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エッセイその5.インセプションをもう一度観るの巻

2020年9月10日の水曜日。
大雨の中、次女の車に乗せられて、
今年初めての映画館に行ってきました。

ただでさえスカスカの作りのIMAX上映館が、
当然ですが、一人おきの着座です。

往復の手段が車なら、まあ大抵大丈夫か。

・・自分を説き伏せ、かなり悩んでから、
行って観てきたのは、

「インセプション」。

私にとってこの作品は、

「薔薇の名前」
「マルホランド・ドライブ」
「イグジステンズ」

などとともに、もう一回観たいんだけどしんどい、
と思ってしまう映画の一つです。

これらは、みんな、ストーリーが入り組んでいたり、
2時間半とか3時間だったりします。

「マルホランド・ドライブ」なんて、
デビッド・リンチが意地悪で、わざと混乱する作りをしています。
主演女優二人を、途中で役を入れ替えたりしているそうです。
(観ていたのによくわからなかった私・・)


以下は、古い映画ではありますが、
これから観る方にはネタバレになってしまい、
観たことない、観る予定もない方には、
ただ普通にわけがわからないので、ごめんなさい。

自分の覚書のために、書かせていただきます。


さてこの「インセプション」は、
数ある「最後までわからない映画」
の中でも最高にややこしい作品です。

なので、リベンジを賭してもう一回、またもう一回と
見るたびに、

今度こそは!
わかってやる!

と意気込むのが常です。

今回の鑑賞は、臨場感あふれる映像技術である上、
座席も一人置きだから集中できそうです。

IMAXの素晴らしさもそうですが、
コロナウイルス禍での映画鑑賞。
初めて経験しましたが、
隣にバッグを置き、飲み物だって2つ買っても平気で、
冬は どさっとコートも置けるし、
両肘を どすっと肘掛に置いたり、
腰が痛くなって もぞもぞすることもできるし。

映画館には申し訳ないけれども、最高でした。

そして、さすがに5回目なので、
今度こそ全容がわかるだろうと思って、
乗り出すように見始めました。


いや〜、IMAXすごいわ。
もう、呑みこまれました。
映画の中に入ってしまった感じです。

ケン・ワタナビ〜

と言われがちな渡辺謙さんも素敵だし、
何しろ、ジョセフ・ゴードン・レヴィットが素晴らしい。

デカプリオについては、
「昔から童顔だったな〜」
でした。

一つの伏線も見逃すまいと、
ドライアイになるぐらいにじっと観続けましたが、
やがて佳境に入ってくると、怪しくなってくる。

上のレベルに行ったり、下のレベルに行ったり、
どこに行ってもバリバリ攻撃されるのを、
出演者全員、すごいスタミナで迎え撃ち。

そうこうするうちに、一番上の方のレベルで、
やっと「キック」のために橋から落とすヴァンが、
10分経っても20分経っても、一行に川面に落ちず。

そのうち、

ヴァン!
遅ぇ!

としか思えなくなってくる頃、
いよいよ、私の頭も混乱してきました。

だいたい、出演者一同、時計もないのに、

一番上ではあと1時間だけど、こっちでは2週間だ

とか、

何の根拠もないのに、

遅すぎる

とか、

あと何分でキックだ

みたいなことが言えるのでしょうか。

私が何か見逃しているのか、と思うため、
ずっともやもやし続けます。

やがて、この「もやもや感」を素直に楽しめばいいのだ・・
   という境地に至ります。

いつものように、最後の1時間ぐらいはすっかり諦め、
体重をかけるとふわふわ前後するシートに身を預け、

まあもう、いいや!

となってしまいました。

私が大好きなのは、やっぱり、
ジョセフ・ゴードン・レヴィットが、
どういう撮影方法を使ったかわかりませんが、
ホテルの廊下を、人魚姫のように飛び回って戦うところと、

あと、ジョセフだけ、みんなの中一人だけ起きていて、
別に深く相談をしたようにも思えないのに、
次にやることをよくわかっていて、
次々とあっちの部屋に入ったり、
こっちでみんなをぐるぐる巻きにしたり。

全て理解しての上の行動をしているらしく、
そこが痺れます。

耳は多少尖っていますが、そこも好きですし、
あれだけ大立ち回りをしたり、
落下していくエレベーターに乗ったりしても、
オールバックの固めた髪の一筋の乱れもない。
本当に最高です。

あと、見ていていつも気の毒になってしまうのは、
インセプションのターゲットにされた、
大企業の後継のロバート・フィッシャー君。

何も知らないで、登場後5分で眠らされ、
夢の中では頭に袋をかぶせられたり、
毒親の父に接して涙したり、
理解者のおじさんが、いい人か悪い人か混乱したり、
急に撃たれて(そこのレベルでは)死んだり、
やたら寒いところで走り回らされたり。

私なんか、自分にすごく体力がないので、
もしハリウッド大作のパニック映画などに出ると、
始まって3分ぐらいですぐ死にます。
みんなが飛べた崖が飛べなかった、
というような、情けない死に方になります。

なので、何も知らないで七転八倒するロバートが、
本当にかわいそうで、感情移入をします。
ちなみにロバートは、中学3年間、途中組変えがあったのに
ずっと担任だった、青木先生に似ています。

さて、・・というわけで、今回もいつもと同じように、
首をひねりながら映画は終わりました。


そして、私の中でいつものように、

「コブの奥さんが、結局全部悪いんじゃないの?」

という気持ちが沸いたところで、終わったのです。

全部を彼女のせいにしたくなるのです、なぜか。


それにしても「インセプション」を観たみなさん。

一つだけお訊きしたいのですが、
あの最後のシーン、

「ちょっ、そりゃないよ!」

って、思いませんでしたか?

誰でもそう思いますね。

ああ、疲れた!

(駄)で、申し訳ありませんでした。

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