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本屋からの影響  (『出版業界唯一の専門紙 新文化』コーナー『本を手渡す人』掲載記事)

(こちらは出版業界唯一の専門紙 『新文化』 2023年3月3日号に掲載された記事になります)

先日とある書店が閉店した。
街の本屋でありながら名古屋では個性派な品揃えで知られる店だ。営業最終日に思い立って訪れた。
10年近く覗いていなかったが、かつては私もお世話になっていた。最終日ということもあってかなりの人で賑わい、熱心に棚を物色している。
何冊も腕に抱えながら。
 棚もだいぶ空いてはいたが、それでも店の主力やイチオシなど抜かりはなく、そのラインアップはどこかウチの棚と同じ匂いがした。この本知っていたらウチも入れてたなぁとか。この店にも影響を受けていたんだなぁと少し感慨深かった。
 学生時代はよくこういった新刊書店や古本屋、アニメショップな
ど色々な書店を周っていた。それから10年以上が経ち、通っていた書店は、新刊書店も古本屋もいくつも閉店していった。
 この10年は書店業界にとっても、もっと別のところでも環境が大きく変化したと改めて思う。とくにこの数年はコロナ禍もあり大きく変わっていった。
そして今年も、いくつか気に入っていた書店が閉店していく。
 私の人格形成にもサブカルクソ野郎となったのも、こういった書店通いによるものが大きい思う。
 新刊書店でアニメ雑誌やホビー誌、「ムー」(ワン・パブリッシン
グ)を立ち読みし、気に入った雑誌を購入する。古本屋では目に留まった宝島MOOK、タイトルに惹かれた「危ない28号」(データハウス)や「と学会」関連本、デザインに惹かれた「夜想」(ペヨトル工房)、早川書房などの古典SFなんかを読んで肥やしにしてきた。
基本的にケチなので買ったからにはとりあえず読む。
雑誌なら隅まで読んだ。そして雑学オタクだったので、気になった物は何
でも齧りついた。
それは今でも続いていて、そうしたらそれなりのサブカルクソ野郎へとスクスク成長していった。それでもまだまだ「いえいえオタクこそ」の精神で
謙虚に勉学に励んでいる。
 月並みだがそうした本屋があったからこそ、気になったものや思いもよらない物を偶然摂取でき、物体だからこそ後に参照でき、堆積させることができるのだなと改めて思う。

新文化オンライン→ https://www.shinbunka.co.jp/


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