オタクが好き勝手に劇場版ウマ娘を語ってみた

 ※注意
 このnoteは「劇場版ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」の感想をまとめたものです。
 オグリキャップが引退レースの有馬記念で復活の勝利を挙げることや、猿の惑星は実は文明が衰退した地球であることや、ネロは愛犬パトラッシュと共に天に召されることや、シンフォニアにいるエリーの首飾りをかけた骸骨は実はジークハルトであること犯人はヤスであることダースヴェイダーはルークの父親であること湘北は山王戦に最後桜木花道のジャンプシュートで勝利すること五条悟は宿儺に敗北して死亡すること内通者の正体は同じクラスの青山優雅であることゴムゴムの実の正体はヒトヒトの実モデル・太陽神ニカである、という類のネタバレが含まれます
 これから映画を見る方は、映画を楽しむためにこのnoteを読まないことをオススメします。

 ※注意2
 感想をまとめますが、好き勝手に語るので文のまとまりは考えていません。また、自分語りも多分に含みます。興味無い方は読み飛ばして頂いて問題ありません。というかこのnote自体読まなくても人生になんの悪影響を与えることはありません。

ウマ娘が好き

 映画を語る前に、今回の劇場版ウマ娘に対する私のモチベーションはどんな状態だったか、そこから語ろうと思う。
 まず私はウマ娘が好きだ。
 2016年のウマ娘プロジェクト発表時にあのトンチキPVとよくわからん電波曲を聞いて私の脳みそはおかしくなった。この時はこの時で艦これにハマって脳みそをおかしくしていたが、これがさらにおかしくなった。
 これは自慢かつマウントだが、ウマ娘ファン最古参である。つまりろくでもない人間というわけだ。 Cygamesの株を買っておけばよかった。

「私はウマ娘アプリリリースからプレイしている大魔族だ」
「アウラ、お前の前にいるのは、トウカイテイオーやオグリキャップの声優が別の人予定だったころからウマ娘を追いかけている魔法使いだ」
「キッショ。なんで追っかけてるんだよ」

 うまぴょい伝説による怪音波を脳に受けた私だが、この時はまだ「面白そう」くらいの感覚だった。
 Twitterでも相互フォローの人でウマ娘の話をしている人はほとんどいなかった。私も、このときはほとんどツイートすることはなかったが、アプリの事前登録と有名なGIレースの視聴くらいはしていた。
 今では信じられない過疎っぷりである。今の流行り具合は「国」だが当時は「村」すら怪しい規模だった。

 ここからウマ娘がどういう歴史を辿ったかは有志がまとめてくれているだろうからそれを見てもらいたい。私がまとめてもこのnoteを見る物好きはほとんど居ないだろうから、徒労に終わるのは予想できる。ディープインパクトが武豊を乗せて未勝利戦に出た勝敗くらい簡単だ。

 私の話に戻す。
 そんなこんなでウマ娘のアニメ1期くらいから少し(1人か2人くらいだが)Twitterで話す相互フォロワーも増えた。
 私もそのくらいから馬券を本格的に買い始めるなど、少しずつうまぴょい伝説による怪音波の影響が脳に現れていた。
 アニメ1期が最終回を迎える頃には脳は完全にうまぴょい伝説にやられ、さらにJRAに脳波干渉(JRAは思考を盗聴し、馬券を当てさせてないように操作しているのだ)を受けて私の明晰な頭脳はウマ娘と競馬仕様にチューンナップされてしまった。
 このせいで「JR」と発声しようとすると「JRA」と言ってしまうようになった。言語野に支障をきたしている。怖い。
 アプリがリリースされた頃にはTwitterで見るほとんどのアカウントがうまぴょい伝説の怪音波とJRAの脳波干渉を受けたことでみんなが私と似たようなものになった。仲間だね。

 私が競馬やってる頃は「うわ……ギャン中キモ……」「馬券を買うとかクズじゃん」「仕方の無い人間ですねぇ、賢くないですヨ(スチャ」みたいなこと言ってたのにウマ娘にハマってから馬券を買ってキャッキャしてるの、忘れてねえからな♡

 アプリリリース、そしてアニメ2期の爆発的ヒットの影で私は職場で上司から必中効果を持つパワハラ無量空処(無限回の業務とパワハラを強制される領域)の領域展開を食らって脳がさらに壊れてしまい、ついでに肉体も壊れかける微笑ましいハプニングに見舞われていた。
 その結果……

