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コロナの影響を確認する米企業決算が始まった

今日から本格的に米企業の決算発表(1-3月期)が始まっている。
米企業の決算は金融機関から始まるが、本日はJPモルガンやウェルズファーゴなどが決算を発表している。

本日発表された企業決算

<金融>
JPモルガン 売上× EPS× 総合× 株価▲2.74%
売上は$29.0blnで予想$29.5blnに届かず($bln=10億ドル)。EPSも$0.78と予想$2.14以下。利益は前年比▲69%と悲惨な内容。何よりも衝撃だったのは貸倒引当金で$8.29blnも計上している。米銀が、今後倒産する企業が増えることを非常に警戒していることがわかる。
ウェルズファーゴ 売上× EPS× 総合× 株価▲3.92%
売上は$17.7blnで予想$19.3blnに届かず($bln=10億ドル)。EPSも$0.07と赤字寸前で予想$0.54以下。JPと同様に貸倒引当金を$4blnも計上しており、こちらも想定外の内容。

金融決算の出だしは非常に悪い内容となった。特に貸倒引当金の金額は尋常ではない。
明日以降は、Citi, BoA, GS, モルガン・スタンレーなどの決算を控えている。

<その他企業(決算だけでなく個別ニュースも)>
J&J 売上◯ EPS◯ ガイダンス× 株価+5.06%

売上とEPSは市場様相を上回ったものの、通期見通しは下方修正。
しかし、増配を決定しておりこちらが好感され、株価は上昇。重要なのは本来、先行きを重視するマーケットが、"先行きの悪さ"よりも"増配"という短期的な要素の方を重視して、株が上昇していることで、すなわち地合いの強さを表しているのだろう。
アップル
中国向けのiPhone販売2月こそ▲60%と落ち込んだが、3月は+19%と好調。
ボーイング
元々、1月から737MAXの生産を停止していたボーイングだが、そこにコロナショックが加わり、1-3月期の出荷は7割減少した模様。

悪い決算でもS&P500指数は上昇。その理由は。
本日の米銀決算は中身が悪いにも関わらず、インデックスベースでS&P500は大きく上昇。
良い材料が出たから上がった訳でも、新しいテーマを見つけた訳でもなく、マーケットのポジションがまだショートだったということだろう。

実際、先週、S&Pがコロナウイルス後の暴落からの半値(2800)まで戻す中で行われたトレーダー陣のテレカンでは、約7割が売りとの意見であった。

そのやられている7割のトレーダーの一人に、(恐る恐る)話を聞いてみたが、彼はポジションは圧縮したものの、まだショートを引っ張っているようで、ある意味マーケットの温度感を表している。

つまり、本来なら値動きで切らされるポジションが、あまりに良い材料が出てこないので、損切りが遅くなっている。

個人的には、今のようにボラティリティの高いマーケットでは中期的なポジションを保有するのは非常に難しく、デイトレを中心にしたオペレーションが最適とみており、あまりポジションに気持ちを入れないように心掛けている(損切りと利食いを普段より早く行う)。

一方、中期的なビューとしては、まだ株式市場にベアで見ており、EPSの落ち込みから計算されるバリュエーションははるかに現在の価格よりも下であると考えている。

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