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日本語教師日記その12.オンラインレッスン(1)

  

日本語オンラインレッスンを始めて10年が経ちました。
それは、夫の転勤で、2011年4月に東京を離れたのがきっかけでした。

長年所属していた2つのエージェント、1つの日本語学校。
その同僚や生徒、懐かしい教室に別れを告げて来たわけですが、
日本語の仕事はさて、どうするか。

転勤が決まってから、日本語教育能力検定の合格証書を添えて、
オンラインレッスンも取り扱う紹介業に登録しておきました。
とにかく、オンラインレッスンという未知の世界を、
名古屋についたら早く経験しておきたかったからです。

名古屋の日本語教師の方にお話を聞く機会もすぐにありました。
愛知県は製造の町であって、外国人のみなさんの数も多いけれど、
昼間に余裕を持って日本語を習える人は多くはない、
ということを教えてもらいました。
日本語学校も当時は少なく、
「小さいパイを取り合う感じです」
と言われたことを覚えています。

今ネットで検索してみますと、就学生向けの日本語学校が多くできています。
自宅から自転車で行ける場所にもありました。
しかし、私はオンラインレッスンで伸びていきたい気持ちがありました。

スカイプレッスンでやってみたいという人を紹介されていましたので、
未開封の段ボールだらけの居間でラップトップを開き、
初めての日本語オンラインレッスンをやってみました。

これが残念ですが、うまくいきませんでした。

私の方は、上り下りの船人が♪ 当時でも最高に速いWiFiと、
接続が切れてしまったときを見越して、
デスクトップ1、ラップトップ2 で用意していました。

対する生徒の方は、地下室で、子供に下げ渡したPCです。
繋がらないとか、映像がモザイクとか、音声と画像ののずれとか、
そこまでではないのですが、やはりレッスンが快適にはできません。

それよりもいけなかったのは、私が少しの事前練習で 
オンラインのレッスンでいけると早々に思ってしまい、
その難しさをきちんと理解していなかったことでしょう。

zoom飲み会や会議が普通のこととなった今でも、
オンラインを苦手とする人は多いと聞きます。

その理由はいろいろあると思います。

すっぴんを見られたくない
部屋が散らかっている
なんだか気持ちがゴタゴタして、苦手感が大きい、などでしょうか。

私の意見ですが、「スムーズに会話が進行しない」。
この体験が複数回続くと、苦手になってしまうと思います。

人は、喋ろうとすると、どんな人でも「すっ」と息を吸い込みます。
お互いに、話し出そうとする人の、眉の僅かな上下、
顎がすっと上がるなどの小さい変化に気づき、話す機会を譲り合います。

それで、「話し始めがぶつかりあう」ことが起きにくいのですが、
それが、画面越しだと伝わって来ません。

同時に、

あの・・
あの・・

で、同時に、

あ、ごめんなさい、どうぞ。
いえいえ、どうぞ。

こういうふうになりませんか?

二人以上になるとそれがもっと顕著になります。

そして、
・人とかち合っても、構わず話し続ける人。
・逆に、かちあうと、必ず譲る人。
・人が話し出していても止まらずに、
 声を大きくしてブルドーザーのよう話し続ける人。
・人の話の途中でも普通に話し出す人。
・遠慮がちなので、ずっと黙っている人。
・人が黙っているので、そうか いいのかと思って、
 話し続ける人。

いろいろなタイプが生まれます。
zoomシャイの人、オンライン強者・弱者ができるゆえんです。

これがリアルなら、多人数でもここまではぎくしゃくしません。


さて、私の記念すべき初めてのオンラインレッスンは、
始めてすぐに、この「ぶつかり合い」が起きてしまいました。
いかんいかんと思って引き気味にしてみますと、
生徒も同じように引きますので、だんまりが生じる。
バレーボールでいう、「お見合い」が頻繁に起こります。

あ、すみません。
Oh, sorry.

の繰り返しです。

残念ですが、この生徒は1回目を経験した後、

やっぱり自分はリアルのレッスンの方がいいので・・

と断って来ました。

これがずっと教えてきた生徒相手なら、

いやぁ、難しいね。話の切れ目にお互いちょっと待たないとだめだね。

そうですね、そういうふうにやってみましょう。

という具合になっていたかもしれません。
(あのときのタムさん、ごめんなさい)


この経験で、私は「オンラインでの適切な方法」を試行錯誤し、
ガラパゴス化への道を歩み始めたのでした。

日本語学校の現状を、各地の日本語講師仲間に聞きました。
今年4月に来日・入学を計画していた生徒がコロナで来られなくなり、
レッスンが全く無くなる人が続出しました。

自分が学校まで行き、一室から授業のライブ配信をする人もいます。
(せっかくのオンラインの特性を活かし、自宅からできると良いですね)
また、今までの生徒と、オンラインに切り替えて継続する人もいます。

・動きはマペットに学べ。
・視線はどこに据える?
・接続困難についての対応
・教材と板書はどうする
・ネット教材の使い方

など、お話ししてみたいと思います。



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