 ウマ娘好きと競馬好きが高じて北海道のとある牧場に転職し、育成馬に乗って調教をつけるようになった。
 リアルウマ娘トレーナー(?)になろうとしたのである。
 脳はさらにおかしくなってどんなに遅く寝ても朝の4:30には必ず目が覚めるようになった。
 ウマ娘と競馬と牧場仕事のための脳と肉体に仕様変更された。

 つまりウマ娘が好きすぎて競馬の仕事についちゃいました、というくらいウマ娘が好きだ。
 この一文だけで十分なのに長々と自分語りをしてしまった。JRAの脳波干渉によって言語野に支障をきたしている。怖い。金返せ。安田記念は◎セリフォスで

 劇場版ウマ娘の発表がいつだったかは覚えていないが、少なくともウマ娘アニメ3期の出来に落胆しながら「切り替えていく。トゥモアナ(Tomorrow is another dayの意。ベイスターズのラミレス元監督がよく言っていた。これ結構大事なこと言ってると思う)の精神で」と思っていた記憶はある。
 だから最初は劇場版ウマ娘の出来に関しては不安があった。もちろん制作会社がアニメ版ウマ娘ではなく、ナリタトップロードのデカパイとトプロまんじゅうと泣き顔不器用ながらもひたむきに努力する姿が好きになったROAD TO THE TOPを製作した会社だったため、大丈夫と自分に言い聞かせていたが。
 だがいざ公開が近づくと、事前PVから伝わる演出が好みなのもあり、ボルテージは本命馬が素晴らしいデキを見せているパドック並に高まっていた。
 そして劇場版視聴日まで、馬に乗る時の私の集中力はとんでもないことになっていた。
 もしも怪我をしようものなら劇場版はもちろん、夏休みすら治療に追われ何も出来なくなってしまう(馬に乗れないのも給与とモチベ的に辛い)からだ。

 その結果同僚の外国人からは「(国に帰って数ヶ月いなかった間に)めっちゃ上手くなったな!!?」「グッド、ベリーグッドライダーね」と賞賛され、同僚からは「完全に馬乗るの未経験で乗り始めから半年ちょっとで成長速度エグいなw」と驚かれ、上司からは「馬がドンドン良くなってるな! 風俗に行くと馬乗りが上手くなるぞ! すすきの行ってこい」と認めてもらえるなど、嬉しいことが多数あり、馬のおかげもあって怪我なく劇場版ウマ娘の視聴にこぎつけられた。

 ウマ娘効果すごい。ウマ娘のおかげで仕事も上手くいくようになりました。あと筋肉もつきました。ヒョロガリモヤシが細マッチョに変わってきました。きっとウマ娘のメジロライアンも「いいマッスルですね……息吹を感じます……筋肉から生命の息吹を……立派な大胸筋になるんだよ……」も言ってくれるでしょう。
 ライアンはそんなキモいこと言わない……イヤ、筋肉に関しては言うかもしれない……。

 こんな紆余曲折あって、「劇場版ウマ娘新時代の扉」を視聴するに至ったのである。

 結論から言うと、単勝買った馬が完璧な手応えで4コーナーから抜け出し、3馬身くらいつけてゴールした。
 それくらい、文句なしかつ、ウンウンと頷きながら大興奮を隠せない出来だった。

全体の流れ
 相互フォローの方もリプライしてくれたが、超乱暴にまとめてしまうと「マンハッタンカフェの育成シナリオをジャングルポケットに当てはめたシナリオ」。
 もちろん手抜きとかそういうわけではない。作品の根っこがそこというだけで、ジャングルポケットに合わせて幹を太くさせ、枝を伸ばし、そして素晴らしい花を咲かせた。
 そのストーリーも超王道にして大迫力のスポ根だった。
 最強を目指すジャングルポケット。
 初めての敗北と共に刻まれた、ライバルとなるアグネスタキオンとの出会い。
 そのリベンジを果たせないまま、ライバルは怪我でレース生活を休止。
 タキオンという圧倒的に高い壁を前にして、勝てない、自分は最強にはなれないという恐怖と絶望を感じて沈むポッケ。
 ポッケは憧れの先輩のフジキセキの走りや言葉を聞いて再起し、恐怖や絶望を克服する。
 そして最強のウマ娘として君臨するテイエムオペラオーに挑むジャングルポケット。
 これが大まかなストーリーだ。
 脚本自体はチープと受け取られかねない、いわば「定番」。それを演出、演技、描写、作画、音響のどれもがこれらの要素を盛り上げて、劇場の席をレース場のスタンドに変え、「王道」に昇華させた。
 まさにスポ根アニメ映画だった。

