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エッセイ471. 二度目は跳び上がらない:「ゴジラ−1.0」

「ゴジラー1.0」、アカデミー賞「視覚効果賞」の授賞おめでとうございます!

以下は、授賞前と後に二回見に行った感想で、もちろんネタバレ例大祭なので、これから観に行く方は、ご覧になってから読んでいただければと思います。

去年の夏頃、ビルの谷間に立派なゴジラが聳えている、日比谷の映画街の映画館で、この映画の立て看板を見ました。
主人公が、私の永遠のベストカップル、「らんまん」の神木龍之介さんと浜辺美波さんだったため、「らんまん」のイメージが壊れるの嫌さに、今年まで見るのを避けていました。

観ようとしなかったもう一つの理由ですが、私は特攻賛美の映画が本当に大嫌い。それでこれは辛いな、観たくないなと思ってしまったのですが、これは大間違いでした。
映画として深く、映像もすばらしく、本当にお勧めしたいです。意思に反して国家に殺された者、生き残った者の思いがしっかり表現されていて、若い人にこそ、観てほしいです。


さて、ずっと食わず嫌いでいたこの映画、子供生徒くんが一家で見に行って、とても良かったと言うのを聞き、私も今年の一月に観てきました。

1回目に観に行った時のことです。
隣にゴスロリな若い女性がいました。
映画が始まって数分後に、ゴジラがいきなり、真っ暗な画面に、すごい勢いで現れます。
(今回時間を測ったら、映画が始まって4分のときでした)

暗闇からいきなり、ガァ〜! とゴジラが躍り出てきたときは、私も、ぎゃっ、と飛び上りましたが、その隣の女性はちょうど、大きな容器にいっぱいに入ったポップコーンを掴もうとしていたところでした。彼女がびくっとなった時に、私の方にもポップコーンが飛んできましたが、そこで私のおなかに着陸したポップコーンを払ったり、ましてや、食べたりしたら悪いので、私はじっとしたまま、最後まで映画を見終わりました。

2回目を見に行った、しかも、ちょっと高くなるiMaxで見たというその理由ですが、一つはもちろん、アカデミー賞を取ったその、視覚効果をもう一度じっくり見たかったからです。
面白い映画にあることですが、ストーリーを追うのに夢中になって、見逃し・聞き逃したり、気が付かないことというのはたくさんありますよね。
二度目に観ていろいろ納得できそうだと思ったのです。

例えば、私が見た新聞記事の一つに、

これはハリウッド映画のようにお金に任せた特撮はしない、できなかった。
例えば、揺れる船上の場面は、動かないセットの上で俳優たちが揺れる演技をして、そこに後でCGで波をかけた・・

というのがありました。
そう聞いたら、俄然観たくなるのは人情。

また、銀座の街を逃げ惑う群衆も、多くの部分がCGだったそうで、とてもそうは見えませんでしたので、これも是非観たい。

二回観て、逐一確かめられて、とても楽しかったです。

以下ストーリーには触れませんが、感想を少し。

・アキコ:
演技以前のような演技がすごい。特に泣き出すところ。
「はい、泣いてね?」で、あそこまで泣けるものだろうか。
アカデミー天才子役賞を設けて、あげたいぐらいでした。

・ゴジラの大きさ:
最初は人間の身体を咥えて放り出していたゴジラ。
次は「国電」の一車両を咥え、最後の方では戦艦を両手でがーっとひっくり返せる大きさになっていた。
生徒と話していて、「なんか、サイズ感がおかしいよね?」などと言ってしまって、申し訳なかった。
映画の中でちゃんと、
「ゴジラは、今やものすごい力と大きさに育ってきている」
と誰かが言っていました。
ゴジラはどんどん大きくなるものだったんですね。
これから観る人、もう一回観る人はご注目です。

・ゴジラの姿:
昔のゴジラでは感じなかったけれど、こんどのゴジラはすごい小顔で、体がすごく大きく見える。
そして、力士のようなふくよかな胸と、立派すぎる太ももでした。


左、1954年、右2023年のゴジラ


そう言えば、鳥山明さんのゴジラは可愛かったです。


鳥山明さん、ご冥福をお祈りします。



岐阜県郡上市八幡、上田酒店の前にいつもある、ゴジラのフライも素晴らしい。
上田酒店さんの、日本酒をかけた「酒ソフト」も美味しい。


郡上市八幡は、日本の食品サンプル発祥の地だそうです


・ゴジラの動き:
熱線波(?)を吐き出す前に、尻尾の先の方から背びれがひとつずつ、
バッ・・・・バッ・・・・バッ・・・・バッ・・・・バッ・・・
と上がっていくのが怖かったです。

ゴジラは昭和のゴジラでは、深海に眠っていたのを水爆実験で起こされたという設定だそうで、青い光は放射能でしょう。
銀座の瓦礫の片付けが、放射能に汚染されていて立ち入り禁止・なかなか進まないと報道されています。
・・いきなり来る・理不尽に攻撃してくる・退治に手こずる・・
ゴジラのそのありようも放射能被害 のメタファーのようですね。

また、水中を移動するゴジラには、一歩ずつ重々しく歩くイメージがあったのですが、この映画では、背ビレと頭を出して高速で泳いできます。
巨大なウツボのようで本当に怖いです。


・出てくる役者さんたちがみな素晴らしい。一人一人書きたいけれど、きりがないのでやめておきますね。

去年夏の公開から時間が経ち、シネコンでも早朝1回とか、夜遅くの上映時間が多くなってきていたようですが、授賞をきっかけに、もっと上映時間・上映館が増えると良いですね。

まだの人は劇場へ走れ!
です。


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