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【感想】心配すんな。全部上手くいく。/著:ヒカル

転職活動記録の途中だが、先日発売されたヒカルさんの本の感想を述べたい。少なくとも私には、Youtuberヒカルという先入観で、この書を読まないことは勿体ないと思うくらいには良い本だと思った。

感想 ※ネタバレあります

最初に伝えると、私は『Youtuberヒカル』を特別大好きな人ではない。チャンネル登録はしているが、全部の動画を見ているわけでもないし、彼の行動を全肯定するほど盲目でもない。
彼の動画での言葉を借りて言うなら、「ファンの一歩奥の人」だと思う。
でも彼が発信する言葉には妙に共感することも多く、まえっさんやかつやさん等ご家族とのやり取りが好きでだんだん彼を認識し始めた。一番惹かれるのは彼の「仕事人」としての思考だ。ヒカルの思考がすべて詰まっている、そういわれると欲しくなるではないか。やり手だ。

「考える」ということ

彼は自分は「何者でもない」という。特別じゃなくても、成功することは出来る。そして「成功」は人の数だけある。自分の書をすべて参考にする必要はない。何をもって成功するのか、その答えはそれぞれ自分の中にある。
読めばわかるが、彼は毎日PDCAを繰り返す。多くのビジネスシチュエーションで出てくる『PDCA』;Plan(計画), Do(実行), Check(確認), Action(改善)そんな言葉を使わないが、ひたすら彼はそれを行っている。そして繰り返し「考えろ」という。考えて考えて、次の行動を決める。
特別なことをしていない、「考えれば必ずなんとかなる」とはいうけど、そこまで考え続けるってなかなか出来ないよ、継続して考えられることはヒカルだからだよ、と思うのだが、彼はこうも書いている。誰もが出来るのに、それを阻む唯一の強敵は自分である。自分の心が、やれ難しいだの自分には無理だの決めつける。うむ、なるほど。
私にはNowで強敵が生まれているのだ。

自分の強みを知るということ

この本が読みやすいな、と感じたのは、特別感がないところだ。いわゆる大衆が手に取っても共感できる、そんな内容のように思う。例えば「自分の強み」の話。強みは誰にでも絶対にある。問題は、その強みに自分で気付けていないことだ、という。

あなたはそれをあたりまえのようにやってのけている。苦もなくやっている。だから見落としてしまう。それが自分の強みだと気づかない。でもあなたにとってのあたりまえは、ほかの人にとってのあたりまえではないのだ。

心配すんな。全部上手くいく。/ヒカル より

これは、職務経歴書や自己PRを作成するにあたり、私も参考にした自己分析法だった。圧倒的に他人より抜きん出ている才能やキャリアがない限り、自分の強みを言語化することって割と難しい。だから「別に普通のことなのによく他人に褒められるな」と思うことを思いつく限りあげてみた。努力している自覚がなく、他人に評価されていることが自分の強みなのである。

私が彼に関心を持ったのは、「牛宮城の撤退」を素早く決断した時である。共同経営の難しさも勉強になったし、またよくも悪くも彼ほどの影響力のある人が、一度やると言ったことをやらないと決断する潔さ。素人ながら英断だと感じたが、それを実行に移す行動力に興味を惹かれた。その後、彼が同じ飲食業というジャンルで新たな名を馳せる。ダークヒーロー(と言われている)である彼がプロデュースする根幹が「お母さんの味」というギャップも目を引く。話題になるきっかけの仕掛けが施されていると感じた。

「文章を書け」と彼は言う。私も、悩んだとき、迷ったとき、イライラしている時、文字にして思考を整理する方なので、割とストンと心に落ちた。営業をしていたという彼のBackgroundも、私が共感しやすく彼の考えがすっと落とし込める理由なのかもしれない。

転職活動への影響

このタイミングでヒカルさんの書の感想を述べるには理由もある。
直接書籍から影響を受けたわけではないのだが、今回私が転職活動の際優先事項として「年収を下げたくない」という希望を入れたのは、ヒカルの動画を見てふとよぎったからなのだ。

最初、特別な資格もなく、40代の転職ということで、やりたい仕事を選んだときは年収は下がっても仕方がないだろうなと思っていた。というよりもキープすることさえ考えておらず、年収は二の次と思っていた。
それは、2年程前に転職がよぎったときに相談した某社転職サポート企業のキャリアコンサルタントに言われた言葉も頭に残っていたからだ。
「同じ業界なら今の会社で頑張る方がいい。人間関係に問題がないならわざわざ新しい環境にすることはメリットが少ない。他業界/未経験職種に就くなら、一旦は年収が下がることは覚悟した方がいい。きっとすぐに取り戻せるとは思うけどね」と。

そして、二年前の私はそこで転職を踏みとどまった。
現在の自分はそれでもいい、と転職に踏み切った。

なりたいものになれるのは、なろうとしたものだけ

周囲の状況が変化し、何かと入用になる未来が見え始めた。自分は我慢するしかないのだろうか、もう旅行も出来ないのか…贅を尽くしたいわけではない。けど私は一般的な庶民だ。でも、ふと、我慢が嫌なら我慢しなくてもいいように稼げばいいんじゃないの?と思い直したヒカルがお父様のかつやさんに親孝行をしている動画をみたことがきっかけだ。
どの場面が、というわけではない。年を取って新たな親子関係を気付いている姿を見て「ヒカルだってニートからスタートして金持ちYoutuberになって親孝行をしているのに、なんで私は転職をして年収を下げることばかり考えているのだろう」と思ったのである。

唯一の強敵は自分

私は、多分彼ほど逆境に強くない。失敗も恐れる。でも、彼になりたいわけじゃない。ではどうなりたいのか。そこはもっと自分の可能性を信じてみてもいいのではないか。もしダメだったら…ダメだったら撤回すればいい。
一生守り続ける誓いでもなんでもない。でも、目指さなければ、そこに辿り着く可能性は格段に下がるのだ。
だから「自分がやりたいと思った仕事を選ぶ」「年収は出来るだけ下げない」という二軸にした。私なんかが年収を口に出すのはおこがましいと思っていたけど、まさに私の可能性を狭めていたのは、自分自身だったのだ。

お渡し会にも行ってきた

私が「Youtube」というコンテンツを見始めたのは、2018年夏ごろ。彼が著書の中で大きな逆境と繰り返し言っているVALU事件も、祭りくじ動画も当時は全く知らかった。はじめしゃちょーとヒカルが同じ人だと思っていたくらいだ。そんな私が、ヒカルの書籍を買うまでに彼に関心を持つことになる。彼が仕掛けた一般層の網に引っかかったとも言える。
どうせ買うなら、お渡し会で本人に会ってみたいと思った。

やんちゃなギラギラしたお兄ちゃんだと思っていた想像のヒカルより、実際はもっと落ちついたかっこいい、しゅっとした成功者、という印象だった。
お世辞ではなく、動画よりかっこいい。そして丁寧に一言一言声をかけながら一冊一冊を目を見て手渡ししてくれた。
とても良い思い出になった。

彼は、好んでダークヒーローになっている。
私はダークヒーローにはなれない。でも、自分はそうならなくていいと思える本であることがいい。彼は自分を「成功者」だという、あくまで彼の夢を元にした「成功者」である。
では、私は何になりたいのか。どう生きたいのか。何をもって「成功」なのか。少し思考を巡らせる機会をくれるそんな本だと思う。


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