いつもと少し違った劇場版?
 アニメにしろアプリの育成シナリオにしろ、ウマ娘のストーリーは「夢を目指すウマ娘」がいて「それを支えるトレーナー」がいて、「譲れない思いを持つライバル」や「強大な力を持つライバル」がいるのがいつもの流れだ。
 今回の劇場版も違わない。
 でも、全体的にテイストを変えていたようにも感じていたし、何より今回は「視点」が従来と少し変わったと感じた。
 アプリでは「トレーナーから見たウマ娘の姿」がメインだった。アニメでは「主人公のウマ娘の心情や行動がメイン」だった。
 今回の劇場版では「主人公ウマ娘を中心に、周囲のウマ娘を同じ世界の住人の目線で見ている」描写が多かった気がした。
 ジャングルポケットの破天荒さや落ち込みつつも何もしてやれないと見ているものに悟らせる姿。
 アグネスタキオンのナイフ舐めてそうなイカれたウマ娘の雰囲気
 マンハッタンカフェのタキオンと違って突然ナイフを取りだしてきそうなイカれたウマ娘の雰囲気
 ダンツフレームのおっぱいありふれた平凡なおっぱいは平凡ではないウマ娘の雰囲気。
 育成シナリオ上で、トレーナーから見たらメインの4人は当然可愛くて仕方ないだろうが、トレセン学園の生徒として4人を見たらダンツ除いて近づきたくない
 ポッケはいつもオラオラしててガラも目つきも悪い不良だし、タキオンは何を喋ってんのかよくわからないイカれたウマ娘だし、カフェは誰と喋ってんのかよくわからないイカれたウマ娘だ。
 ダンツちゃんはトレセン学園生徒目線でも可愛いからいいの。でも才能がないとか言わないで。春の二冠共に2着ってとんでもない上積みだからね。一般トレセン学園ウマ娘の立場になって見てみると泣いちゃう。
 こんなふうに、ただ可愛く書いただけではないのが私の心に刺さったのである。
 映画を見終えた頃には「私はトレセン学園にいる平凡なウマ娘────」と心が“アッチ側”に持っていかれていた。
 心が“コッチ側”に戻ってきたのは「未勝利を勝ち上がり、夏のローカル開催で1勝クラス脱出を目指して合宿所に行くバスで隣に座るクラスメートが車酔いで気持ち悪そうにしていることに気がついた」頃である。
 そんな視点を中心に、描写も結構変わった影響もあってか、作中の世界観への没入感は過去作で一番に感じた。

エキストラ
 史実でいう2001クラシック世代を中心に、キャラクターがメインで登場していた。
 しかし今回メインで登場しないウマ娘たちもたくさんエキストラで登場していた。ウマ娘ファンなら「あっ、あの人書かれてる!!」というのが多くて嬉しかったと思う。
 私は桐生院とか理子ちゃんとか都留岐さんとソノンエルフィーとか、そういった育成シナリオキャラクターが描写されているのがなんだな嬉しかった。
 シナリオだけの便利キャラではない、作り出したキャラクターも忘れてはいませんよって感じで。中々出すのは難しいだろうし、別に描写しなくても文句はなかったのに出してくれたあたりが、特に。
 ライトハローさんは見落としたけど、多分どこかに出ていたんだと思う。
 そして衝撃だったのがアストンマーチャン。ではなく!! その隣にいたでかいアストンマーチャンの着ぐるみ!!
 まさかのアストンマーチャンのトレーナーが登場である。多分トレーナーの描写として誰も文句を言わないんじゃないだろうか。だって着ぐるみだもん。本編でもやってるんだもん。
 アイツ、やっぱり普段から着ぐるみなのか? 謎は深まるばかり。
 それはさておき、エキストラで色んなウマ娘を描いて、画面を華やかに彩ってくれた。
 ウマ娘全員が主人公であり、ライバルであり、モブでもある。そんな雰囲気が好きになった。

