見出し画像

日本語教師日記173.新年から勉強になりました (1) マルクス・アウレリウス

私の生徒の中には、ほぼ日本語だけで話せる上級者が結構多いです。

今日は、日本での勤務経験もある生徒さんに、
最近、印象を受けた本を聞いてみたところ、
マルクス・アウレリウスの「瞑想」を 勧められました。

なんかこの人の名前に聞き覚えがあるなぁと思ったら、
よくあることですが、漫画から知っていた人でした。

このかた、テルマエ・ロマエ に出てきます。
古代ローマ五賢帝の最後の一人だそうで、
お名前は、マルクス・アウレリウス・アントニヌス という、
なんだか言いにくいものです。

生徒のいう「瞑想」は、彼の唯一の著書で、
かつて日本では「瞑想録」という書名で訳されていましたが、
今では「自省録」として、読むことができます。

ストイックの語源となったストイシズム(ストア派)の考えに精通した人で、
この「自省録」は、自分の学んだことや考えたことのメモ的なもので、
読みやすいとされています。
(でも、読みにくいそうです)

「嫌われる勇気」のアドラー心理学と通ずるものもあるそうです。
漫画の中のマルクス・アウレリウスの顔は思い浮かびますが、
読んでみないと、どういうものか、想像がつきません。

そこで生徒に、

「私でもわかるような日本語で、内容を説明してください」

とお願いしたら、教えてくれました。

「先生、是非この『瞑想』を読んでみてください。
先生の人生に、とても役に立つと思います。

マルクス・アウレリウスは、ローマの天皇・・・天帝?
なんですか?

(皇帝ですね)

ありがとうございます、ローマの皇帝で、
この本の中には、ストイシズムの考えがたくさん出ていますね。

彼によると、人間が達成するべき四つの・・・virtueは日本語でなんですか?

(徳、ですね)

そう、人間が達成すべき徳が四つあるそうです。

それは、・・・先生、wisdomは?

(知恵ですね)

その知恵と、勇気と、moderationは?

(節度とか、温和とか、適度・・節制とかですね)

えーと、

知恵と、勇気と、節度と、公正さを、自分の中に獲得すべきです。
それが達成できれば、他の人が何を言っても、何をしても、
自分は気にする必要はない。

この四つの徳に集中できれば、他の人はどうでもいいです。
人生は短いのだから、他の人に褒められようが叱られようが、
そんなことは自分には意味がない。

徳を得た人間として、社会に役立つ人間になることが大切なのです」

ひょえ〜・・・

世の中には語学の天才がいるもので、この人も、
3つ4つ知らなかった言葉を除けば、以上のようなことを、
澱みなく私に説明してくれることができるのです。

ちなみに、お仕事が金融関係なので、普段は一緒に日経の記事を読みます。
すると、だいたい私には、50〜90%はちんぷんかんぷんなのです。

知らないことを知ったように教えることはできませんので、

「では、この記事の内容を、幼稚園児にもわかるぐらいに
噛み砕いて私に説明してください」

とお願いしています。

そうするとこの人は、私の顔を見れば、

「解っていない人が、どのぐらい解っていないのか」

ということが、つぶさにわかるようです。
痒いところに手の届くようにして、教えてくれます。

申し訳ないというか、大変だと思いますが、

「いいえ先生、勉強になります! 」

とのことです。

ただ、せっかくよく解説してくれても、私はすぐ忘れますので、
毎週毎週、同じようなことを訊いてしまいます。
Mさんいつもごめんね。

私は覚えてほしいことや説明は、
しゃべりつつ聴きつつ、同時にGoogleDocsに入力していますが、
こういうときは 手書きでメモを取っていきます。
聞き逃して、書き逃すことも多いですが、
話が一段落してから、もっとディスカッションを進めるとき、
大変役に立ちます。

こういうものです。



変な絵がありますが、
(日本語を教える時は、タケヒゴ人間」と言われるそうです)
先日、友達とHSPの人について話しているときに描いたものです。
マルクス・アウレリウスの話の後に、HSPの話が出て、
ひょんなところでこれが役立ちました。


この生徒さんや、上級者の人は、独学でどんどん語彙を増やし、
たくさん本を読んだりしていますので、
レッスンはディスカッション形式になります。

たいてい、レッスンを終えるときは、

授業料をいただいていて申し訳ないですが、今日も勉強になりました。

と私が言い、

とんでもありません、こちらこそ。

と返ってきます。

上には上がいるなあと感じる瞬間です。

続きます。


一期一会ということですね、マルクス様・・・・

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。