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日本語教師日記101. 人気のある日本のもの
アメリカに住む生徒さんが姪っ子さんに、
どんなクリスマスの歌が好き? と聞かれて答えたのが、
恋人がサンタクロース
クリスマス・イブ
だったそうです。
「懐かしい! バブル時代を思い出しました。
でも、C君は、なぜこんな古い歌を知っているの?」
C君によると今時は、Youtubeで、なんでも見つかるそうです。
そして、やたらとラジオ局の多いアメリカでは、
日本の懐メロも聴けるのですって。
彼のお母さんと同い年の私は、自分の若かった頃の話などを披瀝して、
(それなりに)盛り上がりました。
「先生それからね!」
と彼は手を打って、やおら机の下からギターを引っ張り出し、
ジャンジャ〜ン♪ とかき鳴らしてから、
し〜ん〜じ〜る〜こ〜と〜さ〜
か〜な〜ら〜ず〜 最後に愛は勝つ〜!
と歌ってくれました。大好きなのだそうです。
こういうことがよくあります。
新しい生徒と2回、3回とレッスンを重ねて、個人的なことをぽつぽつと話していくと、遠い極東の地方都市のそのまた郊外(歩いているとすぐ田んぼ)に住むおばちゃんの私と、趣味が会う人が結構いるんですね。
料理好きの人とは、インスタントポットで成功したものや、オーブンで一気にできる飴色玉ねぎのレシピなどをしょっちゅう交換しています。
IPの蓋をうっかりコンロに置いてしまい、少し溶けました! 😭
私も少し溶けています!😭
など、共通の体験もしています。
SFとファンタジー読みの男子は多くて、アシモフとかブラッドベリとか、驚くような古典も、同じものを読んでいたりします。
「先生、ロボット工学三原則、言えますか?」
ーーえ〜・・一つ目は忘れました。二つ目は、ロボットは人間を傷つけてはいけない。三つ目は、二つ目に反しない限り、ロボットは身を守らなければいけない。でしたっけ?
「僕も一つ目は忘れました。ちょっと待って下さい」
検索して、すぐ教えてくれました。
第一条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条
ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
— 2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版、『われはロボット』より[1]
結構いい加減に覚えているものですね。
コミックとアニメ、映画やドラマは、はお互いに良かったものを
勧め合いますので、一人でぼっとしているより、選択が広がります。
野菜を育ててる人も結構いて、
先生、レタス植えました。先生も植えましたか?
ーー植えましたとも。見ますか?
と、タブレットを持ってレタスの置いてあるところまで移動したり。
一昔前は、日本のものはコミックやアニメ、ゲームの愛好家がちらほらいるぐらいで、今のようでは全然ありませんでした。
通信の発達のおかげで、世界はどんどん縮んできて、
遠く離れた人とも、画面越しに手が届くような、
一緒の部屋にいるような心地がするようになりました。
新しく始める人に向かい、私は必ずのように質問します。
日本語を習おうと思ったきっかけは?
日本の文物で好きなものは?
これはなかなか楽しい時間です。
NARUTO、ワンピース、コナン、セーラームーン。
これはもう、ずっと前からの定番ですね。
でも今や、
「先生、煉獄杏寿郎さんが死んだ時は、僕は泣きました」
なんて言葉を聞くことができます。
好きな日本の食べ物は、キットカットとカレールーという人がたくさんいます。
キットカットのいろいろな味があるのがお国で人気だそうです。
「どこで面白いキットカット買えると思います?」
ーードンキかな?
「ドンキもあるけど、空港は結構揃っていますよ」
ーーなるほど!
ということです。
カレールーは今は、いろいろな外国のアジアン・スーパーで普通に買えるそうですが、バラエティが少ない。
自分も料理の得意なインド人の生徒は、上司が日本出張をすると必ず、日本のチョコレートと共に、たくさんカレールーを、銘柄指定で買ってきてもらうそうです。それも甘口・中辛・辛口と。
「本場インドの人が、何やってるんですか?」
ーーでも先生、美味しいのでしかたがないです。
だそうです。
昔は、浅草仲見世などで入手した、すごい派手なテロテロのKimo〜noを、ウエストをぎうっと絞ってガウンにして着ている人がいくらでもいましたが、最近、好きな人は、ちゃんと体型補正までして、半幅ぐらいは結んで自分で着ています。
「ちょっと待って本格的。誰に習ったの?」
ーーYoutubeです。
なるほどなんでもYoutubeになっているのですね。
今年は、ネットで購入した羽織袴セットを、Youtubeを見ながら5歳の息子くんに着せて、代々木公園で写真を撮っていたママ生徒がいました。
海外では、まだまだとんでもない味の、高いばかりのなんちゃって和食の店も多いそうですが、日本が好きで、好きなものはとことん追求する人は、どんどんネット検索で知識を深め、実践しています。
ここ10年ほどは、特にそれを感じます。
じゃあ、Nさんはなぜ、日本が好きになったの?
ーー山口百恵さんの赤いシリーズを見てからです。全部見ました。
絶対大人になったら日本に行くんだと思いました。
ほうほう・・
ーーで、日本に来てすぐ、百恵さんの家の近くまで行って、
物陰からしばらく、百恵さんが出てこないかと思って覗いていました。
それはそれは・・・挙動不審ですね!
上級者だったので、「挙動不審」の意味もすぐに導入し、
例文を作ってもらいましたら、自然な良い日本文できました。
好きこそものの上手なれと言います。
熱を込めて日本の好きなもののことを話してくれると
教師としてもとても嬉しいものです。
今日はこの辺で・・
サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。