テーマ
 ライバルと競い合うこと、自分の中に根付くライバルの幻影と自分に負けてしまいそうになるも、その恐怖と絶望を克服すること
 表のテーマはざっくりこんな感じだった。
 それと同時に、裏のテーマとしては悩みにぶち当たった時にどうすればいいのか? というのもあったように思えた。
 ポッケはタキオンの圧倒的な走りに敗北感を植え付けられた。次は勝ちたいと思いながらも、実際はもう勝てないかもしれないと思っていた。
 もしもタキオンが健在なら、リベンジするしかない。でもリベンジも叶わなかったら、どうやって敗北感を拭い取ればいいのか。

 壁にぶつかったとき、乗り越えるには結果を出すしかない。その結果が出せない時にどうするか?

 これはアスリートに限らず、何かの道を極めようとするのなら、誰もが感じることがあると思う。
 ただ生きるだけなら、困難から逃げたり、別の場所で結果を出すのも問題ない。それも立派な生き方だ。
 でも道を極めるのなら、避けては通れない壁に誰しもがぶつかり、挫折することがある。
 ポッケも、レースの道を進む上で、皐月賞で見せたタキオンの走りを超えなくてはならなかった。ポッケはその困難から逃げなかった。そんなポッケにフジキセキが走りを通して、伝えた。
 自ら困難に立ち向かった者は、逃げたり、立ち向かわなかった者より遥かに苦しむことになる。苦しんだ末に結果が出ず、潰れるかもしれない。
 だが自ら困難に立ち向かった者は、困難に打ち克つ権利を手にすることが出来る。
 つまるところ、フジキセキが伝えたのは「それでも努力して乗り越えるしかない」ということ。
 身も蓋もない結論だが、なんだかんだこれしかないのだと、私もそう思う。一発逆転の名案なんてあるわけが無い。
 残酷で険しいが、だからこそリアリティがあり、それが描写されたからこそ、立ち向かうウマ娘たちを応援したくなる、そんなテーマを感じ取った。

レース描写とウマ娘の本能
 今回は特にウマ娘の本能にフォーカスが向いていた。
 ウマ娘の本能は走ることであり、強い相手がいたら追い越さずにはいられない。
 特にトレセン学園に入るようなウマ娘はレースで活躍したい娘がほとんどだし、実際そういうものだろう思う。

 ちなみに馬も群れの仲間を追い越すのを本能的にやるらしい。
 野生動物に襲われた時に他のやつより速く走れば自分は食われないからだと。

 もちろんソースは無い。なんかの本でチラッと読んだだけなので信じてはいけない。それより馬券の予想を信じろ。大丈夫。今回は当たるから

 メタ的に言うとそんな馬の本能がウマ娘にも根付いてるよ、ということなのだろう。
 世界観に合わせて言うなら、相手に走りで勝つことが最高に気持ちいいんだろう。それこそ本能レベルで。多分食欲性欲睡眠欲にレース欲も付け足されているのかもされない。
 アプリでもレースで負けた相手になんか逆らえない、みたいな描写が多いし、あの世界のウマ娘同士の喧嘩は大半が走りで決めているのかもしれない。
 遊戯王の世界ではデュエルで全てが決まるようなものだろう。
 つまり……ウマ娘が走りながら……デュエルを……?

 今回はそんな本能を刺激されまくったウマ娘が多数出ているので、それはもうゲッター線のアレソレみたいな感じで、プリティーをかなぐり捨ててとんでもない形相で走っている
 いいんです。美少女がプリティーなんていらねぇと捨ててるのがいいんです。だからこそ美しいんです。
 変顔勝負でイメージと可愛さを捨てきれない女子アナみたいな振る舞いはウマ娘には不要
 というわけでウマドル、ロコドルがしてはいけないような全力の表情で走るダート組のメディアミックスを期待しています。

 レース描写ではなんかすごい光がいっぱい出てた。アプリで言う固有スキル、シングレでいう領域なんだろうけど、光だけで充分派手な演出になっていた。もしも技名を叫ぶみたいなことがあったらちょっとテンポが悪くなりすぎていた気がする。
 でも正直、血界戦線の如く技名を叫ぶウマ娘たちをちょっと見たい気もする。

