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日本語教師日記31.時効かな?(3)パートナー編


日本に住んでいらっしゃる外国人のみなさんのうち、
日本人をパートナーとして、日本に長く住むつもりの人はたくさんいます。
私の今の生徒では、現在は二人だけですが、以前はもっといました。

今日は たまに感じる私の当惑についてです。

オンラインレッスンでは、生徒と教師は自宅からSkypeやZoomで繋がります。
一人暮らしでない場合は、当然、同居の方が同じスペースにいらして、
ときによると、いつのまにかレッスンを聞いていらした、
ということがあります。
 
その人が、生徒の言い間違いをちょっと笑ったり、直したりします。
それをされた本人が、

なんだよう〜、聞いているなよ〜😀

と、嬉しそうなときもあります。

いつのまにか聞いていらした、というよりは、そこにいるので、
自然 耳に入ってしまうということなのだと思います。

そこを、「いつのまにか」と私が感じるのは、
その姿が私から見えなかったからに過ぎないのですが、
生徒が急に、パートナーの方と話し出すまで、
そこにいることを全然知らないと、

(あ、いたんだ・・)

と言う気持ちになります。

いたんだ、じゃなくて、いらしたのですね、
・・と言わなくてはいけませんが。

その人が、最初からどんどん画面に映り込んでくれていた場合は大丈夫です。
頭にタオルを巻いて背後を通り過ぎてくれたり、途中で生徒が横を向き、

先生ちょっと失礼、ダーリンいってらっしゃい、ラビュ〜(love you)💓

と言ったりするような場合は、最初からわかっていますので、
こちらもそのつもりでいることができます。
だから誰がいようと大丈夫です。

問題なのは、1対1でいるつもりでいるところへ、突然、
もう一人そこにずっといらした ことがわかる瞬間です。


別に私も特に悪いことをしていたわけではないのですが、一瞬、

「うわっ・・」

と思ってしまう。

これは不思議ですね。
誰が何人そこにいようと、私は仕事してるだけなわけですから。

これは、誰かがそこにいるということが、
オンラインではほぼ、わからないためでしょう。

それは、現実にはあり得ませんが、例えば 対面レッスンで、
生徒と一対一でオフィスの個室や会議室で教えていたとして、
30分ぐらいしてから急に、デスクの下から一人の人が出てきた、
ぐらいな感じなんですね。

オンラインでこの「いきなり出てこられた感」がある場合、
こちらも背筋を伸ばしつつ、少し慌てているわけです。

それが、ちゃんと出てきて、

「先生、この人は真面目に勉強していますか?」

と訊いてくださったりすれば、

頑張っていらっしゃいますよ。
どんどん日本語でお話ししてください。

と言うことができますし、また 後から、

「彼女が(妻が)先生のレッスンは素晴らしいと言っていました」

というようなことを言われるときは、やはり嬉しいです。


でも、そうならないこともあります。

時効だと思いますので、一つだけ書かせていただきます。


あるとき、敬語のレッスンで、
「受身の形が、敬語として使われることがある」
という部分にさしかかりました。

「受身と尊敬語が同じなら、どう区別をつけたらいいのだろうと思うでしょうが、大丈夫です。
まず、隠れている主語があるかどうか確認しましょう。
「私は」が省かれていることが多いですね。
また、受け身に特有の助詞に注目することと、
それから、やはり文脈から判断するのが大事です。
同じ「読まれました」でも、
「(私は)日記を夫に読まれました」
なら、私に起きたことの、受身だとわかりますね。
一方この、「先生は車で先に行かれましたので、迎えに行かなくてもいいです」
というようなときは、注意してみると、主語が「先生」ですから、
先生の行動であることがわかりますね・・・」

などと言っていたと思います。

そうしたら、

せやけど先生。

と、いきなり生徒の彼女が画面に現れました。
生徒の横から、すぐです。
ずっと横に座ってシャドーイングをされていたのでした。

(彼女さん、いたんか〜い!)

と思いました。

せやけど先生、それ、めっちゃおかしいわぁ。
食べられたとか、行かれたとかは、誰かにそれをされたときに使う言葉やんか。
「先生は食べられた」言うたら、「誰に食べられるねん」て、
いやー、ありえへんわ、怖いわぁ・・

とおっしゃるのでした。
(思い出し書きなので、不正確な大阪弁ですみません)



その後、関西弁の敬語について、調べてみました。

関西弁では、尊敬語が、標準語とは異なっているため、
この方がこのように思われたのだと知りました。


(以下知恵袋の回答よりすみませんがコピペさせていただきました)

「(前略・・)
○尊敬語

共通語の「れる」が大阪弁では「はる」になります。

話さ+れる=話される、見+られる=見られる、食べ+られる=食べられる、来る+られる=来られるetc.

話さ+はる=話さはる、見+はる=見はる、食べ+はる=食べはる、来る+はる=来はる(きはる)etc.」


共通語の「れる」と書いておられるのは、敬語で使われる、受身形と同じ形になるものですね。


それだと、「先生も行きますか?」を尊敬語でいう場合、

関西の言葉 「先生も行かはりますか?」
標準語   「先生も行かれますか?」

という違いが出るのですが、これが、

先生、違いますやんか。

と、彼女が画面に出てこられるトリガーになったのでしょう。

外国人の話す日本語は、どうしても固く聞こえますし、
直すことはできなくても、それどうなの、と思うことは多いでしょう。

でも頑張ればどんどん上手に、自然になっていきますから、
長い目で温かく見守ってあげていただきたいなと思います。

明日はその辺をもう少し深くお話ししたいです。

続きます。

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