黒いタイツ

私は男である。男は黒いタイツを履くのはおかしいという時代の人間である。幼稚園の時、意味が分からず黒いタイツを履かされた。私の記憶では、少なくとも2回は履いている。自分から履いているのではない。母から履かされているのである。なぜ履かされていたかは覚えていないが、赤ちゃんの時の足先まですっぽり入るつなぎの服を着ているようだった。

黒いタイツは、トイレの時に困った。ズボンを下ろしてパンツを下ろして用を足すのであるが、ズボンを下ろして、黒いタイツを下ろしてパンツを下ろすというように、1ステップ増えてしまった。私はトイレで漏らしてしまった。だから黒いタイツは嫌な思いでしかない。そもそも、トイレで漏らしてしまうまで我慢していたのは、確実に私のコミュニケーション能力の低さのためである。この能力の低さで、小さい頃はいろいろと嫌な思い出を作っている。

私が幼稚園の頃は、弟と2人の兄弟だった。なぜ、黒いタイツが存在したのか?今でも謎である。女性は、タイツやストッキングを履く。私も少し前はももひき(股引)を相当寒いときは履いていた。幼稚園時代に男がタイツを履く考えがなく、私がコミュニケーション能力が低いために起きた惨事を、タイツは嫌なものと思ってしまっているのだろう。今では、スポーツ時にスパッツを履いている。

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