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日本語教師日記その16. どこに視線を向けるかの巻

10年ほど前からしばらくは、オンラインレッスンのことは、「スカイプレッスン」と呼ぶのが一般的でした。

今では、zoomを筆頭に、meet、Hangout、teamsなどが出揃いました。
また、仕事やレッスンでなくても、LINE、Facebook  Messangerその他のSNSで、で友達や家族と、気軽に顔を見ながら話すことが普通になりましたね。


10年前、オンラインで教え始めたとき、
一番の心配は途中で接続が切れたり、
音声や画像が悪くて授業が中断してしまうことでした。

限られた たった50分、1時間の中で、
レッスンができない数分があったら、それは生徒の損失で、こちらの責任です。

何かあった時に延長ができるよう、
今でもレッスンの間は10分から30分は空けるようにしています。


接続が悪いときに、力強く、

「私の方は完璧です。先生の方が原因だと思います」

と言う方は、いつも、ある一定の割合でいます。

こちらは、昨日も今日も接続の問題がなかったり、
その人のレッスンに限って具合が悪かったりすると、
なんとなくもやもやするのですが、それは仕方ないです。
どっちに原因があろうと、10分の中断は10分の中断ですから。

アプリによって、その日の具合の悪いことはよくあります。
でも、Skypeで最初に繋がっておけば、あとはzoomがあれば心配はありません。
中には、telegramやFacebookでつながっている人もいますので、どうしても接続が悪ければ、そちらへ切り替えることができます。
気心が知れてくると、今日はこれ以上やっても無理そうなのでと、レッスンの仕切り直しをすることもできます。

それでもダメなら、部屋を変わったり、再起動したり、
あっちとこっちでできるだけやってみるわけで、
想像したように、険悪な感じになるということは 幸いにして ありません。

さて、私が最初の頃、ちょっと気になっていたのは、
画面に映る相手の視線が、下を向いていることでした。


パソコンのカメラのレンズは上端、
横置きにしたタブレットのそれは 左枠中央に付いていると思うのですが、
画面に写っている話し相手の顔の方を自分が見ているということは、
相手に配信?される自分の顔は、当然、伏目になっているわけですね。

お互いに伏目って、なんか物悲しくないですか?

それが気になりましたので、生徒に相手をしてもらって、
「今、レンズを見ますね。先生、伏目になってる? なってないね?」
「だいたいでいいんですが、なんとなく目が合ってる? 合ってるね?」
と、「目が(まあまあ)合っている」状態を作り出そうとしました。

で、相手から見て、私は節目ではない、相手を見ているような角度、
というのが決まりました。
やはり、レンズを見ていると、そうなるようでした。
それはよかったのですが、私が視線を向けているのは、レンズですから、
相手の顔をちゃんと見ることはできません。
どうしても、挙動不審な、チラ見の繰り返しになります。

生徒がちょっと長めに、
「う〜〜〜〜〜〜〜〜んん・・」
と考え込んでいるときなどに、視線を急いで動かしています。

これにはもうすっかり慣れましたけれども、他の先生はどうしているのかしら。


それにしても、ああ対面。

空気を伝ってきて、生身の鼓膜を震わせて聞こえてくる相手の声。
何もしなくても、自然に合っている目と目。

やはり、直接会うって、素晴らしいです。

オンラインで授業をしていると、「直接会えることの良さ、ありがたさ」を、
つくづく感じます。

対面のレッスンのときに、おなかが鳴ってしまいまして、
生徒がカバンからチョコバーを出して、くれたことなんかもありました。
オンラインでは、そこまでの音は拾ってもらえません。

ハングアウトというのがありまして、これは嬉しいツールです。
これでビデオ会話中に、チャット画面に切り替えますと、
入力するところが出てきて、お互いの顔が小さくなります。
その小さくなった丸と四角の一緒になったものを、
画面上で動かすことができるのです。

私はその動く枠を、タブレットのレンズのすぐ側まで運んできます。
すると、レンズと、相手の顔とを、同時に見ることができます。
生徒と自分の顔を同時に見ていることができます。

生徒に聞いてみましたら、それをしている間は、
私の目と自分の目が合うのだそうです。


こういうふうにしています。

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ダークグリーンが生徒の顔なんですが、それを見ると、
レンズのことも見ていることになり、なんとなく目が合うそうです。

今はzoomでもなんでも、画面共有ということができますが、
それをすると、生徒の顔が直径3センチぐらいの丸の中に入ってしまいます。

それでは私にとって、いかにも小さすぎます。
私が生徒の顔をよく見たいと思うのは、直接会えないからこそです。
生徒の戸惑い・喜び・悩み・得意・怒り・焦り、
そういう表情を汲み取って、授業を微調整したいのです。
大袈裟ですが・・。

なので普段は、1台のタブレットで検索をしたり、書類に入力をしながら、
もう1台では生徒の顔を見るという、二台遣いをしています。



この先、またいろいろなツールやアプリが開発され、
オンラインレッスンもますますやりやすくなることでしょう。
明日にまた、期待しています。



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