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エッセイ364. お施餓鬼の功徳で(上)

昨年、自分の両親と、旦那の両親と祖母を8か月の間に一気に失くしました。

日本の方ではもう、四十九日、お施餓鬼、四十九日、一周忌・・と、二人分の法事で忙しい忙しい。

仕事柄、仏事を久しぶりに体験するのは、
面白いだけでなく、楽しいことでした。
楽しいというと不謹慎ですが、故人は仏様になっていて、遺族が何をしようと、
良き哉 良き哉
となってしまっているそうなので、楽しんでいいかなと。

というわけで、台風が通り過ぎた今日、実家の菩提寺で行われた
「大施餓鬼法要」
に、参加してきました。


そもそも「お施餓鬼せがきとはなんでしょう。
始まりは、釈迦の愛弟子、アーナンダなんですね。

そう、私の好きなお釈迦様関係のキャラに、アーナンダさんという人がいます。
すんごい美男子で、女難が絶えなかったそうです。
最後の最後まで釈尊と行動を共にし、釈迦がお布施の食べ物(キノコとも、豚の柔らか煮・・ポークシャンクかな?)で食中毒で亡くなる時も、最後まで付き添ったという方です。
ちなみに、アーナンダさんというお名前はインドでは普通で、私のインドの師匠の友達にも、夫の部下の方にも、このお名前の人がいます。

そのアーナンダさんがですね、あるとき呪われてしまいました。

「・・・お釈迦さまの弟子阿難(あなん)さまが修行していると「エンク」という鬼が現れ、「お前は三日のうちに死ぬ、そして餓鬼に生まれ変わるだろう」と言われ、阿難さまは、お釈迦さまに教えをこいにいきました。するとお釈迦さまは、「阿難よ、おそれることはない、私のいうとおりに供養をしなさい。そして多くの者へ食べ物を施しなさい」とおおせになりました。阿難さまは、教えのとおりに、施餓鬼棚をもうけ、山海の食物を供え、多くの僧侶に供養していただきました。そして、阿難さまは救われ、お釈迦さまの弟子の中で最も長生きをしたことがはじまりとなりました。」

・・・というこれはネットの受け売りですが、今日 菩提寺で聞いた法話によると、この  アーナンダ(阿難)の行動で、当時地獄で苦しんでいた餓鬼が、すべからく救済されたとのことです。
よかったよかった。

母が生前、「またお施餓鬼に行ってきた」などと言っていましたが、
「なんでもわかるようにしてある」との豪語と真逆に、な・に・も!
教えたり、書き残したり、言いおいたりしていかなかった両親であったために、
相続ですごく苦労をしているほかに、仏事のたびに何もわからずで、おどおどしながら参加してきました。
でも初めて参加してみた菩提寺での大施餓鬼法要は、私にはとても楽しいものでした。

今回はコロナのため、3年ぶりに行われた大法要だそうです。
区内の八つほどの寺院による共同主催で、いつもと違って、たくさんのお坊さんがいらっしゃいました。

袈裟はお揃いでしたが、ヘアスタイル(どこまで刈り残すか)から、頭の形までさまざまで、面白かったです。うちの住職さんは、千日回峰行者被るような不思議な帽子をかぶっていらっしゃいました。蓮の葉で作ったものであった、ということが信じられる形です。


読経は、ときどき国立劇場で行われる声明のコンサートのように、堂内によく響いて、とても荘厳でした。
途中、ハスの華を模した紙細工を、八人のお坊さんがあちこちに撒いてくださいます。
信徒である我々は、遠慮がちにそれを拾い、
自分で1枚いただいた後は、他の人に手渡します。
子供の頃、今は使われていない薄暗い大きな本堂で仏事に参加して、これが始まると子犬のように飛びついて拾いまくったことを思い出しました。

続きます。




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