「その英語使わない」って本当?

「使える英語」「実はその英語間違ってます」など、英語の記事の見出しはさまざまである。
最近ちょっと気になりはじめたのは「その英語は使わない」という内容の記事。
ツイッターでも「I'm fineを学校で教えてるのか、そんなの言わないのに」なんていう文言を見つけたりする。

本当にそうだろうか。

否定するのは簡単である。
自分が言わないフレーズは「使わない」と切り捨てればいい。
しかし、それは本当に記事を読んだ人や教えている相手にとって、正しい情報なのだろうか。

例えば「How are you?」の返答の「I'm fine」は間違いではない。
アメリカでは、「I'm good」「Good」と返す人が多いが、「I'm fine」という人もいる。
言わない、と切り捨てられるような頻度の低さではないのだ。

例えるなら、「日本で、おおきに、とは言わない」と言っているような感じである。
関西の方はおそらく「使う」と答えるし、関東の方はおそらく「使わない」と答えるだろう。

存在するフレーズは、どこかで使われているフレーズなのだ。

もちろん thou や thee など、シェイクスピアの時代に使っていたような単語は「日常では使わない」と言ってもいい。
歌舞伎の「〇〇していただきとうございまする」などと同じで、芸術の表現として使われているが、日常では使わないものである。

例えば、お手洗いを指す言葉も地域や人によってさまざまである。
bathroom と呼ぶ人もいれば、restroom と呼ぶ人もいれば、looと呼ぶ人もいる。
looという言い方は、アメリカではあまり聞かないが、イギリスでは珍しくない。
それを「英語ではそんなふうに言わない」と断言する人がいたら、ただの無知である。

伝わらなかったり、文法が間違っていたりするのならば、正す必要があるが、日本人が使う時点で、地域性は関係ないのだ。
さまざまな国の表現を使って、楽しく話せればそれでいい。
昔からあるフレーズに対して「使わない」と断定する記事には気を付けていただきたい。
ぜひ、英語学習中の方には、せっかく覚えたフレーズを否定する記事よりも、自分の知らないフレーズを教えてくれる記事に目を向けていただきたい。

The more phrases you know, the more precise you can express your thoughts.
より多くのフレーズを知っていれば、より正確に自分の考えを表現できます。

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