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日本語教師日記118.出会いは味なもの(3)学習の目的がはっきりしている人(上)

私は今、どこにも属さずに、日本語教師と生徒が出会うサイトと、紹介で生徒に出逢います。そういうスタイルで教えるようになって11年です。個人と個人の契約になりますので、私も選ばれますが、自分でも慎重に相手を選ぶことが、ある程度はできるようになりました。

前回で書きましたように、海外の生徒とは時差がありますので、どんなに教えたいと思っても早朝や夜遅くになるレッスンは控えます。
無理はききません。
疲れすぎると他のレッスンに支障が出ます。
今は年間を通じて、始まりは午前6時台、午後6時半には最後のレッスンを終えるようにしています。

紹介で私にたどり着いてくれる人は、教師を探している人ですのでみな熱心です。そのまんま、私が時差問題に次いで大事にしているところの、

②目的がはっきりしている人。

であります。

さて、その「日本語を勉強する目的」には、以下のようなものがあります。


・以前日本語を勉強していて、中断があったが、再開したい。

このタイプの人は、自信を失っていたり、再開してみると、ずいぶん日本語を忘れているので、最初はちょっと腰が引けていますが、軌道に乗ると生き生きと楽しんでくれる人が多いです。他から来た人は、私の教え方とそれまでの先生の教え方の違いに気がついたり、ごくごくたまに昔の生徒が戻ってくると、「先生、「もうホワイトボードは使わないんですね?」なんて言ってきます。


・この先日本に来たい(旅行・長期・住む、いろいろです)。
来られたら、日本人とコミュニケーションがとりたいので、準備として習い始めたい。

  このグループは若い人が多いです。アニメとコミック、ゲームが好きな人たちで、日本人の私が逆に日本のサブカルチャーについて教わるばかりです。脱線して、好きなことの話になりがちですが、そこはできるだけ日本語で話してもらいますので、レッスンはとってもアクティブです。急に、「オス!ってなんですか」「知らない、もうっ!って言うのはどんな気持ちですか」「オイラと俺の違いは?」などと聞いてきて、面白いです。

最近笑ったのはこれ。
11歳サン・ディエゴ在住少年。
毎回、ハワイで買ったアロハとか、アニメの絵のついたTシャツを着ています。

お?
ちょっと立ってみて?
それ、鬼滅の刃の?

はい、Tanjiro Kamadoです。

ほほ〜・・・

先生この文字は・・か・ま・ど・た・ん・じ・ろ・う・・・
って書いてあるんですか?

えっ、ちがっ!

これね、「燃やせ!燃やせ!燃やせ!心を燃やせ!」って書いてあるのよ?

え〜、かまど・たんじろうじゃなくて?

・・・・君、あきらかに「字余り」でしょうがっ!



・現在、日本語を使う職場にいる。日常会話は問題ないが、プレゼンテーションやミーティングのためのビジネス日本語を習いたい。
   支障のない範囲で、会議の録音をしてきてもらったりします。その会社だけで使う言葉と表現がありますので、コツコツと、仕事buzz辞書を一緒に作っていきます。
  いつの間にか、建築業界の言葉などを私も覚えることができて、ちょっと得をした気持ちになるレッスンが多いです。
例えば、階段の足の乗るところは、普通「段板」「踏み板」と言いますが、その中でも特に「足の載るところ」を、「踏面ふみづら」と呼ぶとか、教えてもらいました。買ってはいけない家も詳しく教えてくれますので、家を買うのが怖くなります。
また、積立ニーサ、ビットコイン、ideco(合ってるかな?)についても教えてくれる人がいますが、私がよく理解しないので、教えてくれた後で、「でも先生はやらないほうがいいかもしれません。やるなら「遊んでいるお金」で!」と親切に言ってくれたりします。

長くなりそうなので、「②目的のはっきりしている人」については、上下に分けて書かせていただきたいと思います。



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11歳少年に見せました。何もみないで描けるのは禰󠄀豆子だけです。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。