ジャングルポケット
 今回の主人公。トレセン学園に来る導入が完全に不良がスポーツでなんかすごいシーンを見てやることを決める不良スポ根漫画のソレ。
 オープニングと共にトレセン学園にやってきてデビューから札幌ジュニアステークスを勝つまでがダイジェストで流れた。
 弥生賞でのフジキセキを見た直後は「アイツみてえな走りをしてぇ!」とか言ってたのにオープニングでは入学早々にフジキセキに目を輝かせて手を握っていた。
 存在しない舎弟が急にできて困惑通り越して引いてるフジキセキの表情は中々レアだった。
 お前懐くまで早すぎん?
 そしてホープフルステークスでアグネスタキオンに初めて敗北する。
 このときは「つえーやつがいてオラワクワクすっぞ!」という純粋な対抗心があった。
 皐月賞で完敗すると「がんばれタキオン……お前がナンバーワンだ」と内心で負けを認めてしまっていた。
 日本ダービーではタキオンがいない中、勝利するがかえってタキオンの皐月賞の走りに敵わないのではないのか、という不安が芽生えることになった。
 そこから恐怖と絶望を打ち砕く王道の展開になったいくわけだけど、当初の怖いもの知らずのポッケがジャパンカップでは恐怖を知り、他のウマ娘を認めながらも自分が最強だと宣言してみせる、いわば円熟した強さを見せつける流れが綺麗すぎる。
 ジャンポケ実装前からジャングルポケットを実装すればちょうど2001年が良いストーリーになると思っていたけど、素人が考えたお話を当然越えてきたわけで、そこがウマ娘制作陣へ感謝が尽きない。
 それはそうとネタバレ配慮のイラストでカニの化け物みたいなジャンポケが流れてきたけど出てきた時は「デフォルメで作画崩壊じみたところがあるのな」と思った。そしたらマジでそのまんまカニの化け物なジャンポケが出るとは思わねえだろ普通
 最初の方は変な顔どころか全身が変になってるジャンポケが多く出ていたけど、気づいたら憂いを常に帯びたシリアス顔を続けていて、ダービー以降ずっと重苦しくなっていた。
 お前が元気出さねえと……こっちまで元気なくなるだろ……。
 それはそうと今回持ってたあのミラーボールみたいなペンダントに対する説明は何も無かった。あれはなんだったんだろう。トニービンの魂が封印されてる?

アグネスタキオン
 完全にライバルの立ち位置だった。よく第2の主人公ってポジションがあるけど、今回のタキオンはその要素もあったと思う。
 アプリでの描写やタイムラインに流れてくるイラストではトレーナーの助けがないと何も出来ない「もう恋なんてしない」が美少女化した奴だったけど、初登場シーンから目がバキバキで突然脚を触り出す変態的仕草が満載で「そういえばこいつイカれたヤバい奴だった」ってことを思い出した。
 なんかトレーナーを光らせるくらいは大したことがないように思ってた。声の演技や口調ばかりでめちゃくちゃ天才かつ奇人みたいな雰囲気だけど、全編通して人の話は結構聞いてるんだよな。
 この手の天才キャラって他人を無視しまくるけどタキオンは気遣いや配慮がないわけじゃなくて実はまぁまぁいい人ムーブしてる。
 黙って薬飲ませたりしないし。
 作中ではウマ娘の本能は相手に勝ちたいと思って走ることが描写されたけど、当初のタキオンは他者との勝敗が介在しないウマ娘の限界を追い求めるという目的があった。
 本能と照らし合わせるとタキオンは全然違うものを見ているウマ娘で、確かにピントがズレているのが天才や変人ってポジにマッチしている。
 弥生賞でタキオンは1着でゴールする。その最終直線で限界を越えてたどり着いた景色では、自分の幻影の脚が砕けていた。
 タキオンは他者には見えない地点に到達したが、卓越した才能と頭脳から自分の脚が壊れることを計算で出してしまったのだと考えると、正直めちゃくちゃシチュエーションとして好き。
 周囲はタキオンの走りを無邪気に期待しているけど、本人の心は冷えていくという弥生賞から皐月賞にかけての描写がとてもいいよね。
 その後はタキオン育成シナリオでいうプランBを選ぶけどダービーでポッケの走りを見て、自分の心が乱れ、でも乱れの正体がなんなのかわからないという心の散らかり具合を暗示するように研究室がどんどん散らかっていったのは素敵な描写だった。
 大抵のことに結論を導き出して次へ進んでいた天才のタキオンが自分の心に走るノイズを解析できず、停滞していたという構図がまた、タキオンをただのライバル天才キャラに留まらせなかったよね。
 ポッケに併走しようと誘われてからようやく心の整理がついたのか、研究室を掃除してジャパンカップを見に行ったタキオン。
 そこでスタートした直後に出た「待ってくれ……」がか細くて最高だった。
 その後はジャパンカップの展開も見ずにタキオンは走り出していた。ずっと研究といういわば自分と被検体を見ていた中で、ここでようやく他者へ勝ちたい、他者に勝って自分が見たい景色を見るという、ウマ娘の本能を自覚する流れもまた綺麗だった。
 ウマ娘のアニメ1期からだけど、史実をなぞりつつも、史実で怪我で引退した馬をモチーフにしたウマ娘たちがまた復帰して走ることができるという、そういうテーマもウマ娘にはあると思う。
 実際の馬たちとは違う、だからこそウマ娘では自由でいいんだよ! また走ってるところを夢想してもいいんだよ! という夢が詰まってる。
 それはそうとお前、ウイニングライブでそんな柔らかな笑顔を浮かべることできたんだな……どういう感情?
 でもアプリ育成シナリオでも最後はファンの歓声を喜んでいたし、その境地に至ったのではと思うとちょっと泣く。

