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エッセイその47. 生活感の出るオンラインレッスン


コロナの時代が始まってから、私はどんどん朝型になりました。

ロックダウンを経験したインド、イギリス、フランスの生徒さんも、
リモートワークになった日本在住の生徒さんも、
朝活にしたほうが頭に入るとのことで、時間を変える人が多かったからです。

一番早い日で、6時50分開始。
あとは、7時、8時開始の日がほとんどで、
その代わり、夜は遅くとも午後9時には仕事を終えています。


土日も含め毎日、目覚ましで起きて、階下に降りて行きますと、
夫がすでにNZの義母と、オーディオブックによるブッククラブを始めています。
二人が読後感などを話し合っているのをなんとなく聞きながら、
コーヒーを淹れてまた仕事部屋へ戻ります。


アメリカの生徒さんは時差の関係上、ほとんど皆さん、レッスンは夜です。
たまにワインを飲んでいる人がいて、羨ましいです。

子供生徒たちは、シャワーを済ませて濡れ髪のときがあります。
レッスンが終わったら結構すぐ、寝てしまうのかもしれません。

レッスンが始まると、
今日は名古屋はとても寒いとか、
南半球の人ですと、今 暑がっていたり、
暑い国から日本に来た人は、この寒さが辛いとのことで、
フードを被った上からヘッドフォンをしている人や、
マフラーのぐるぐる巻きの人などもいます。

国内の人だと、ユニクロのファンの人が多く、
たまに私とお揃いの時があります。


女性はさすがにいろいろ気がついてくれます。

「先生、メガネ変えましたね。それもいいですね」

とか、

髪切りました? パーマかけました?
可愛いですね。

と言ってもらえるときもあります。


生徒が、あくびを噛み殺しているときもあり、
あくびはうつりますので、私もつられて、あくびをします。


数は少ないですが、オンラインレッスンで、ビデオをつけない人がいます。
私はジェスチャーをしますし、発音指導のときは絵も見せますので、
生徒からは見ていてもらう必要があります。
その相手が、動かない小さなプロフィール写真ですと、
なにか気持ちが落ち着きません。
表情を見ながらレッスンに緩急をつけたいものですから、
実は少し困ります。

ある一定の割合で、顔を見せるのが嫌な人はいるのだと知りました。

(そういう私も、友達と無料電話で話す時、音声通話だけのときは多いです。
ヘッドフォンをつけて、お互い動き回り、家事をしながら話すからです。
黒電話の受話器を顎に挟んでの長電話で首が疲れた世代の私。
今は長電話も楽になりましたね)


相手の会社や家を訪れてのレッスンは、
1時間であっても1時間まるまる勉強できるわけではありません。
コートを脱いで掛ける、座る。
落ち着いた頃に秘書さんがコーヒーを持ってきてくれる。
雑談をしながらコーヒーに砂糖を入れてかき回す。
教材をカバンから出して並べる。
生徒が何かの請求書を出してきて、読んでくださいと頼んでくる。

生徒の方にも、電話が入ったり、何かの配達でレッスンが中断します。
「あっ、そうだ、先生に見せたいものがあります」
と出て行ったり、もあります。

オンラインレッスンでは、そういう「邪魔」(=息抜き)がないのか、
と思って最初は緊張し、疲れを感じていましたが、
実は、邪魔が入るのはオンラインでも全く同じです。

大きな猫が生徒のキーボードにどさっと寝て、どいてくれないときがあります。
お腹が空いたと言って、何かあげるまで鳴き続ける猫もいます。
同じ部屋にいた子供さんが、椅子ごと後ろにひっくり返ったり、
夜のレッスンでは、パパに子供さんがお休みのキスをしに駆け込んできます。
私の方はたまに、家にいる夫が飲み物を持ってきてくれて、
ノックをするときもあります。

オンラインでは、一つのレッスンが終わって、その10分後に次がある、
そういうことが結構あります。
その昔、あちこちに移動してレッスンをしていた時代には、
そんなことは想像もできませんでした。
急なキャンセルの連絡をもらい、5時間ぐらいも時間ができてしまい、
かといってうまく1本映画を見るほどではなく、
時間を潰すのにすごく苦労していたのでした。

オンラインレッスンは、移動がなくてとても楽であるのと同時に、
職住が一緒ですので、生活のメリハリがなくなったり、
つい土曜日、日曜日も仕事をしてしまうことが多いです。

どこにも出かけず、閉塞感が高まる コロナの毎日。
鬱々としてこないように、何か考えないといけないかもしれません。

生活感が出やすい、オンラインレッスンの舞台裏でした。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。