日本語教師日記104.日本語教師の師走
上級の生徒に、「師走」の意味を教え始めました。
「Aくん、12月のことを、しわす と呼びます。
日本に来てから、聞いたことがありますか?」
ーーあると思いますが覚えていません。すみません。
「いやいや、すまなくないですが、・・漢字はこれです。
はい、師走、と。意味が想像できますね?」
ーーすみません、わかりません。
「あらそうですか? じゃ、私の仕事は?」
ーー日本語の先生?
「そうなんですけど、もう少しフォーマルに言うと、日本語教師ですね」
ーーあっ、なるほど。日本語の先生が、走るんですか? なぜですか?
「いやいや、日本語教師に限らず、
「師」と呼ばれるような人たちも、忙しく走り回る季節だ、
という意味だそうです。
さっき調べてみたら、
【尊師であるお坊さんが、家から家へと走り回ってお経をあげる季節だから】
という説をみつけました」
ーー12月は、お坊さんがたくさんお経をあげるシーズンですか?
「どうなんだろう。お坊さんが忙しいのはお盆だと思うのですが」
ーーあ、お盆ですね。祖先の霊を慰める期間ですね?
「その通りです。よく覚えていました。
でもAくんは、なんだったら、
『綺麗で頭のいい、素敵なtamadoca先生も、忙しがって走り回る季節』
と覚えてくれてもいいですよ」
ーーはい、そうします。覚えやすいですから。
「でしょ?」
Dさんは小さなお子さんの2人いる若いお母さんです。
「娘さんたち今は? 1歳と4歳半ですか。
可愛くていいですね。何をあげても喜びますしね」
ーーそうです。簡単です。
下の子は、プレゼントより箱やラッピングペーパーを喜びます。
「猫ですかそれは」
ーーはははは、そうそう! 猫と一緒に、よく箱に入ってますね。
「で、今年はどちらのご両親の家に行くの?」
ーーあ、先生、最近私の両親が近くに越してきたので、
行くとしたら、迷わず主人の方なんで、気が楽になりました。
「じゃあ、感謝祭かクリスマス、どちらかに行けばいいの?」
ーーそうそう。
「よかったね!」
日本ほどではありませんが、奥さんとご主人のどちらの実家のほうに、
いつ行くかで、結構頭が痛い時もあるそうです。
感謝祭、サンクスギビングはアメリカのもので、
クリスマスと1ヶ月ほど違う、11月末の行事だそうです。
クリスマスのように、遠方に散っている家族も帰省します。
どちらもターキーやアップルパイ、パンプキンパイを食べるそうです。
もうちょっと間が空いてたらいいのにな、と言っている人がいました。
一方、子供ちゃん生徒の姉弟は、ユダヤ教徒御一家です。
ハヌカという行事が12月にありまして、
故事にちなんで、毎日1つずつ、8本キャンドルに火を灯していったり、
一つずつプレゼントをもらったり、ハヌカで食べる食べ物も決まっているそうです。
「君らはこの前、ハヌカでたくさんプレゼントもらったけど、
クリスマスにも、またもらうの?」
ーーもらいません。
「さすがにそうか。
あ、そう言えばなんか、他の生徒なんですが、
クリスマスには中華を食べると言っている人がいたなぁ。
中華・・・なぜかしら」
ーーその人、ユダヤ人ですか?
「そうかな? そうそう、ユダヤの人だわ」
ーーユダヤ人はクリスマスをやらないんですけど、
クリスマスは食べるところが開いていなくて、
やってるのはチャイニーズぐらいだから、テイクアウトします。
「そうなの? 初めて聞きました。じゃあ、あなたのうちでは今年は中華?」
ーーわからない、中華だったりKFCだったり、空いてるところを適当に。
「なるほどねぇ・・・。テイクアウトの中華って、
なんか上に向かって広くなっていく紙の箱に入っているよね」
ーーそうです。
「ビッグ・バン・セオリーとか、他のアメリカのドラマ見てても、
あれを開けてみんなで食べているシーン、多いじゃない?」
ーーうん、多い。
「先生、あれを一つのテイクアウトのお店だと思ってたから、
すごい巨大ビジネスだなぁ、って思っていました」
ーー違います、箱が同じなだけです。
でも、何でもあれに入ってるから、
あの箱を作ってる会社はひとつかもしれない。
「だったらすごい大成功の、大金持ちの会社だね」
ーーそうですね〜!
これですね。
なんと日本のアマゾンで買えます。 結構高い!
「Sさん、来週はどうしますか?」
ーー何も予定はないのでお願いします。
「Mさん、来週はどうしますか?」
ーー1時間遅く始めてもいいですか?
「いいですよ、じゃ、また来週」
Nさん・・・
ともあれ、全員に言うのは、
がんばりましたね。
キャンセルもほとんどなく・・
我慢強い生徒さんでいてくれてありがとう。
楽しいクリスマスと、年末年始をお過ごしください。
また来年!
元気で会いましょう。
サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。