日本語教師日記その15.昔の日本語教師のバッグの中身
甲羅に苔の生えた日本語教師の私。
この道何十年とは、口が裂けても言いません。
年齢を推定されてドン引きされるからです。
教師募集の掲示板で応募するときは、逆サバを読むほどです。
そんな私は、こんなふうな感じでレッスンをしています。
一番右が一番新しいiPad Pro11で、これにGoogleDocument を表示して、入力したり、検索したりしながらレッスンをします。
奥に見えるのが、一台古いiPad Air2で、iOSアップデートをしたら電源がもたなくなったので、繋ぎっぱなしで生徒の顔を見る専用になっています。
これでSkype、Meet、Hangout、zoom, telegramその他の無料のものに繋いで使います。
教科書その他は、キーボードで両手が塞がっていますので、百円ショップで買った本立てに立てています。あと、ペンと、メモ用にテープ型の付箋、電子辞書という感じです。
生徒とは申し合わせのうえ、お互いの家に宅配便の人が来たら、行っていいことになっています。ピンポンと呼ばれると、駆け出していきますので、よくオンライン時代到来の初期の頃にネタになった、上半身はスーツなのに下半身はボクサーショーツでした、みたいなことにならないようにしています。ジャージやパジャマは履いていないようにしています。
当たり前ですね。
ここ数年のうちに、外に教えてに行っていたこともあります。
そのときは、出張教授専門だった頃に使っていたアタッシェケースです。
個人のお宅や、名古屋大学の中の勉強室でやっていたので、WiFiに困ることはありませんでしたが、iPadとモバイル電源は必須だったので、結構バッグが重かったです。
しかし、重いと言っても、ずーっと昔の重さに比べたら、全然なんということもありません。
その昔に私の大きなバッグに入っていたものを披歴ししたら、現代の皆さんは驚くかもしれません。
まず、日比谷図書館の地下の食堂でお弁当を食べる時間がある日は、細形二段重ねのお弁当箱です。
ティッシュ・ハンカチ・財布はもちろんとして、トーキョー・テレメッセージのポケベルも入っています。ポケベルですよ、見たことありますか?
小型のカセットテレコも持っていました。小さいけど重かった。
イタメという、イラストを貼った厚紙ですが、重いし、学校まで借りに行き、返しに行くのが面倒くさいので、自分で書いたイラスト集を、薄いクリアブックに入れて持っていました。
最低限の筆記用具の入ったペンケースも一緒です。
もう、ここまでで、もうすごく重いです。
中学生のときのように、手にタコができそうです。
あと、B5ぐらいのホワイトボードに、マーカーまで持っていました。
電子辞書はありませんので、超薄型の和英・英和辞書も持って行きます。
教科書は、その日に回る先の数だけあります。
大体、日本語の教科書はやたら大きくと重くて高いです。
同じ教科書を使える生徒が1日に複数いた日には大喜びです。
その教科書ですが、あるとき同僚に、
「tamadocaさんたら、教科書そのまま持って歩いているの?」
と驚かれてしまいました。
大型ホチキスの針とか、製本用の糸とかで綴じてあるのでない教科書は、
背中を製本用の糊でくっつけてあります。
なので、背表紙に手をかけて、むっき〜っ、と引っ張ると、一章ごとに剥がせるのだそうです。みなさんはそのようにして、今日の生徒はこの教科書の1章の人、あの教科書の23章の人ね、という具合に、ばらしたものを持って歩いていたそうです。
バラすの?!
と訊いたら、
バラさないの?!
えら〜い!
と驚かれて、そのあとで私も、教科書をバラすようになりました。
なんか胸が痛むのですが、そうなってみるともう、何冊も持って歩く時代には戻れなくなりました。
それも今は昔。
コロナが収まっても、東京に移住となっても、私はやっぱりガラパゴス系のオンラインレッスンを主に続けていくと思います。
けれどもし、出張授業をするようになったら、鞄はどんな感じでしょうかね。
重たい長財布は嫌なので、お財布携帯と、どこかに小銭入れ。
筆記具一般の代わりに、Apple Pencilですね。
これ一本でラインマーカーもクレヨンも筆もえんぴつもペンも消しゴムも入っているので。
マジックキーボードにつけたiPadと、ハンカチ・ティッシュ・携帯。
今のデバイスは電池長持ちなので、モバイル電源も充電ケーブルも持っていかないことでしょう。
昔のように、パッドのついた肩掛けベルトと、電車の床に必ずおきたくなるので、スタッズのついた大きなバッグなんて、もう絶対無理です。
体のがっちりした同僚の英語教師たちでさえ、ずっと昔は、背骨が歪むからといって、キャスター付きのケースを引っ張っていたぐらい、バッグは重かったそうです。
昔は、通勤電車の中で新聞や本を読んでいましたが、今はそれでさえも、スマホやiPadで事足りてしまうのですね。
ダブルカセットテレコをかけて踊り、
電動タイプライターをガチャガチャ打っていた私が、
はるばるこんなところまで・・。
昔の日本語教師のバッグは やたら重くて大きかったという昔話でした。
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