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▽ とれさんと過ごした日々

7月25日午後7時頃永眠しました。
今日はそんなとれさんの思い出、画像は若いころによくしてたフテ寝です。
パソコン通信サービス「ニフティサーブ」のタオルがお気に入り、シブい。

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我が家は「ペット不可」の貸家、許される範囲で「これぐらいのサイズ感」という漠然としたイメージで、なにかないかとペットショップを見て回ったが時期的なものか数件回ってもコレというペットは売ってなかった。
落胆して帰宅したが、妙に頭の隅にひっかかっている子がいた、茶色一色でムスッとした不愛想なモルモットだ。

「あの子は気になった」というと嫁も同じ感想だった、他のモルと一緒にできずに持て余されていたらしく「明日行く」と電話すると店は喜んだ。
商売繁盛というよりも大きなケージを丸々1つ占領していたからだろう。

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「メスだからおとなしい、短毛種だから飼いやすい!」店員は熱弁したが、これは嘘だった…大きくなったらおちんちんがあり、どんどん毛が伸びた、よくある間違いで、モルモットあるあるらしい。
最初の5日ほどは絶対家から出てこない、電気をつけるとパニックを起こし転げまわった、とにかく物音を立てないように静かに気を使って生活したがなんかおかしい…愛玩動物じゃなかったのか?

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慣れたらそれはそれで問題、臆病で部屋の中を歩けないから運動不足になるのでケージはダメだとわかった。自宅を大きく拡張して「じぶんち」と認識できるスペースを作ってあげた。
とにかくよく食べてよく遊ぶ、かわいい声で鳴く、大量のうんちとダメになった牧草は庭のコンポストで肥料にする → それが畑で野菜や雑草を育てる → 食べる → うんち → コンポスト → 野菜・雑草の永久ループが確立した。

このモルモット生態系には致命的な欠陥がある、見た目なんだか素敵だけれど、モルさん糞尿垂れ流しなのだ。
プレイランドのうんちや食べ残しは箒とチリトリで集めてポイ、毎日2回はアルコールとキッチンペーパーで拭き掃除、それを毎日コンポスしてお好みの雑草を採取してくる、豪雪地帯だから冬はコンポストを掘る、にんじんや雑草を求めて1mぐらい積もった雪を掘る。

依存がひどい、とにかくひどい。

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食べてる姿は天使そのもの、タチが悪い。
これで風呂に入れ、伸び放題の毛をカットし、爪を切る、全部嫌がる。
全然飼いやすくなんてない、もう毎回大喧嘩…だけど大声は厳禁なのだ。
身勝手すぎる。

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病気もする。これは抜毛行動が気になったころに撮った写真、この後全身の毛がなくなって引っ繰り返って痙攣しだした。
病院でカイセンダニの寄生が原因と診断されて「死ぬ」と言われ、頑張って薬を飲み毎日入浴して半年ほどで治った。
¥2980のモルが1万円のシャンプーと1万円のコンディショナーで大嫌いな入浴を続けた、苦い薬を何度も何度もシリンジで飲んだ、とれさんは頑張り頑張りを支えて家族は本当に頑張った。

カイセンダニは硫黄に弱い、以前は六一〇ハップの入浴で撃退したらしいが現在は製造中止。硫黄系の温泉宿で買っていた温泉のもとで回復後もずっと療養を続けた。
亡くなる3日前に、「なんだかかゆい」とお風呂を要求してきたので最後のヒトツマミを使い切って、おとなしく伸びた毛を整えて、爪を切った。
風呂上り机の上で満足そうにゲームに興じるうちら夫婦を眺めていた。

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翌前から、食欲がなくなっていて気になりだした。
次の日、牧草もペレットも減らないと首を傾げた。
25日、仮眠から起きると嫁が「様子がおかしい」と言うので部屋にお邪魔して抱き上げると「ぱくぱくぱく」と何か言いかけ、カリと指を噛んだ。
子供のころうまく説明できないことがあるとやった抗議で久しぶりだった。
「なんか食べるか?」と何種類か好物を口に入れるもソッポ向いて無反応。

ふと目を移すとトウモロコシのヒゲが食器に盛ってある、おかしい、数秒でツルツル食べて「わんこそばごっこ」をするほど大の好物、食べ残しなんて初めて見た…食欲が無いから嫁が急いで買ってきたという。

居間に戻って「変とかじゃない、どんな感じだった?」と今日の様子を聞いているうちに「ガチャン」と食器の音がして、慌てて戻ると突っ伏してた。
数分前は歩いてた、混乱する間もなかった、すぐに抱き上げると弱りきった手でしがみ付いてきたけどそのままくたりと力が抜けて、だらんとなった。

つぶらな瞳だからなのか草食だからか、目が閉じない。嫁は大泣きで声をかけ続け「もう息してないよ」と言うが信じない、それぐらい、静かに静かに息を引き取った。
確認すると誕生日は不明だけれど台湾から2014年2月に入国、5月に家に来たらしい。自分自身、今ちょっと信じられていないから書けている。

2泊3日の旅行で留守番させたら無理があった、だから実家に連れていくとストレスでハゲた、病院行ったらヘトヘトで帰ってきて「じぶんち最高」と秘密基地に走った、長いような短いような6歳半の生涯だった。

今日、嫁と交代で3時間なでていて、初めておとなしくなったと思った。
嫁が「おとなしくって、いい子だねぇ」と呟いたので急に寂しくなった。
とれさんは、おとなしくないし、飼いやすくもなかった。
偏食家で我が儘でとにかく世話の焼ける自慢の子だった。

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