マンハッタンカフェ
 最初に出てきた時は誰と何を喋ってるかわからない学年に1人はいた不気味な不思議ちゃんだった。アプリで可愛いところばっか見てるせいでビビったぜ……。
 弥生賞でタキオンがカフェのいうお友達に近づいたのはやっぱりサンデーサイレンス繋がりもあったんだろうか。ウマ娘制作陣のことだからそういう意味も込めてそう。
 でも春を越えて夏くらいになると段々アプリで見る可愛いカフェになっていった。春は体調が悪かったからね、そのせいでちょっと怖く見えただけなんだよね。
 でもクラスでは浮き気味の不思議ちゃんが実はトレーナーにめっちゃ懐いててイチャついてると妄想すると私の性癖にグッとくる。
 カフェはポッケに対してあまり感情は向いてなかったような感じだった。もちろんダービーを制した世代を代表するウマ娘であり、追いついて追い越さなくていけないと目標にしていたけど、結構アッサリとしていた。それに対してタキオンに対しては終始、タキオンも持っているであろう本能を見抜いていて、その本能に気づくことになるだろうということも、見抜いているような言動だった。
 実際、共同部屋で一緒にいる分、理解がダンツちゃんやポッケより進んでいるのはあるかもしれない。
 ウイニングライブでは中の人の圧倒的可愛い声が漏れ出ていて歌声で声が高く、可愛くなるカフェが見られて満足した。多分あの世界ではカフェのウイニングライブを見て惚れるファンは多数いると思う。
 ジャパンカップのあと、オペラオー相手に有馬記念で勝って完全に時代が変わったことを突きつける役目があるけど、そこまで見るのはさすがにとっちらかっちゃうからね……ちょっと見たかった。

ダンツフレーム
 今回のプリティー枠その1。ダービーでも気合い入った返してたけどなお失われないプリティーさ。声も可愛くて惚れたファンは私だけでは無いはず。
 ダービーで「タキオンちゃんやポッケちゃんみたいに才能はないし、スタイルも綺麗じゃないけど」というセリフ、史実のダンツフレームはあまり見栄えがしなかったらしくて、そこから来てると思うんだけどそのおっぱいでスタイル綺麗じゃないは違うだろ
 と思わず突っ込みたかった。いやわかるよ? スレンダーなのがいいとか、アスリートだからね、手足の長さや骨格も関わってくるから大事なことだけどね?
 RTTTではトプロ委員長がデカパイ枠だったがやはりあの3人でデカパイは足りないからね。ダンツちゃんがいてくれないと……。
 ちなみに貰った色紙はダンツちゃんだったんだけどセリフが凄くサービス精神旺盛な風俗嬢っぽく見えてしまって……ち、違うんだ! 俺はそんなんじゃない! あのあとすすきのではいっぱい楽しみました。ダンツちゃんに引きずられておっぱいでかい人を指名しました。いやぁー、すすきのはレベル高いね!!
 ダメだすすきので遊んだせいでおっぱいの話しか出来ねぇっ!
 今作ではメイン3人が癖強すぎて尖りまくりだけど、常識人的かつ平凡なキャラクターだからこそかえって目立った。
 強いウマ娘たちに勝ちたいと思いつつも、敵わないかなぁと少し諦めてしまうもところある、いわば普通の女の子ってところがまた応援したくなるよね。
 正直ダンツフレームが主人公でまた別の視点で物語が描けるんじゃないかなとも思うくらい、いいキャラクターしてた。
 あとやっぱり、いいおっぱいしてる

