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キュレーション | 2022-11-10

人は誰しも何かのオタクであり、そのオタク対象について人に布教したがるものだ、というわけではないにしても、オススメは?と聞かれた際に、そういえばこんなものが良かった、と回答することはあるでしょう。TwitterJPのキュレーションがどのようなものであったのかというのは真相の解明が待たれますが、世の中には人々のキュレーション欲求を刺激するようなサービスがいくつもあります。プレイリストを作るまではいいものの、それを公開するというのは、自分は数多ある楽曲の中からこれをチョイスしたという表明行為なわけですし、映画のレビュー行為などもそれに類するものでしょう。人間は限られた時間、資産の中から選択を行っていかねばならないわけで、飲食店の品揃えなども広い目で見れば数多ある料理という選択肢の中から、当店ではこれを出す、というキュレーション行為だと言えましょう。そうして世界を見直してみると、まあ投信やETFというのもキュレーションですし、何を仕入れて何を売らないか、というのを決めるのもそうであり、あらゆるところに取捨選択があり、キュレーション行為というものがあるという事が分かります。

優柔不断な人というのの中には、今ここにある選択肢を吟味しつくしたい、というタイプがおります。それは優柔不断なのではなくただ単に多い選択肢の吟味に時間がかかっているだけなのでは、という気もするのですが、まあさておき。人は多すぎる選択肢を前にすると判断を停止してしまうという話がありますし、その時にアドバイザーなるものが現れたらすぐにその言うことを聞いてしまうでしょう。そこで求められているのは、比較検討のための材料ではなく、早くこの決断を終えてしまいたいので決定打を教えてくれる、ということです。誠実なアドバイザーはどちらか、という話だと思うのですが、一般的には決断というのはなかなか苦痛を伴うものですし、自分の判断は間違っているとは思いたくないので、まあ気分よく決定させてくれる人というのが重宝されることになります。情報を整理し、検討のための材料を提供してくれる人は正直なところ面倒な人ということになってしまう場合もあります。重要な決定についてこそじっくりとした吟味、検討に検討を重ねるという行為が重要なはずですが、政治においてすら決定するということが重要視されているのは問題なのではないでしょうか。まあ決めないことには先に進まないので、適当なタイミングというものがあるということなんだろうとは思います。

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