【マンガ紹介 #3】ニセモノの錬金術師【微ネタバレ】

錬金術師として生きていくだけ、のハズが世界は不思議と法則で満ち、途方もない苦難と成長を遂げる御話。

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作品データ

商業版の巻数:0巻、上記ComicWalkerURLから更新中の内容を確認可能
原作版の巻数:3巻だが厳密にはPixivの詰め合わせのため巻数の概念ではない。第一部は完結済み、第二部は読書中のため状態が判らない
原作:杉浦次郎
作画(商業版):うめ丸

あらすじ(1話の区切りが判りにくいため)

異世界転生した主人公はしがない錬金術師、生計を立てるために自分のチートスキル「天地万物のレシピ」を使用していた。そんな中、単純な労働力を求めて奴隷屋に訪れて、一人外国の少女と、見世物で何も役に立たない四肢以外も大きく欠損しているエルフを購入した。
奴隷契約の呪術に少々戸惑いを隠せない中、購入してしまったエルフで大量にぼったくられたことも含め、まぁ主人公が若干を余裕で通り越す程情けないことはその他キャラが解説するかの如く説明される。
ただ同時に自身のスキルと呪術と錬金術の基本としての第一資料等の説明がスルスルと行き来する。元々そういう素質が強く、またこの始まりまで苦難を味わい続けた証左でもある。それは端的に幾多の法則とそれを受け入れる用意が主人公にあるということ。
そしてそれに呼応するかの如く、奴隷で購入した外国の子もまた特殊な生い立ちがあり呪術への造形があり、一部金銭を得られるこの奴隷契約を通して利益を大幅に取得しようと試み且つ初日で目標まで行ってしまうが、自身の契約や利益を通り越した価値観を持つ主人が幸福を願う様子から、少し呆けてしまった彼女の顔で1話が終了する。

惹かれた点

世界がメチャクチャに拡張する。また英語圏のファンタジー界隈には「ソフト・ハードファンタジー」という分類があり、簡易的に理解するためにソフトファンタジーが「ロードオブザリング」、ハードファンタジーが「Hunter x Hunter」が含まれる。そしてこの作品は筆者が読んだ中で一番設定と世界観が凝っているハードファンタジーになる。ハード過ぎて一度読み進めるのを止めて再度読み直さないとついていけない程。だからこそ描写の意図やその解決口の素晴らしさが、この作品の奥深さを物語る。
また登場キャラクターが少なそうに見えて実は結構多い点と、それらの強さを我々が全然推し量れない点が悔しい。これらもハードファンタジー特有のルール性が強いキャラクター間での戦闘が互いのルール性の脆弱性と模範解答からなるメタの用意等、会敵前後のソリューションの用意や切り札となる要素の用意もある。
また作品全体が「想い」を準拠にした作品なので大変希望が持てる。ただただ諦めるべきではないことや、絶望をうまく顕現させる。なので咀嚼するのにかなりカロリーが居る感情をわんこそば感覚で出してくるからこそ読むのが止められなくなる。
そしてこの作品の枠組みを超えるが、スピンオフ作品の「スカイファイア」や「神引きのモナーク」等も出している。正直私ももう少し継続力の才能があれば同じ設定の2次創作として何か出したいし、出した時に設定の穴を確認しながら執筆したいぐらいだ。

微ネタバレ付きの感想

世界ってスゲー!あと照応効果と無意識の張力もすこ。も~好きなもんで埋めつかされてるからこそ、何が間違ってもこの異世界には転生したくない気持ちはある。
諸々理由があったのは重々承知だが、私はこの作品に出てくる全キャラクターのいずれにも勝てる見込みがない運命力なので、相手の運命力に翻弄され犠牲になる未来しか見えん。
個人的にはアグノシアさんとノルンさんの関係性が一番好きだったりする。

最後に

著者こと杉浦次郎さんの別作品「僕の妻は感情がない」の見開きにて「その場その場で書きたい物語を描いています」のような旨のメッセージを記載していた。ただただ自分の脳みその構造が違うんだなと知らされた後に、この文言を見ると相も変わらず世界の広さと偉大さに圧倒されるばかり。いずれの作品も大きく成功することを心からお祈り申し上げます。
最期まで読んで頂きありがとうございました。

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