フジキセキ
 プリティー枠その2。
 ポッケの先輩にして、ヒロイン要素もあわせもっていた。一応王子様ポジのキャラクターだけど、今回は全然その要素はなくて、ポッケを支え、面倒を見る良き先輩だった。
 でも心のうちには、弥生賞を最後に現役を退かざるを得なかったことを悔やんでいた。
 誰かを楽しませることを喜びとするフジキセキだからこそ、自分のトレーナーを自分の走りで楽しませられなかったことが苦しかったけど、その夢をポッケに託した。
 ポッケが苦しんでいた夏祭りは、怪我で走れなくなったことと、自分かライバルか違いはあれど幻影に勝てない恐怖を抱えることに少し気づいていたような素振りだけど、そこではフジキセキは何も出来なかった。
 実際にレースでポッケが苦しんでるのを見て、彼女を激励するために一緒に走るんだけど、他者のためにまず自分から動くというフジキセキの精神性が眩しく尊い。
 困難にぶつかって、それを越えられないことを恐れる心を理解しつつも、それでも走るしかないことを走りを通じて教えたフジキセキは立派な師匠だった。
 いい女すぎる。
 幸せになってくれ……レースに戻ってまた勝ってくれ……フジキセキなら勝てるよ……! 夢女ならぬ夢ファンになっちゃう。
 それはそうと勝負服を見た時にやっぱりおっぴろげた胸元がとてつもないノイズだった
 ポッケの「フジさん……そのカッコ……」が別の意味に聞こえたよ。いや現役に戻るという意味で勝負服はわかるんだけど! デザインよ。いや分かるんだけどさ!
 サイゲの頭ちんぽ野郎! ほかのウマ娘でもお願いします!
 ポッケが「フジさん」と呼ぶ度に富士山と聞こえていたのは私だけじゃないはず。

ナベさん
 プリティー枠その3。
 ポッケの性格が他のメディアの主人公たちと違うのもあるんだろうけど、ナベさんは結構口うるさいタイプだった。
 ちょっと他のトレーナーが見守るスタンスの中で少し意外だった。まぁ歴代主人公(スペちゃん、テイオー、オグリ、キタちゃん、ローレル)と比べてポッケは違うタイプだから、トレーナーもタイプが変わって面白かった。
 描写的に聞き間違えとかなければ、フジキセキが怪我で引退してから一線を退いていたけど、フジキセキを通してポッケの指導のために戻ってきたみたい。
 そのときのフジキセキの「私にとって一番のトレーナーはナベさんしか思い浮かばなかった」と困ったように笑う表情がいいんですよ。満更でもなさそうなナベさんも好き。
 フジキセキが悩んでいたように、ナベさんもフジキセキを怪我で引退させてしまったことを悔やんでいた。
 部室にトロフィーがたくさんあったから、何人も教え子を重賞、GI勝利に導いた名伯楽だったのかもしれない。
 でもダービーは勝ってなかったみたいだから、ついにダービーを獲れるかもしれないフジキセキが現れて……そこから怪我で引退してしまったことについて、短いお話が作れそうなくらい思いの丈がありそう。
 歳を重ねたトレーナーなだけあって、結構どっしり構えていて、口うるさくはあるけど、あまりブレないところが頼もしいトレーナーだった。
 ポッケがダービーを勝った時に、目を丸くしてキョトンとしていたのが、なんだか
歳を重ねたからこその表情なのかなと思ったり。その表情が今回の劇場版のプリティー枠に入る所以なんですね〜。

