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人妻妄想物語-鳥

ふっと目が覚めたら新緑が眩しい森の中に居た。風が心地いい。ここはどこだろう?あたりを見渡す。風が木々を揺らし、さわさわと葉が鳴り響く。鳥の囀りが聞こえる。その中に聞いたことのない囀りが聞こえた。どこからだろう…声の居所を探す。心の赴くままに声のする方へ彷徨い歩く。ふと木々の切れ間に一際明るい光が立ち込める場所を見つけた。一直線に進む。はっと見上げると一面見たこともない花々が咲き乱れ、嗅いだことのない香りが立ち込める。頭がぼんやりしふわふわとした身体の感覚に襲われる。あぁ。なんだろう。身体が軽くなり今にも飛べそうだ。目線の先に声の主の青い鳥がいた。綺麗な音色を奏で目が離せない。その囀りが身体を駆け巡り感じたことのない快感に襲われる。あぁ。何も考えられない。今自分がここにいるのかすら、現実なのか夢なのかすらわからない。耳には鳥の囀りのみが聞こえ、妖艶な香りが身体を纏わり、息をしていることさえ忘れ、ここは天国なのだろうかとそんなことをぼんやりと思う。現実への帰り道が閉ざされていることすらわからないほどに。


#つぶやき小説 #官能小説

photo by 中井 一味 様 ◡̈⃝ᵗʱᵃᵑᵏઽ*