先入観(無料記事)

先日仕事のご縁で義足モデルとパラアスリートの谷口さんと出会った。
撮影などのご相談を受けたのだが、なんせ何も知らない世界であるからとりあえず谷口さんの日常を知るために半日同行させていただいた。その日は広島国際大学で義足を作るための採寸と型取りをするとのことだった。後世の義肢装具士の育成のためのモデルをするというわけだ。


広島国際大学義肢装具専攻のみなさん



僕は体にハンディキャップを抱えている方を特別なにか感情を持ってみたことはない。なぜなら彼らは僕達と同じ気持ちで生活していると思うし、僕達と同じ今を生きているからだ。目に見えるものだけがハンディキャップではないと思っているし、そもそも「健常者」などという言葉は全くもってハンディキャップがない側が作った勝手な言葉だ。


授業の様子



困っていればどんな人であろうと声をかける自分でありたいし、世の中はそうあるべきだと思っている。そういう気持ちもあってか初めてお会いした時でも僕は誰とでも同じように接するのと同じようにしていた。
もちろん身近にそういった方がいるわけでもないし、知らないことしかない。
僕の想像していた義足ではなかったし、足が逆に曲がるなんてことも、もちろん知らなかった。
その時は家族で見えていて、元々は奥様とのご挨拶から今回のご縁を頂いた。
谷口さんは体の障害以外にも脳障害も後遺症として抱えられていることなど、一見普通に見えていたとしても誰がどんな事情を持って生きているのかはわからないものだなと感じた。

そういう経緯から今回撮影をさせていただくことになったのだが、義足を使う人がいるということは、それを作る人もいる。そして大学で義肢装具専攻という学科があるということは、それを学ぶ人もいる。
さまざまな人を通じて義足というものが生まれ、その人に合ったものが提供されるのだ。学生一人々々の真剣な眼差しも、厳しく指導されている教授の熱意もどれも使う人のためにという気持ちがあってのことだろう。
月城教授は常に使用する人のことを考えるようにとの言葉を学生たちに向けていた。


月城教授



もちろん義足もさまざまな種類が存在している。
谷口さんのそれは学生たちにとっても珍しいものなのか、授業の時間が過ぎても彼らは多くの質問を谷口さんに問いかけていた。
半日を通して谷口さんと広島国際大学の先生方、学生さんたちには多くのことを学ばせていただいた。そしてそれは自分の世界では出会えるはずのないものであった。谷口さんのポジティブな気持ちや僕達と変わらない生活を送っていることにも驚いたし、義足という、いわばモノ作りに携わる真剣さも見ることができた。
今回のご縁で谷口さんとの撮影は続いていく。どんな人でも素敵だなと感じる根幹には何かにひたむきになっている目や姿勢がそこにあると改めて感じることができた。
帰りの車中でそんなことを思いながら、いい時間を過ごせたと嬉しくなった。


授業の様子



質問に答えている谷口さん

今回ご協力していただいた
広島国際大学義肢装具専攻 月城教授 大窪先生 学生さんたち
谷口さんご夫婦
ありがとうございました。

ここから先は

0字
このマガジンではダーツに関するヒントを綴っています。 あなたのダーツがある生活に少しのスパイスを。

プロダーツプレイヤーである僕のダーツに対する考えを、色々な視点から考える場所です。

真面目なことは言えません 好きに使うと思います笑 サポートされなくとも読んでくれるだけでありがとうです! これからも読んであげてくださいな