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上の空 | daily

注意を向ける、という言葉がありますが、向ける、という言い方から分かるように指向性を持っているのが注意というものです。全方位的に注意を向けるというのは漫画の中の話で、忍者や侍のような特殊な訓練を積まなければ視野の中に入っているものにすら関心を払うことはできないのが人間というものです。思えば小さい頃から上の空な事が多い、と言われておりましたが、この年になってもまだ、なんだか上の空ですね、というような注意を受けるとは思っておらず、まあ人の話を聞くというのは難しいなと思う次第です。注意が足りないというか、まあ色々なことが気になってしまうというのもあって、オンライン会議中などは話は聴きつつもチャートを見ていたりするというのもあり、有限なアテンションをどう配分するかという問題に毎日向き合っております。

こうした体質というか性質というのは子にも遺伝するのか、我が子も見ていると上の空なことが多いような気がいたします。学校でもそうらしく、とはいえ、低学年の頃に比べればずっと話は聞いているように見えますし、通信簿に書かれるようなことも減りました。意識をすれば改善できるのであればいわゆる巷にたくさんいる注意力が欠けてしまう病気ではないということなんだろうなと思われます。

アテンション・エコノミーに対する批判というか、人間の注意力のバグを突くようなユーザー・エクスペリエンスを設計するのは悪だという話が結構出てきているように見受けられ、高学歴、高収入な人がこぞって、低学歴、低収入な人たちをサブスクライブさせようとするような仕組みにはやはり道義的な問題があると個人的には思います。確かに何も考えずに定期的に支払いをして漫画を読んでくれることは企業の収益にはなるのかもしれませんが、怠惰な人間を製造していくことにはなりはしないか、という危惧があります。有限なアテンションというものは、やはり白昼夢や夢想にこを費やすものであり、そこから何かしらの創造ができれば言うことはありません。何かしら気になることがあるので、話をする場合は環境を整えないとダメですね。

本の紹介です

Weeklyというのもあるよ。

dailyの方は文字通り日々気軽に読めそうなライトなものを、そしてWeeklyの方は有料というだけあって内容の充実ぶりはDailyの比ではありません。バック・ナンバーも100号を数え、どこから読んでも何かしら得るものがあるはずです。
というか、読んでないなんて信じられません。よろしくお願いいたします。
そして主宰うでパスタとキノコによる対談というかおしゃべりが聞ける特典付きです。


本日のBGM


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