見出し画像

エッセイその109.マスクと私たち(3)本格的な変装


私の子供たちがお世話になったあるグループで、
とても面白い行事がありました。
外遊びのときに、親たちが変装をして、行動を共にするということです。
まだそういうことがあったと知らない子もいると思うので、
(誰もこんなの読まないとは思いますが)
詳しくは省きまして、子供達の年齢は、3歳から5歳という幅でした。

我が家もなにしろ、今24歳、22歳の子供たちに、このことは秘密です。
一生言わないかも、いや、言うかも。
言うならいつ言おうかと、たまに思っては楽しんでいます。

一番ばれそうになるのが、親が、
子供の見慣れたジャケットなどを着ていることだそうです。

そうすると子供は、

うん?

となって、お母さんのところへとっとっとと走って来て、
じーっと服を見るのですが、それからくるりと向こうへ行ってしまうそうです。
子供は親を、何をもって認識しているのか、とよく私たちは話しました。

なので用心のため、親たちは事前に相談し、
現地入りする前に、ジャケットを交換して着たりしました。

お母さんたちは、帽子・サングラス・マスクが基本で、
普段なるべく着ないような服を着るようにしていました。

凝り性のお父さんは付け髭とか、髪も白くしたりして、よく化けました。

ばれては大変なので、始めは遠くからこわごわ見てみいるのですが、
子供が全然見抜かないため、じわじわ近づいていく、
やがて大胆にも、子供達の間をすり抜けて行ったりします。
そのスリルといったらありません。

私たちが子供達に気づかれたことは、知る限りでは一度もなかったのですが、
うちの場合は父親は外人で目立つので、無理ではないかと思われていました。

それでも、なかなかそういう機会はないので、
ぜひ参加したいと本人が言います。
なので、私がいろいろ考えて、絶対普段着ないような、
上下揃いのスポーツウェアを買って来ました。
コストもかかっているのです、数時間のために。

当日夫は、サングラスとマスクとこの上下、頭には怪しくヘアバンドをしました。
でもどう見てもバレそうで、子供たちに近寄れそうもない感じです。
そこでどうしたか。
なんかいなくなったなぁと思っていたら、はるか遠くの方から
ジョギングで近寄ってくる外国人がいます。
通り過ぎて、向こうの方へ消えていきますが、
またしばらくすると、今度は別の方向から走ってくる。
工夫を尽くした、夫の行動なのでした。
そういうことをして、まあ、ぎりぎりばれずに済みました。

他のお父さんお母さんたちは、息を切らしている旦那を見て、

もっと近くまで来てから走ったらどう? 

と言ってくれましたが、
それでは変装のハートに反すると言って、ずっと走っていました。

私は変装がとても楽しみで、100均でいろいろ買いました。
仙川の商店街にあった、クレアとかいう安い小物のお店でした。

変なアニマル柄の帽子と手袋や、大きなアクセサリーを買いました。
あとは自前で、慶弔用のパンプスとハンドバッグ。
子供の前で一度も着たことのない、アイボリーのコートにしました。

普段すっぴんですが、厚化粧に、顎にはアイブロウでほくろを描きました。

(普段と違って)ものすごく上品だ、
皇族のお一人かと思ってしまった、

と言われました。
それが今日の画像です。

昔の私なので、顔にはちゃんと輪郭もあり、あごも二重ではありません。
こんのくらい、綺麗だったのです。
証拠がないからなんでも言います。


たくさんの大人が、あまりぞろぞろ集団でついて回ると怪しいので、
三々五々、散ったり休んだりしていました。

親同士もお互いがわからず、

Bさん・・・・?
Cさん?  わからなかったわぁ・・

ベンチに座っていて、知らないおじさんが急に、

tamaさん、わからなかったよ! すごいド派手だね!

と言ってくるのでびっくりして、

えっ、誰。あっ、Dさんパパか!

などということが連続して起きました。

本当に楽しかったです。



いろいろ行事の多かったグループでしたが、
変装が楽しめる機会はあまりなく、本当にいい思い出です。
もちろん、長女にも次女にも全然ばれませんでした。
ちょろかったです。


子供たちが後日 小学生になってから、そのときの記念写真の貼ってある、
普段は隠してあるアルバムを見ていることがあって慌てました。

(まずい、さすがにもうばれる)

と思ったのですが、

これおかん?

とも、

この人だれ?

とも言われず、なんら引っかからずにページをめくってしまい、
それはそれで、なんとなく報われない残念さを感じました。

もうそろそろ話そうかなと思いますが、ふーんで済みそうな気がしています。

一番いいのはこれを読んでくれることなのですが、
全然私の書いたものなどは読まないので、秘密はまた永遠に封印されました。



サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。