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日本語教師日記77.学習を邪魔するもの

昨日は中秋の明月。皆さんのお宅の窓から、綺麗なお月様が見えたでしょうか。
月餅は、中国でお月見、中秋節のときに食べるものだそうです。
私は中村屋の月餅が大好きです。
この投稿に関係ないけど、写真も載せました。


さて、今日の話題です。

日本語を教えていて よく、
「それをしなければ、もっと楽しく勉強できるのではないかな」
と感じることがあります。

これはその人のタイプに根差すことなので、
レッスンを通じ変えてあげることはほとんどできません。
言ってあげたほうがいいのかと悩むことが多いですが、
ストレスを倍増させそうなので、難しいと感じています。



以下はプライベートレッスンに限った話ですが・・。

一つは、「気が散りやすい性格」ということです。
一つのことを習っている最中に、

あっそうだ、聞きたいことがあったんです。
あっ、ちょっといいですか?

これは誰にでもあるのですが、
そして、思い出したときに言ってきていただいていいのですが、
これが次から次だと、授業の流れが阻害されてしまいます。

そういう人は、基本的にじっくり温めて取り入れるのが苦手で、
教科書を買い込んで溜めていたり、教師をよく変えたりしています。

焦っていたり、慌てていたりして、先へ先へと気持ちがいくことも多いです。

あっ、自習していて出てきたのですが、
助詞が2つ一緒になっているのがあるんですよね?
 のに、のが、のは、のを とか。
どういう意味ですか?

などと突発的に質問が出ます。

こういうときは、

「今は少し早いと思います。
これから動詞や形容詞の活用を勉強して、それがマスターできたらやりますよ」

と言いますが、それだけではにべもないですし、
好奇心や やる気があふれていて、
いろいろ知りたくなっているわけなので、そこも尊重したいです。


そういうときは、こんな感じになります。

「ちょっとだけお話ししますね。
このあと、「辞書の形」というのを勉強します。
実は、毎日お友達から聞いている形です。
食べる、飲む、行く、などですね。

「カタカナはむずかしいです」
この文はもうわかりますね?

では、It is hard to go there now.  
のような文ですが、まだ勉強していませんから、言えませんよね。

これは、「今そこに【いく】のは むずかしいです」
というふうに言います。

あなたの知りたい「のは」は、ここで初めて出てきます。

のは、のが、のに、のを・・と、の以下の助詞がいろいろくっつきますが、
それは、次に言う動詞によって、決まってくる助詞なんですね。
この辺り、数学みたいにかっちりしているから、覚えやすいですよ。

ということで、ますの形がしっかり使えるようになったら
辞書形を勉強しましょう。
楽しみにしていてください」

というふうにお話ししています。

(私が教科書をあまり使わないのは、辞書形の出てくるのがずっと後だったり、
本によっては、て形、ない形の後に紹介されたりするから
ということもあります。)


もう一つは、「間違うことが悔しい人」という言葉で表現できるタイプです。

間違いを直されたりするのに対し、ストレスが大きいと思われます。

ずっと答えられなかったり、間違ったりして、助け舟を出そうと私が口を開きかけると、

ちょっ!

とか、

あたたた!

とか、それぞれの国の言葉で言うところの、
だまって!
いわないで!
に相当することを言います。
手をぱっと開いて stop!! という仕草をします。

でも、出てきません。
待っていますと相当してから今度はちょっと怒ったように、
はい!
なんですか!
言ってください!
という人も結構います。


答えなり、忘れていた単語なりを私がいいますと、

あっ、もちろんそうですよ、わかっていました。
知っていたのに。
覚えているけれど、今に限って、忘れていただけです。
昨日はわかっていたのです。

というようなことを言います。

熟語で、一文字目だけ、二文字目だけ読めた場合は、

もちろん知っていたのに。
意味はわかるんですが。
発音はできないけど、漢字はもちろん知っています。

のように言うことが多いです。

かつて、珍しいのですが、訂正されたこと全てに、

I knew it.  わかってたんです。

と言う人がいて、本当に彼の中では、
(実は私は全部わかっているが、たまたま今間違えただけです)
という気持ちがいつもあるのかなと思いました。

私はわりと単純なので、何をやっていても 間違いを指摘されたら、

あっ、間違えた! 
あっ、そうか!
どうもです!

としか思わないのですが、上記の生徒たちのように、
「本当はわかっているのに」と感じやすいのなら、
気持ちも辛いでしょうし、エネルギーも余計に使っているような気がします。

ちなみに、「正しいか・そうでないか」「思い出せたか・出せなかったか」
「答えが合っていたか・そうでなかったか」
にこだわる人は結構います。
勝負師なのかもしれません。

長文読解をドリルで練習しているときなど、
全体を把握しているかを知りたいので、一緒に精読したいのですが、
解説しようとすると拒む人がいます。

あっ、いいですいいです
わかってますわかってます。
もうわかりました。

と言う言葉をよく聞きます。


4択問題などでは(そして大抵が4択なのですが)、
問題よりも答えのチョイスばかり見ていて、
合っていれば「やった! はい次に行きましょう」となりますし、
間違っていれば、今度は「こんなわかりにくい問題はできるわけがない」
と思う方へ気持ちが流れがちです。
とても残念です。
なんとなく鬱屈しているタイプの人は、新しいことが入っていきにくいです。

ヤマカン頼りの人には、
(最初はゆっくりでいいから、じっくり読んで理解してほしいなぁ)
といつも思います。
損しているのではないでしょうか。


ちなみに初心者でよくあるのが、おくりがなで 読み方を「当てよう」とする人です。

「読みます」を、「のみます」と間違えたところへ、
私が「違いま・・」と言いかけると、

「あっ、違った、よみます、よみますです、もちろん知ってました」

と言う、こういう場面はよくあります。
(申し訳ないけれど、これだと私の方にも、ややストレスが・・😅)

けれど、これは漢字がすぐに増えてきて、できなくなるので大丈夫です。


さまざまなタイプの学習者がいますが、
みんな頑張っていますから、
できるだけ(お互いに)ストレスを感じずに勉強できるよう、
いろいろな工夫をしたいところです。

まとまりがなくてすみませんが、今日はこれで。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。



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