日本語教師日記39.法則を知れば怖くないー①「ね」「よ」「よね」について
海外の日本企業に勤務するSさん、本当に日本語が上手になりました。
間違いが多少あっても、仕事の上で、ここまで通じれば大したものです。
宿題もきちんとやって、キャンセルもなく。😌
生徒界の大スターです。
その彼の最近の悩みが、
「私はときどき、日本人の上司やお客様に、
失礼なことを言っているかもしれません」
ということです。
「ね」と「よ」と「よね」の使い方に自信がなく、
ときによると、注意されたりすることもあるそうです。
日本語の「よ・ね・よね」の使い分けは、とても難しいと思います。
考えずに、ずれない使い方をするには、
相当 日本語での会話の修行を積む必要があるでしょう。
です・ます調で きちんと丁寧に話していると、
堅苦しいとか、誰もそんな話し方はしないと言われがちです。
それなのに、やっと慣れてきて、ね、よ、よね、と使ってみると、
とても上手に聞こえるだけに、
それはちょっと・・・と指摘されてしまうこともあるのでした。
よ・ね・よね・は、外国人にとっては「音」にしかすぎませんので、
ぴったりした文章にたくさん触れて、考えなくてもすっと出るようになるまで、頑張るしかありませんね。
Sさんには、こんなふうに一緒に勉強してみました。
【〜ね にはどんな意味があるでしょう】
話者は、話している相手が、自分の言ったことに賛成するかどうかを知りたい場合があります。
あなたもそう思いませんか?
これでいいですか?
の気持ちが入っています。
「おいしいですね」
「そうですね」
「暑いですね」
「ちょっと高いですね」
「そうですね。他に行きましょうか」
また、相手の状況について、寄り添う気持ちも表わせます。
「むすめさんは日本にいるんですか。それはさびしいですね」
「そんなことまでやっているんですか? つらいですね」
⭐️親近感を持てる。優しい話し方。押し付けがましくない。
使いすぎるとちょっとうるさい。
【〜よ について】
話者は、そのことを、事実として知っている。
または、確信がある。
事実でないとしても、強くそのことを言いたい。
強く響くこともあるが、頼もしい感じも聞き手に与えられる。
コンテクストによっては、失礼な感じも。
人を責めるときに使うと、感じが良くない。
使わない方がいい例
これはぼくがやったんじゃないよ。
彼がやったんだよ。
それはまちがいですよ。
そんなのだめですよ。
目上の人に対して、どう言っていいか判断しにくいときは、
よ・ね・よねなどを言わず「ですます調」で話せば安全ではあります。
「よ」は、相手を思いやり、安心感を与えたい時には有効。
よい例:
少しぐらい失敗してもいいんですよ。
これぐらい、だいじょうぶですよ。しんぱいしないで。
【〜よね とは】
話者は、自分の言うことを事実として知っている。
自信がある。ためらわずに言うつもりである。
と同時に、相手の気持ちを思ったり、確認を取りたい場合もある。
例:
会議は明日でしたよね?
あなた、たしか今日は休むと言っていましたよね?
出てきて大丈夫ですか?
以上は、お話をしながらポイントをGoogleDocにメモしていって、
一緒に見ていって、確認してもらったものです。
その後、今一つわからないということでしたので、
明らかに間違いである文と、正解とを比べながら精読しました。
↓
【ね】
⭕️ いい文
これはおいしいですね。
明日は大田さんの
かんげいかい(welcome party)ですね。
たのしみですね!
そうですね。
ほんとうにたのしみですね。
❌ 悪い文
A:Bくん、Bくんも かんさ に来る?
B:はい、❌来ますね。
(⭕️はい、行きます。⭕️はい、うかがいます
⭕️ はい、まいります。 all these with よ is OK)
A:Bくんのこどもさんのおなまえは、ケンくん?
❌B:はい、そうですね。
(⭕️はい、そうですよ・はい、そうです)
A:Bくんは韓国人ですか?
❌B:はい、そうですね。
⭕️はい、そうです。
【よ】
⭕️A:Bさん、さいふを わすれていますよ。
B:あっ、ありがとうございます。
⭕️A:あのおまつりはおもしろいですよ。
いっしょにいきませんか?
B:そうですか。いきたいです!
⭕️A:Bさんは、いそがしすぎますよ。
もっとゆっくりやすんだほうがいいですよ。
B:いやぁ・・・でも、しごとがいっぱいあって・・
⭕️A:それでも(Yet, still)、
びょうきになったら たいへんですよ。
やすめるときは、どうぞ やすんでください。
「〜よね」は、例文を読むほどに、会社でのあれこれを思い出し、
すごく納得できたと言っていました。
【よね】
⭕️
A:Bさん、カラオケコンクールに出ますか?
B:いいえ、はずかしくて・・・下手ですし・・
A:そんなことないですよ。
( A san talks to C san now. )
ねえ、Cさん、Bさんのうたは じょうずだよね?
C:うん、そうだよ、じょうずだよ。
( C san is talking to D san.)
ねえ、Dさんも そうおもうよね?
D:うん、思う思う!!
❌ bad example.
↓
ぶちょう:Aくん、あしたラインのテストだけど、
じゅんびは できてる?
KP:はい、できてますよね。❌
先生:S、こんしゅうのレッスンは
にちようび でしたっけ?
KP:そうですよね。❌
このあと、リクエストにより、3週連続でテストをしましたが、
90点から始まって、2回目・3回目は満点でした。
彼は今、「はっきり言い過ぎない練習」と、「主語を言う場合、言わない場合」について鋭意勉強中です。
「日本語は、勉強をすればするほど難しくなります」
と言っていますが、諦めずに頑張り続けています。
応援しないわけには行きません。
サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。