テーマなしのガチンコビブリオバトルをしたら僕らはヒトだった|ビブラボ#9開催レポ
こんにちは!チームビブラボです。
ビブラボでは本が生み出すつながりを楽しみ尽くす企画を、京都市伏見区を中心に定期開催します。
この度、ビブラボ第9回の企画として、「ビブリオバトル」を開催しました。
ビブラボでは初となるテーマ設定なしのビブリオバトル!
どんな本が登場したのでしょうか?
ビブリオバトルとは
ビブリオバトルとは、お気に入りの本を5分間で紹介し、参加者が一番読みたくなった「チャンプ本」を投票で決める、書評型コミュニケーションゲームです。
ビブラボでビブリオバトルを行うのは4回目になります。
テーマはなし。
テーマがないと、選べる本の幅が広がりますが、逆に何を紹介するか決めるのが難しくもなります。
挑むバトラーは6名。
ちなみに今回の発表順は、出番終了ごとにくじを引く、いわゆるM-1グランプリ方式で決めました。
1冊目:『戦争語彙集』(オスタップ・スリヴィンスキー (著), ロバート キャンベル (著, 翻訳)/岩波書店)
「2年前のちょうど今日、何が起こったか覚えている人はいますか?」
そんな喋り出しで始まったご紹介。
2年前のその日は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった日だったのです。
体験した人々にとって、多くの言葉はその意味が変わってしまいました。
本書はウクライナを代表する詩人が、避難者の証言を聞き取って執筆した文芸ドキュメントです。
2冊目:『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(奥野 克巳 (著)/亜紀書房)
ボルネオ島の狩猟採集民「プナン」とのフィールドワークから、人類学者である著者が学んだことを描くエッセイ。
大量生産・大量消費・効率至上主義の世界を生きる私たちとはまったく異なる仕組みで暮らすプナン人とのふれあいから、豊かさ・自由・幸せとは何かを問い直します。
3冊目:『週末の縄文人』(週末縄文人(縄・文) (著)/産業編集センター)
筆者が紹介したのは、都会のサラリーマン2人組が、現代の道具を一切使わず、「週末限定の縄文時代」を生き抜く過程を描くサバイバル・エッセイ。
火起こしや石斧づくり、網制作など、縄文時代にあるものしか使えないとこんなにも時間と手間がかかるのか…!と驚くと同時に、縄文人がたしかに僕たちと同じ「人間」だったのだ、と不思議な感動を覚えます。
YouTubeチャンネルから活動の様子も見えるのでぜひ。
ビブラボでもいつかこんな企画してみたいなあ。
4冊目:『「バカ」の研究』(ジャン゠フランソワ・マルミオン(著)/亜紀書房)
各地のビブリオバトルに足を運ばれているバトラーさんですが、「自分は他のバトラーに比べて全然深く読み込めていないバカ」だと感じてしまうことも多いのだとか。
「そんなことないでしょ!」「でもそう感じちゃうのわかるな…」と場がざわつく中、「そんなバカに関する研究がまとめられている本がこれなんです」と紹介が始まりました。
「バカはなぜ自分を賢いと思いこむのか」「感情的な人間はバカなのか?」など、バカについて行動経済学、認知心理学、情報科学、哲学、人類学といった様々な切り口から分析されています。
5冊目:『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア オーエンズ (著), 友廣 純 (翻訳)/早川書房)
全世界2200万部を突破、日本でも2021年本屋大賞翻訳小説部門第1位を受賞している、ベストセラーミステリー。
ノース・カロライナ州の湿地で発見された男の死体。
街の人々は「湿地の少女」に疑いの目を向けます。
6歳の頃から湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかったカイヤ。
少女の成長と不審死事件が絡み合い、物語は予想外の展開へ―。
動物学者でもある著者が描いた初めての小説です。
6冊目:『弱さのちから』(若松 英輔 (著)/亜紀書房)
勇気は自分の「弱さ」と向き合いつつ、大切な人のことを思ったとき、どこかから湧出してくる——。
現代に鋭い問いを投げかけ続ける批評家が、危機の時代を生き抜くための叡智を語っている本書。
バトラーさんはふだんから人間の「弱さ」に関心があり、この本を手に取ったそうです。
ちなみにこのバトラーさんは長野県からお越しくださりました(!)。
チャンプ本は…!?
紹介された6冊から、「一番読みたくなった本」への投票を行います。
チャンプ本に選ばれたのは…
1冊目『戦争語彙集』(オスタップ・スリヴィンスキー (著), ロバート キャンベル (著, 翻訳)/岩波書店)でした!
おめでとうございます!!
奇しくも前回のM-1グランプリを制した令和ロマンと同じく、トップバッターがチャンプ本を獲得する展開になりました!
(だったら何?)
まとめ
今回の結果は以下の通りでした。(☆:チャンプ本)
『戦争語彙集』(オスタップ・スリヴィンスキー (著), ロバート キャンベル (著, 翻訳)/岩波書店)☆
『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(奥野 克巳 (著)/亜紀書房)
『週末の縄文人』(週末縄文人(縄・文) (著)/産業編集センター)
『「バカ」の研究』(ジャン゠フランソワ・マルミオン(著)/亜紀書房)
『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア オーエンズ (著), 友廣 純 (翻訳)/早川書房)
『弱さのちから』(若松 英輔 (著)/亜紀書房)
ビブラボでは初めてのテーマ設定のないビブリオバトルでしたが、原始の暮らしから今まさに起こっている戦争体験、少数派への差別意識や人間が生み出すバカ、そして弱さといった、ヒトである僕たちの本質に迫る本が数多く登場しました。
もし気になる本があれば、ぜひ手にとってみてください。
また、あなたが紹介するとしたらどんな本にしますか?
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!!
そして、これまで9回にわたり醍醐いきいき市民活動センターを利用して開催してきたビブラボですが、この形式での定期開催は今回で一旦区切りとなります。
センターのスタッフの方々、そしてこれまでのビブラボの取り組みを応援くださったすべての皆さまに感謝申し上げます。
今後どのような形になるかは未定なのですが、また楽しい企画を行っていきたいと考えておりますので、しばらく続報をお待ちいただけますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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