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悲惨な経済データと企業決算が続く・・・

昨日、S&P500が2850にタッチし、短期筋のショートは大部分がカバーさせられた印象。一方で、機関投資家は資産の復元をできていないところが多く、3月のようなスピード感を伴う下落はないと予想している。
本日のNY時間も下げ始めたら早いかと思いきや、意外と下げ渋った印象で、米株は3月の底から30%上昇しているが、ロングは溜まって来なかったということだろう。

金融機関の決算は悲惨なものが多いが、貸倒引当金の計上が大きな要因。
しかし、政府が中小企業の支援に乗り出していることを考えると、実際に倒産する企業はそれほど多くなく、ゾンビ企業が増えるのではないかと考えている。その場合は今後の決算で、引当金の戻りを計上(利益として)することが出来るので、悪いものを先に出していると考えればポジティブか。

アジアでは中国、韓国、台湾といった貿易立国が、3月貿易収支を発表しているが、総じて予想よりもしっかりした内容で、これはサプライチェーンは意外と影響を受けていないことを意味しているのだろう。
よって、今後のマクロ指標は生産などの供給サイドよりも、個人消費といった需要サイドがいつ回復するかに焦点を当てていくべきだが、その意味では本日の米国小売統計は失望させられる内容となった。

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本日発表された経済指標・企業決算は以下の通り。

経済指標
小売売上(3月前月比)▲8.7%

自動車(▲25.6%)、衣料品(▲50.5%)、レクリエーション(▲23.3%)が悲惨。しかし、3月前半はまだロックダウンをしていない地域も多かったことから、4月は一段と悪化する可能性が高い。一方、食品(+25.6%)やヘルスケア(+4.3%)、オンラインショップ(+3.1%)などは一時的な需要増の影響を受けている。ただ、これらの消費は需要の先食いであり、4月は続かないと考える。
NY連銀製造業指数(4月)−78.2
リーマンショックを遥かに超える下落。85%が事業環境の悪化を訴えており、新規受注は−9.3から−66.3、雇用指数は−1.5から−55.3へと大幅に悪化している。加えてNY州では来月に経済活動を再開できる見込みもなく、極めて悲惨な内容と言えるだろう。
鉱工業生産(3月前月比)▲5.4%
自動車や輸送機器といった耐久財の落ち込みが激しい。実際、大手自動車メーカーやボーイングなどの航空機メーカーは3月中旬から工場を停止しており、4月は一段と落ち込む可能性があるだろう。
企業決算($bln=10億ドル)
BoA 売上$22.6bln(予想$22.7bln) EPS$0.37(予想$0.54)

昨日のJPモルガンやウエルズファーゴに続き貸倒引当金が重たくのしかかっている。BoAは$4.76blnを計上しており、過去10年で最大の金額。トレーディングは好調であったが、引当金形状で利益は45%の減益。 
Citi 売上$20.7bln(予想$19.0bln) EPS$1.05(予想$1.44)
Citiは貸倒引当金を$7.03bln計上。トレーディングは$4.8blnの収益を上げており予想の$3.8blnを大幅に上回った。純利益は46%減少。
GS 売上$8.7bln(予想$7.8bln) EPS$3.11(予想$3.28)
トレーディング収益は$5.16blnと予想$4.36blnを上回り好調だったが、投資ポートフォリオが$0.9bln毀損したことや、貸倒引当金$9.4blnの形状で純利益は46%減少。
ユナイテッドヘルス 売上$64.4bln(予想$63.8bln) EPS$3.72(予想$3.64)
コロナウイルスの恩恵を受けるヘルスケア最大手のユナイテッドヘルスは売上、利益ともに予想を上回る内容。通期の見通しも据え置いており、株価も3%超上昇している。


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