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多様性の野球~身体障がいとテクノロジー”サイボーグ”

今回は前回に続いて身体障がいとテクノロジーのボソッと第2弾、”サイボーグ”についてです。

身体障がい者の身体機能をサポートする義足・義手がいますごいことになっていますね。

進化した義足・義手が”サイボーグ化”した話を知ったとき、大変驚きました。

サイボーグとは、ヒトが機械と一体化して機能していることを言います。

大人の身体障がい者野球のルールには義足も義手も使っている選手も出場可能ですが、サイボーグによって進化した義足・義手を使う選手が出てきたら、どんな野球になるのだろうか。


そこで、義足や義手がどのような進化を遂げているかを、2人のお話をご紹介したいと思います。

そして最後に、彼らの挑戦がこの社会をどのように変えていくのかもボソッとしたいと思います。

●生体工学者ヒュー・ハーさんの”スーパー・ヒューマン”

●ロボット工学博士のビーター・スコット・モーガンさんの”ネオ・ヒューマン”

彼らの行っている”サイボーグ化”は、幼いころロボット好きだった私の心の中にあった『未来への夢』を呼び起こすものでした、『未来』という言葉を聞くだけでワクワク感が止まらなかったあの心が再び蘇ってきました!

そうです、これこそ『21世紀』らしいお話です!


人体と機械を融合した”スーパー・ヒューマン”


映画『スター・ウォーズ』の主人公ルーク・スカイウォーカーが父親であるダース・ベイダーによって右手が斬り落とされて以来、彼の右手は機械の義手が装着されています。

ルークの装着している「バイオニックアーム」ですが、これは映画の中での話だったのですが、まさか私たちの現実の世界に登場することになるとは・・・


今回ご紹介するのは義手ではなく義足ですが、まさしく「バイオニック義足」といっても過言ではないでしょう。

人間の足と同じような構造を持ち、使用者は考えるだけで人工装具を自分の体の一部と同じように動かすことができるのが「バイオニック義足」です。

脳からの指令によってふくらはぎの筋肉が実際の動きを正確に反映させることで、自在に動かすことができる義足を開発したのが生体工学者ヒュー・ハーさんです。

ヒュー・ハーさんも凍傷で両足を切断したことで、自らも両足に義足を装着しております。


NHK番組『人体と機械の融合を求めて-生体工学者ヒュー・ハーの挑戦-』において、番組最後に登場した「バイオニック義足」は、もうほんと、『これぞ21世紀!』というものでしたよ!

彼は番組内で、「社会的弱者を”特殊能力者”に変える社会変革を起こしたい」とおっしゃっています。

「私は障害と言う言葉は使いません。障害と言う言葉には弱いというイメージがありますが、人と違うだけで、弱いというわけではありません。

世間では”普通の人間”、”普通の体”といった表現が当たりまえのように使われ、みんな”普通であることが能力の頂点”だと信じています。

でもこの考えは崩れようとしています。」

NHK番組『人体と機械の融合を求めて-生体工学者ヒュー・ハーの挑戦-』

ヒュー・ハーさんは身体障がい者に以前と変わらない生活を提供することだけを目標とはしておらず、人間の能力を拡張する可能性を追求することにも挑戦しています。

「サイボーグなら筋肉がモーターを制御して、技師の動きを感知するよう再形成され、跳躍力や走力が”拡張”されます。

今世紀が終わるころ、人類の姿は現在とは違っていると私は考えます。」

NHK番組『人体と機械の融合を求めて-生体工学者ヒュー・ハーの挑戦-』


つまり、義足・義手によって”スーパー・ヒューマン”を目指すというのが彼の挑戦、ヒューさんからは今後も目が離せません。


未来のAIと人類のあり方”ネオ・ヒューマン”


ヒュー・ハーさんは”スーパー・ヒューマン”を目指して挑戦を続けている一方、”ネオ・ヒューマン”として未来の人類について挑戦していたのがイギリスのロボット工学博士のビーター・スコット・モーガンさんです。

ビーターさんはALSで余命2年と告げられたのですが、麻痺する自らの身体機能を次々と機械に置き換え全身をサイボーグ化することで難病を克服する道を実践しました。

将来的にはすべての身体機能を機械に置き換えることを目指していたのですが・・・2022年6月15日、いまから約1年前に安らかに息を引き取られたと、ご自身のTwitterで報告がありました。

彼の研究によって、今まで弱者とされてきた重病患者の社会参加も可能となるのではとされていましたので、本当に本当に残念です。


AIと人類のあり方を考えたビーターさんは、"ネオ・ヒューマン"として人類最初の実験を自らの体で行うことに対して、こう言っています。

「もちろん怖いですよ。しかし、絶望のさなかでも常識を打ち破り、宿命にあらがい、自ら運命を切り開くことで生きた証しを未来に残せるかもしれません。

そのとき、私たちはすべてを変えられるのです。」

NHK番組『クローズアップ現代』「ピーター2.0 サイボーグとして生きる」

ビーターさんの挑戦である、「人はどこまで肉体にテクノロジーを取り込んでいくのか」ということにチャレンジした姿は全世界の人々が見守っていましたので、今後、ピーターさんの研究を引き継いで最新のテクノロジーを駆使して難病を克服する道を探っていく方が登場することを願っております。


テクノロジーが社会変革を起こす


”スーパー・ヒューマン”と”ネオ・ヒューマン”がテクノロジーによって登場することによって、社会はどのように変わっていくのでしょうか。

それは『弱い』という概念が変わることなんでしょうね。

これまで社会になかなか参加できなかった方々がテクノロジーによって”社会参画”できるようになる、つまり今後の社会はそれがアタリマエとなる時代になるわけですから、ヒューさんとピーターさんの挑戦は社会そのものをより良いものに変えていくものであると、信じていきたいですね。


両足の無いヒューさんを、健常者は哀れに思わないでしょう。

機械につながれたピーターさんを、我々は弱いとは一切思いませんでした。


それよりも、私はヒューさんとピーターさんと一緒になって野球をしたら、どんなことができるのだろうか?どんな野球ルールにしたらよいのだろうか?

野球の未来について、妄想してしまいました。


ただ、テクノロジーの進化によって社会変革が起きるならば、私たちがしっかりと考えていかないとけない課題も見えてきました。

身体障がいを健常者のように元に戻そうという時代ではなくなり、それよりもテクノロジーの力によって健常者よりももっと上の能力を目指すことができる時代となるならば、どのような社会を築き上げていくことが望ましいのか、しっかりと考えていかなければならないと思っております。

次回はその課題についてボソッとできればと思っております。

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