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日本語教師日記その13. レッスンで味わうユーミン(上)

私が対面で10年近く教えてきたSさんは、マイクロ経済学の学者さんです。
上の本の共著者です。
この本は、2015年には、マーク・ザッカーバーグ氏に、
「すべての人が読むべき本」と 言わしめました。

ご参考までに:

「from Wikipedia (https://en.wikipedia.org/wiki/Portfolios_of_the_Poor)In 2015, Mark Zuckerberg announced that he highly recommended everyone read Portfolios of the Poor. He wrote: "It's mind-blowing that almost half the world — almost 3 billion people — live on $2.50 a day or less. More than one billion people live on $1 a day or less. This book explains how these families invest their money to best support themselves. I hope reading this provides some insight into ways we can all work to support them better as well."[4]」

( ウィキペディア:2105年にマーク・ザッカーバーグが本書「貧困層のポトフォリオ」を必読の書として強く勧めた。彼によると、「世界のおよそ半分の人口、30億人近くが、1日に2ドル半かそれ以下で生活している。10億人以上は、日に1ドルかそれ以下である。本書はそうした貧困層が生活を成り立たせるために持てる金をどのように使っているかを説明している。この本を読むことで、我々すべての人間が、貧困層をどのように支援すべきかの洞察力を得られるようにと望む」)

ザッカーバーグさんも、いろいろ訴えられたり、トランプさんとあれこれのようですが、この本を読んだのだから、お願いします。
一人で使いきれない富を、
コロナ対策と貧困対策にど〜んと投入してくださいね。
頼みましたよ?

私は申し訳ないことに、この本を読んでいませんが、
役得として、これに関わる世界の事情などを、
著者本人から、レッスン時に教えてもらったりもしています。

彼のお仕事は、バングラデシュの貧困層の人々に家計簿をつけてもらい、
年に数回バングラでこの方達にインタビューし、リポートにまとめること
です。
レッスンでは、普通は知ることのできない世界の事情を、
(無料で教授から)聴くことができるので、
日本語教師って、いい仕事だなぁと思います。

(ちんぷんかんぷんなときに、ポーカーフェイスを保つのが大変ですが・・)

さて、この彼が先日、こんな問いかけをしてくれました。


先生、私がいつか本当に日本語が流暢になることはあるでしょうか。
日本人のように、母語のように、という意味ですが。

ここで適当に嬉しがらせを言っても空疎です。
正直にお話しすることにしました。


「大人になってから勉強を始めた外国語が、
母語並みになることは、まずないと思います。
ヨーロッパなどでマルチリンガルの人が多いですが、
それは幼少の頃から、母語と同じように耳にし、しゃべってきた言葉ですね。
私たちが外国語学習に費やす時間と比べ、段違いに多いです.

もちろん、このあとも諦めずに勉強を続けていけば、
着実に伸びていくことはお約束できますが、
流暢レベル、母語レベルになることは、ほとんどないと思います。

私は、人より耳がいい方ですが、外国に住んだことはありません。

英語の聞き取りに役立ったと思えるのは、
ビートルズの全曲を、一字一句違えずに暗記したことです。
そして、最初から最後まで、聞こえた通りに歌えるようにしました。
それは、勉強ではなくて、好きなことだからできたことでしょう。
この経験から私は、
「聞き取れない言葉は、喋れない言葉」
と思うようになりました。
文字で読んでわかっても、実際に話されると、
隣り合わせの言葉はリエゾンして、違うように聞こえますよね。

これは、机上の勉強では解決はできないと思います。

もっと聴き取りをよくしたいのなら、
日本語の歌を、自分が聴き取れて、歌えるようにするのは一法です」


これは、「多読」と並んで、
流暢さを目指す生徒には必ず言うことですが、
実行してくれる人はほぼ、ありません。

ところが、彼は即座に返してきました。

では、先生が選んで、一曲ずつ推薦してください。
それを、丸暗記するぐらいに聴きます。

拍手拍手👏👏

「私が知っていたり、お勧めしたいのは、古い曲ですけど、いいですか。
そうですね、バラードが多くて綺麗な日本語っていうと・・

Kiroro、松任谷由実、中島みゆき、竹内まりあ・・
かなぁ?

すると、

「あ、Yumingは、Sweet, bitter sweet を最近聴いています」

だそうです。
恐るべしマイクロ経済学者。

そこで、最初の二曲として、

ジャコビに彗星の日

中央フリーウェイ

を選び、歌詞も検索して送りました.

続きます。


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