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日本語教師日記89.子供生徒と一緒に作るJamboardで、言葉増やし

ジャムボードについては、ときどきご紹介してきましたが、
今日も有効に使って、楽しい授業ができたというご報告です。

よく登場してもらう、中学生弟君と高校生お姉ちゃんの日本語レッスンです。

一番大事なのは、助詞を間違いなく使うことと、なんと言っても語彙をふやすことです。

今日は、「誰かについて、とことん日本語で話しましょう」というやりかた。
知らなかった言葉を見つけて自分で辞書で調べる。
ひらがな入力をしてから漢字を見つけ、書き込んでいく。

特に漢字ですが、私たちは小学校1年の時から、漢字練習ノートに一つの漢字を10も20も書きましたね。学年が上がるごとに、マス目が小さくなってうんざりしたものでした。
確かに同じ漢字を、一つの線、一つの点も間違えなくなるまでたくさん書くことは有効でした。
もちろんそれは、国語だけではなく、全ての教科に連結して、どんどん遠慮なく出てくる漢字の読み書きができるようにするためです。そうでないと日本で日本人として、大袈裟に言うと、生きていけません。漢字が読めない人は、日本では残念ながら文盲に近いのです。毎日毎日、勉強でも娯楽でも、同じ漢字を繰り返し読み書きしますから、外国人から見て驚異的な数にのぼる漢字も、みんななんとか読めるようになっていく。
それが日本人と漢字。

けれど、日本語学習者泣かせなのは、日本語を読む量が圧倒的に少ないですので、覚えたそばから忘れていってしまうことです。
私は、せっかく覚えてくれたのに忘れてはもったいない、なんとか同学年の日本の子供と同じぐらいには漢字を習得してほしいと思っていました。
そこで、子供生徒に対して最初は、言葉と漢字をレッスンごとに必ず覚えるように課し、繰り返し授業でも出し、テストも続けてきました。でも、「覚えても使う機会がない」という事実に阻まれ、せっかく費やすエネルギーと時間がなかなか実を結びにくかったです。

今は、

ひらがな入力をしてもらう⇨漢字の選択を見てもらう⇨この言葉にはこの漢字ですよと教える

というやり方をしています。
たびたび出てくる漢字を、ビジュアルでざくっと、文脈の中で覚えてもらおうというところです。これをすると、かなり画数の多い漢字でも「見分けられる」ようになっていくという感触を得ています。


今日はお姉ちゃんには:

力士の写真を貼り付けたジャムボードを用意し、あらかじめ質問を仕込んでおきました。私が作ると、あとから「?」がたくさんついてしまいますが、そこは無視してくださいね。

質問の答えを口頭でまず言ってもらい、その後自分でカードに入れていってもらいました。

お相撲さんの名前には「〜山」とか「〜の海」とつけるのが多いですと教えたら、「てり山」と命名しました。
なんで てり?
照り焼きの「てり」だそうです🤣

一通りやってみると、知らない言葉がとても少なかったのがわかりました。
すもうのリングは「どひょう」、朝のトレーニングは「あさげいこ」。

おすもうさんの一日もお話ししました。
朝ごはんを食べる前に稽古をし、あとでちゃんこのドカ食いをするわけ。
ちゃんこにはイタリアンちゃんこがあるとか、自分なら何を入れたいとか、話もひろがりました。

両国にあるキングサイズの力士のお洋服のお店のことや、
断髪式や新弟子検査、
「金も女も土俵の下に埋まっとるんじゃ!」
などと言うことも、来週教えたいと思います。
お姉ちゃんの授業では、ほぼ英語を使わないようになってきました。

助詞はまだまだ混乱しますので、ときどき溜めておいて直しています。


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弟くんには、全てのパソコン操作を任せました。
写真の背景を取ってしまうとか、カードにではなくてテキストで入力するとか、いろいろやってくれるので、私が動かしているのは口だけです。大変楽です。


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弟くんがUSに引っ越したのはまだ幼児の頃だったので、いわゆる構文が短いです。また、自分で自由に話してもらうと、話せる範囲の中だけで話していることになります。本当は言いたいこと、言えることが、たくさんあるのでもったいないです。

そこで初めに、

「ドラキュラから私たちに、質問をしてきています」

という設定をして、英語でその質問をまず書いてもらいました。
そのあとそれを、翻訳してもらいました。
本当は、昔から「訳(ヤク)は癖になる😱」と言って、直接法で教えるのがよいとされていますが、彼の場合は日本語のベースがしっかりしているため、訳のために混乱する危険が少ないのです。また、「英語なら言えるけれど、日本だと言えないです」とよく言いますが、言いたいことを引っ張り出して、それをなんとか、知っている言葉で表してみるというやり方が、この若い脳には有効だとわかってきました。

二人とも手を動かして、退屈になりがちな日本語レッスンも、少しは楽しんでもらえたかもしれません。
お互いの知らない言葉や文物を、さっと検索して画像や動画を見せ合うなど、昔は考えられなかった授業のやりかたになっています。
長くやってきてよかったなぁと思うのはこんな時です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今日はこれで・・

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。