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エッセイ401.虫のサイズ (1)ハエの章

(駄)とつけておけば、どんなに阿呆なことを書いても許されると思っているところがあるのを反省し、今回は(駄)と書きません。
書きませんが、かなり、(駄)です。

今日は虫の大きさについて。

今期の園芸では、これまでの虫との闘いはだいぶ落ち着きました。
というより、今年全て、ものすごい不作なため、虫とも、ほとんど出会いません。
良いのか悪いのか。

ベランダでなんとか生きているのは、深大寺植物公園で買ってきた薔薇と、苗で始めたアイコトマト、タネから始めたルッコラ・バジル・サニーレタスだけです。以上は不織布のものと従来の植木鉢で、毎日せっせと台所のゴミを発酵させ、できたら順番に熟成させた肥料で育てていますが、暑くなりかけの頃は、東京中のコバエがいらっしゃるの? というぐらい、蚊柱ならぬ、コバエ柱が立つほどに、コバエの大軍団に来襲されました。生ゴミコンポストで作る肥料が原因だそうです。今年は異常な暑さもあり、コンポスト仲間の皆さんから、「コバエがすごいんです〜」という、悲鳴にも似た声がたびたび聞かれましたが、赤玉土(小粒)を、土表面から5センチほど入れてみますと、嘘のように来訪はなくなりました。
有機肥料は、夏はやめましょうというのを読んだのは、そのあとです。
来年から、せっかくコンポストをやっていますが、残念ではありますが、化学肥料に切り替えることにしました。

一方、室内での虫との闘いがなくなったのは、コバエを防ごうとするあまり、過保護または工夫が過ぎたから・・だと思います。
工夫がすぎて、全滅してしまったのです。
例年は、夏の日差しは室内に深くは差し込まないものの、窓際などで、レタス類は買わずに済むほどたくさん収穫できていました。グリーンカーテンには胡瓜とゴーヤ。外の庭にはセニョリータにモロヘイヤにミニトマトに茄子にズッキーニ・・。(セニョリータというのは丸くて平たいカラーピーマンです)

よく、Googole Photoで、「去年の今日」「何年の今日」と、写真を見せようとしてくるじゃないですか。それを見ると、えええ〜! 昔はこんなに出来ていたんだ・・と、絶望的な気持ちになります。
工夫をしすぎた話はまた別に書くとして、今日は虫の大きさについてです。


昨日ベランダに出て、ブーンと飛び立っていくのを見て、
「おお、あなたは普通のサイズのハエではありませんか!」
と懐かしくなったのは、コバエではない普通のハエ。
これより大きいのは、ちょっと体に縞なんかも見えて、メタリックな輝きもあって嫌なのですが、今回見かけたのは、私が子供の頃に見たそのままの、小さからず大き過ぎない、頃合いのサイズ感のある普通のハエでした。

こういう普通〜大型までのハエって、今は主にどこにいるのでしょうか。
都会だと、網戸さえ使わず、締切でエアコンかけっぱなしなお宅が多いためか、室内をハエが、まーるい軌跡を描いてのんびり飛び交っている、ということがなくなりました。
寂しい限りです。
ハエ取り紙などは、売っているものの、見たことのない若人わこうどが大半でしょう。

mtテープで有名なカモ井による、こんなポップなハエ取り紙があります。

いくつか下げたら、仙台の七夕祭りのようで、楽しいのではないでしょうか。

日本語の上級者と小説などを読んでいるときは、画数の多い漢字が、普通に頻繁に出てきます。



頭を抱えている生徒を、私は励まします。

「これは、踏んづけてしまったハエでも、レーズンでもありません。
(だいたいここで、笑いが取れる)
日本人が普通に使っている漢字です。
あなたのレベルなら、このぐらい読めなければいいけません。
とはいえ、でもね、大丈夫です。
私も読めますが、書けませんから」

励ましたことに、なるのでしょうか。

大きなものも小さなものも、めっきり目にすることは減ったハエですが、代わって五月ぐらい、暖かくなると増えてくるのが、私の天敵のコバエです。私など、座っている姿勢から1mmも動くことなく、こうしてMagic Keyboardで入力している最中に、電光石火の手の動きで、百発百中ぐらいにコバエを叩き潰すことができます。
長年の修行の賜物です。
しかし考えてみたら、手で潰すことができるのは、蚊と、このコバエだけで、たとえば、蚊とそう大きさの変わらないGのベビーなどは、小さくても絶対に触りたくありません。
さわれる・さわれないの境目にある大きさが、蚊とコバエということなのですね。


昔々のある年のNZ帰省のときのことです。
一家四人で義父母の家のダイニングに入って行こうとしていました。
すると、歩き始めた次女が、ぴたっと立ち止まってぶるっと全身を振るわせ、ものすごい顔をしたのです。

ん? 
どうしたの、早く入っておいで?

というと、ツタンカーメンの棺覆いと同じ形に胸の前にぎゅっと両腕を組み、
ものすごい顔のままで、

むーちー!
むーちー!

と言うのでした。


むーちー?
なにそれ?

と言って次女が見ている方を見ますと、義母が作ってお皿に並べておいてくれたサンドイッチの上に、ハエよけに紗のクロスがかけてありました。
その上を飛び回り、なんならクロスの上を這い回っていたのが、次女の見たことのない大きさのハエ。
家の中にそういうものが出てきて、見ているという体験がないものですから、
次女にとっては、ものすごい「むーちー!」ショックだったのでしょう。

今でも思い出すと、思わず笑ってしまいます。

続きます。


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