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日本語教師日記198.自分の英語が恥ずかしい件(下)スミマセンワカリマセン

上は、今読んでいる本です。
両方とも素晴らしいです。

さて、前回、自分の英語が恥ずかしいという話題で始めました。

オンラインでしか会ったことのない生徒が、私の英語を、
「tamadoca先生はバイリンガル、と思い込んでいるレベル」
で話してきます、困ります、という話です。

日本語教師としての昔々は、生徒は100%、対面でしたので、
私の英語のレベルのほどは、だいたいそのうち、
わかってもらえていたと思います。
教室では英語は使わない約束でしたしね。

対面という、機械を通さない「地の自分」同士が向き合うレッスン。
そこでは、前回も書きましたが、輪郭のはっきりしすぎた、俗にいう「ティーチャートーク」をしなくても、お互いに通じます。

一方、人工的な学習環境であるところのオンラインレッスンは、びしっとお互いに向き合い、多くはヘッドセットを通し(私は使いませんが)、なんかこう・・待ったなしというか、剣豪同士の立ち会いみたいに、気迫があると言えば言えるが、いっぱいいっぱいな感じになりがちなのは、否めないところ。

そして生徒は、機械を通して見る私のジェスチャーや、両手の指を使っての発音指導を見逃すまいと一生懸命見つめてくれます。
私の話すことも、集中して聞いてくれる。
同時に自分からも、はっきりと、ゆっくり目に話してくれる。
1対1ですので、生徒の言う事がわからなかったら、
Sorry, I'm not with you.
と言うことができる。
(この、「私はあなたと共に居ない」が、「わかりませんでした」に当たるのは、言い得て妙ですよね)

オンラインレッスンではそれが仇をなすのです。
オンラインの生徒が日本に来ると、特に私が東京に戻ってからは、日本に行くから先生、会いましょうと言ってくれます。
そして、居酒屋なんかで実際に初めて会うと、生徒はすごく普通の速さで、うわぁ〜っと、好きなことを喋ってきます。
例外なしです。
これ、これが辛いのです。

相手が、奥様連れの時もあります。
生徒3人が集まってくれて会うときもあります。
一人の時でも辛いのに、相手サイドが、お互いにネイティブ同士で喋っていると、全然わからないこともよくあります。


(みなさん!
私は英語がそれほど上手ではなく、言いたいことだけは言えますが、
みなさんのスピードで、みなさんの自然なイディオムで、
いちどきにうぉ〜っと喋られると、聞き取れません。
知らない言葉ばっかりです)

と、言いたいのですが、盛り上がっているのを止めてまで、
言えるかというと、普段図々しい私も、言えません。

これは、NZ帰省の時に、しょっちゅう起こります。
私の英語の限界をよく知り、ゆっくり喋ってくれたのは、今は亡き義父母だけでした。
その他の人は、「tamadocaだってこのぐらいわかるだろう」という推定のもとに、好きなだけ、好きなことを言っています。

いくら居心地が悪くても、退屈でも、急に何か聞いてこられたら困るなーと思っても、最悪ものすごく眠くなってしまっても(よくある)、むっつりしているわけにはもちろんいきません。

夫は、「わからなかったら黙ってないで聞かなくちゃ」
と言ってくれますが、さりとて、

はい?
ソリー?
もう一回お願いします

・・も、そうそう何回も言えません。

なので、曖昧な、笑っているような真面目なような、なんとも言えない顔のままその場にいて、

Ah~ham・・

などと、これだけはネイティブ並みに上手な相槌(?)を打っている私。

いつか、絶対私の英語レベルがばれていると思えた生徒に、対面でしたが、
訊いたことがあります。

「スチュアートさん、日本語を話していて、
自分の言いたいことはかろうじて言えるけど、
相手が何を言っているかわからないって、ありますよね?」

「それはありますとも。
私の日本での人生の時間は、全てそれで埋め尽くされていますよ」

「そうですか」

「もちろんです。先生は、英語で話している時、そんなことないでしょう?」

「と、言ってくださるのはとてもお優しいのですが、
私もスチュアートさんと同じです。
よく、ちんぷんかんぷんになります」

「そうですか。それを聞いて安心しました」

「とかおっしゃっているけれど、
私が(わかってないとき)って、明らかにわかるでしょう?」

「ああいや、ふむ、まあ、わかります」

「なんかAh-haとか言ってるけど、『こいつわかってないな』って、
そういうときあるでしょう?」

「たまに、たまにです。こいつ、とかは思いませんよ?」

「ありがとうございます。
私、スチュアートさんと話していて、
英語がわからなくてもいちいち言わないので、
(あー、先生わかんなかったんだな)と思って、
わかりやすく言い直すとか、無視してスルーするとか、
お好きなようになさっていいんですよ!」

「あー・・・はい、そうさせていただきます」


普段の授業は私の独壇場、家族の間でも一番威張っていて、生活環境も日本100%。
だから、なんとなく自分の英語は大丈夫なような、錯覚をしています。

そんな私も、多勢に無勢で「ヨクワカリマセン」ということがあります。
前述のように、帰省して自分が外国人になるときと、
地の私を知らぬままぶつかってくる、ライブでオンライン生徒と会う時です。

本当に勘弁してください。
恥ずかしくて、いたたまれません。

この前も、生徒3人と私で飲みとカラオケにいったのですが、

①私の歌うのは、彼らには歴史上の歌
②3人が歌う歌は、私は一つもわからない
③3人の若者が盛り上がっていると、私はだいたい、わからない

という、最も避けたいことになっていました。

それでもうっすらと微笑んでいるのは、亀の甲より年の功か。

娘二人は、高校生ぐらいからいきなりバイリンガルになってしまったため、
娘一人か二人が実家に帰ってきた時などは、
家庭内tamadoca疎外感アラート  も よく出ます。

ときにはむくれて、

全然わからない。
この家で純ジャパは私だけだし☹️

などと、拗ねたようなこともよく言います。

あ、あと、初対面の生徒に、

先生は小さいですね!
私より背が高いと思っていました!

と言われることは、よくあります。

画面を通した私が、いつもとても態度が大きいからだと思います。


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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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