗談で」ガブリとやられて、嬉しいわけないですよね。

やられた人が「嫌だ!」と感じる限りにおいて、
ハラスメント認定でございますので、これはもう、

無礼なことをしてしまい、申し訳ありません!
シワばら掻き切ってお詫びを!

と言うレベルですね。

しかも世の中には、自然的な動作と、シンボルとしての動作があります。

辛いもの食べたらヒーヒー言うとか、
箪笥の角に小指引っ掛けたらうずくまってうめくとか、
後ろから「わっ」と言われたら驚いて飛び上がるとか、
そういう自然的動作の他に、
紋切り型の動作 というのがあります。

人を侮辱するときに立てる指ですとか、
呆れた、ということを表すために目を天井にむけるとかですね。

そのセオリーでいくと、金貨を(メダルですが今回は)噛むというのは、

「これが真正の金貨であるかを確認する仕草」

として、古から洋の東西を問わず、行われてきた歴史があります。

金貸が金貨を投げられて慌てて拾い、奥歯で噛む。

「ベニスの商人」のシャイロックなども、偽金チェックのために、噛んでいそうです。

つまり強欲さ・疑い深さ・がめつさ を想起させる、げひ〜んな、動作です。

やっちゃったね・・・・と思いました。

あとあれはなんでしょうか、みんなに怒られて逆上したのかもしれませんが、
「金メダルは憧れだったので」。

金メダル目指して練習を重ねてきた人が言うにふさわしいことを、
言ってしまっていて、ものすごく変に感じました。

あこがれのメダルだと我を忘れて噛んでしまう人なら、
あこがれの選手だったら、かぶりついちゃうのでしょうか。

百歩譲っても、金メダルを一度近々と見たかったとか、
地方自治体の代表として、選手が金メダルを見せにきてくれる、
その気持ちよさを心から楽しみに待っていた、憧れていた、
そういうことなんでしょうかね。

行為と言葉が乖離している良い例です。

ご本人が自分のサイトで何を言っているかに興味を抱き、
遅まきながら公式サイトを見ようとしたら、こうなっていました。


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このかたは、全国的には知られていないかもしれませんが、
名古屋弁をどこでも話します。

広報誌のフロントページも、

どえりゃぁ嬉しいでよう!

みたいな「市長の言葉」が載っています。

売りにしていらっしゃるようです。

投票者の多くを占めるシニアにアピールしているとも、

「この泥臭さがたまらんでしょお」
「親しみがもてるでしょお」

いう意図である、などと言う意見を、
名古屋市および周辺の市部に住む人たちから聞きました。

あの彼の名古屋弁を支持する人はいなくて、
話題になる場合は、批判の的として、でした。

あんな◯品な名古屋弁はないわ。
あのわざとらしさが 嫌。

などは、今まで多々聞いております。

一緒にしないでほしい。
名古屋の人がみんなああ言う人だと思わないでほしい。

も言われたことがあります。

河村氏は、ずっと前に仲良しだった大村知事という人
とも今はうまくはいっていなくて、
全国的に注目されたかどうかはわからないのですが、
河村さんのからんだ、大村さんのリコール運動の署名運動の怪しさで
かなり味噌をつけましたし、お金のかかっている名古屋城についても
もうどうなるかわからなくなっているそうですし、
72歳河村さん、大丈夫でしょうか。

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正式には奥歯で噛むものと思われます。



関係ありませんが、マスクの趣味も独特です。

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有松鳴海絞りの生地を使っているかもしれません。
それはいいことだと思います。
マスクはいろいろ持っていらっしゃって、つい注目してしまいます。


私の一番の河村さんニアミス体験は、2011年、名古屋フィルと共に行われた、
12月のベートーベン、歓喜の合唱付きの「第九」に参加した時のことです。

来賓としてお見えになったのですが、挨拶に立って、

わしゃぁ・・

と始めたので、「広報のとおりなんだ」と感心しました。

スピーチに、

第九みたいな素晴らしいものを聴かせてもらってありがたゃあが、
わしはほんとは森進一のファンだでねぇ〜、
クラシックはようわからんのじゃがぁ〜・・・

と言う部分があったのが印象的でした。
白いブラウスに黒いロングスカートで待機していた私たちでしたが、一緒にいた友達が「またあんなこと・・」とつぶやいたのを覚えています。

なお、真偽の程はわかりませんが、あそこまでクラシックな名古屋弁は珍しく、
あんな喋り方をする人はいない、と言っている人には多く会いました。

河村さんと言う人にとって、名古屋弁や、強いキャラクターは、
きっととても大事な要件なのだろうなと、広報を見るたびに思います。

全国に取り上げられたことですので、私も書いておくことにしました。

文中、小意地の悪い部分が何箇所もありますが、
そこまで悪気はないので、お許しいただきたいと思います。




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