見出し画像

『白熱教室』のマイケル・サンデル教授を”TTP”

昨日の記事では、”論破”では解決できない「アメリカの分断」問題についてボソッとしました。

”アメリカの分断”のように答えを出すのが難しい問題にどのように対応すればよいのか?


今回は、『白熱教室』で有名なマイケル・サンデル教授を”TTP”しながら、難しい問題にチャレンジしてみたいと思います。

マイケル・サンデル教授とは、『白熱教室』という番組に出演している有名な教授ですね。

『白熱教室』では、簡単に答えがを出せない難しい難問を学生に投げかけながら、学習者を議論に引き込み、対話によって「気づき・学び・考えさせる」という手法で、問題解決のヒントを探っていくという番組です。

つまり、世界のだれも正解を出せない問題、答えは必ずしもひとつではない問題を考える場合、マイケル・サンデル教授の手法はとっても有効的ではないかと考えております。

”TTP”とは
「徹底的にパクる」という意味です。
ローマ字に変換「Tettei Tekini Pakuru」
これらの頭文字をとった言葉です。

そこで、マイケル・サンデル教授の手法だけでなく、サンデル教授が良く使う言葉もTTPしながら、前回の記事でも取り上げた大変難しい問題”『禁書』を求める保守派とリベラル派の分断”について、考えていきたいと思います。


では、実際に授業をしてみましょう!

もしも、『禁書問題』をマイケル・サンデル教授がテーマとして扱ったらを・・・・

妄想したいと思います!


※下記の内容はNHK番組『国際報道2023』「保守派とリベラル派の”文化戦争”」(3/7放送分)を参考に、『白熱教室』っぽく、編集した内容となっております。


マイケル・サンデル教授の『白熱教室』”『禁書』を求める保守派とリベラル派の分断”



●マイケル・サンデル教授:

今回のテーマは、”『禁書』を求める保守派とリベラル派の対立によってアメリカで起こる分断”についてだ。

全米で学校や公共の図書館から”特定の本を禁止”する動きが広がっている。

そこで質問だ、性的マイノリティや性描写、人種問題を扱った作品は禁書にすべきか?手を挙げて答えて。

禁書に賛成はどれくらいいる?
反対は?

では、賛成の人から意見を聞いてみよう、なぜ賛成?


●賛成(保守派):
「こんな気持ち悪い本を子どもが手にする理由など1つもない。」


●マイケル・サンデル教授:

では、反対の人から意見を聞いてみよう、なぜ反対?


●反対(リベラル派):
「本を禁止しなくてもいいやり方があるはずだ。」


●マイケル・サンデル教授:

ありがとう、それなら君にひとつ質問をさせて欲しい。

君は禁止にしなくてもいいやり方があるはずだと考えている。では、どのような方法を取れば、禁書までしなくても良いと考えるのか教えて欲しい。


●反対(リベラル派):

「保守派(禁書賛成派)は、本全体の文脈を無視して一部分だけをあげつらっています。」

「だから、私は自分の子どもに何を読ませるか決めたい。他の親に決めて欲しくないです。」


●マイケル・サンデル教授:

本を選ぶのは自分たちで判断して決めるというやり方ならば、禁書にする必要はないということだね。

それでは、誰もが自由に本を選ぶ権利がアメリカにはあるという意見に対して、反対の人は手を挙げて欲しい。


●賛成(保守派):
「それは、伝統的な価値観をないがしろにするリベラル派の試みです」


●マイケル・サンデル教授:

なるほど、自由に本を選ぶ権利があることで、アメリカの伝統的な価値観を守ることができない、だから禁書の動きが広がったということだね。

”価値観”の相違、これが禁書を巡る問題を深刻化しているようだ。禁書を反対する意見として自由に本を選ぶ権利があると主張しているが、これではアメリカの伝統的な価値観を守ることができないということだね?


●賛成(保守派):

はい、こうした本は価値観を破壊し子どもたちを洗脳します。学校の図書館に置けば子どもたちは問題ないと受け止めてしまう。深刻な”文化戦争”のまっただ中にいるのです。


●マイケル・サンデル教授:

それでは、この意見に対して、反対のリベラル派から賛成の保守派の方へ直接語り掛けて反論してみてくれないか。


●反対(リベラル派):

「これは、性的マイノリティを受け入れない保守派が自分たちの価値観を押し付けようとする動きです。」

「相手を叫弾するひどい”文化戦争”を学校現場に持ち込もうとしているのです。」


●マイケル・サンデル教授:

実に興味深い指摘だ、どうもありがとう。

お互いの意見にもあった”文化戦争”、”戦争”という過激な言葉を使ったことを踏まえると、状況は深刻化しているようだね。

対立の理由が価値観であるがゆえに保守派とリベラル派との対立がより深まってしまったということがよくわかったところで、

それでは、賛成/反対以外の考えを持つ第三者から意見を聞いてみたいと思う。

それは、図書館側の意見だ。

禁書を巡って賛成派/反対派ともに、両者の価値観の対立構造が明らかになった今、第三者が持つ価値観についても考えてみたいと思う。

取り扱う本への異議申し立てによって禁書が増えることは、図書館自体の価値観が危機に瀕しているのではないか?それでは図書館側からの意見を聞いてみよう。


●全米図書館協会:

「公共図書館は公的な機関です。

さまざまな声を代表する蔵書やサービスを提供しなければなりません。

私たちの原則はどの本も必要とする人がいるということ。本と読み手を結び付けるときに価値判断をしてはなりません。」



●マイケル・サンデル教授:

どうもありがとう。

つまり、賛成/反対している両者の価値観だけでなく、社会のあらゆる価値観を反映させていくのが、図書館が大事にしたい価値観であるということだね。

それでは、最後に実際の図書館を使う子供たちの価値観はどうなっているだろう。子どもたちにも意見を聞いてみよう。


●子どもたち:
「大人たちは政治的な考えが頭にあるだけで私たちの声なんて聞こうとしていません。」

「マイノリティを受け入れないという禁書を行うことは、校内での同性愛者などへの偏見につながります。

”私たちが賛同しないから、あなたたちも賛同すべきではない”と言われているようなものです。」


●マイケル・サンデル教授:

ありがとう。

子どもたちは自分たち抜きで勝手に議論が進んでいると感じている生徒も少なくはないようだね。

大人たちの対立に冷めた目で見ており、多くは禁書に反対の立場であることは、大人たちも知っておいて欲しい。


実に素晴らしい議論だった。

保守派とリベラル派だけでなく、図書館、利用する子どもたちの価値観といった、多様な価値観が社会にはあることがわかったと思うが、そんな社会の中で保守派とリベラル派の2つだけに分かれて議論することに意味があるのだろか?

どちらの意見が強いとかそういう考え方だと、より一層、アメリカの分断は深刻化してしまう。

そうなると、どちらも譲歩・妥協もできなく、解決をより一層難しくなる前に、2つの価値観だけで優越を決めるのではなく、社会のあらゆる価値観を反映しながら、新しい問いに気づき、みんなで折衷案を導き出し、自分たちの答えを構想していくことが大事だと思う。

我々は多様な価値観を尊重することにチャレンジする時代に来たのではないか?私はそう信じたい。


次回も引き続き議論を続けていきたい、今回参加してくれてどうもありがとう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?