テイエムオペラオー
 さあ! 和田がグイグイグイグイ押している!
 和田がグイグイグイグイ押している!
 さあ! 真ん中第4コーナー!
 外の方から早くも、ナリタトップロード! 的場!
 そしてそのアウトコースにダイワテキサス!
 さあ、テイエムオペラオーはどうするんだ!
 テイエムはどうする!
 残り310メートルしかありません!
 外の方からダイワテキサス、そしてナリタトップロード、ダイワテキサス、ナリタトップロード、さぁ、ダイワテキサスか、ナリタトップロードか、内々にはアメリカンボスも突っ込んできている!
 残り200を切った、残り200を切った!
 テイエムは来ないのか、テイエムは来ないのか!?
 テイエム来た! テイエム来た! テイエム来た! テイエム来た! テイエム来た! テイエム来た!
 抜け出すか! メイショウドトウと! テイエム! テイエム! テイエムか! テイエムか! わずかにテイエムか!
 凄い苦しい競馬ですが……ウッ!
 わずかに、ジャパンカップではありませんが、
 わずかに抜け出した感じがいたしましたが…

 この詠唱で満足です。
 事前のキャラクターPVで出てきたテイエムオペラオーの立ち絵がまさに強者で最高でした。
 RTTTではまだ未完の大器という感じだけど今回はトゥインクルシリーズに君臨する覇王として見事なラスボスだった。
 一貫してこの子のスタイルは「君たちはすごい! 皆が等しく輝いている!」「僕はもっとすごいけど!!」
って感じで嫌味にならないナルシストムーブが好き。
 誰だティモンディ高岸って言ったやつは。タキオンのセリフか大泉洋のセリフかわかんねえようにしてやるぞ。
 でも俺は知ってるぞ……オペラオー……お前は皐月賞のときから最強だった……結果の話ではなく……黄金の魂が最強だったんだ……(後方腕組みファンヅラ)

アドマイヤベガ
 堕ちたな……スペシャルウィークルートに……。
 RTTTではメンタルがバチボコに削られていたのでフワフワトンチキムーブをしてくれるだけでね、おっちゃんは嬉しいんだ……カレンチャンの食い気味な「早く寝ましょ?」も好きです。アヤベさんが楽しそうで嬉しいよ。

ナリタトップロード
 前作主人公としてちょくちょく出番があったのが嬉しい。みんなお前さんのデカパイを見たがってるんだ
 ポッケが併走に誘ったらすぐ一緒に走ってくれるのいい子すぎる。

ルー・シマ・メイ
 ひょっとしてジャングルポケットの史実産駒モチーフだったりしない? 詳しい人が特定しそう。
 3人ともジャングルポケットの友達として一緒にいる賑やかし組として可愛かった。ドがつくシリアス展開の中でもプリティー要素を振りまいていた。
 結構こういう立ち位置のキャラクターってウマ娘作品の中では珍しい気がする。
 メインシナリオくらい?
 この4人でわちゃわちゃして遊んでいて欲しい。おつまちゃんはそっちのベンチで濃いめの角ハイボール350ml缶でちびちびやりながら見てるから……。

実況
 和田がハナを叩いたァ!!(言ってない)
 めっちゃノリノリで表情豊か。今回地味に優遇されてた気がする。テンションあがってるところが可愛かったです。

ウイニングライブ
 わりと唐突になんの説明もないまま始まってウイニングライブの存在を知ってるウマ娘ファンも若干困惑したと思う。
 ウマ娘未視聴勢「ウイニングライブってなんなの?」
 ウマ娘視聴済み勢「よくわからん……」
 そこのところはアプリのグランドライブシナリオでよろしくゥ!

まとめ
 長くなりましたが、それくらい語るところがたくさんの映画だった。
 粗は探せばあるというか、誰にでもウケる100点満点の映画では無いと思う。
 私にとっては求めていたものをきっちり出してもらった感じです。ありがとうサイピク……。
 俺もウマ娘への愛と共に頑張って競馬やり続けるよ……そろそろ返して?
 というわけで安田記念は
 ◎セリフォス
 〇ガイアフォース
 ▲ロマンチックウォリアー
 △ヴィオッジバブル
 △ステラヴェローチェ

 でおなしゃす!!


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