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器 | daily

人を評価する際に器の大小が語られることがあります。あの人は総理の器じゃない、なんていう言い方をすることもあります。肉体は魂の器であるとも言われておりますし、器というのは何かと不定形で流動的な世界において、この世に形を留める大事な入れ物だということなのでしょう。料理においても器が盛りつけを決めるというのはあるようで、種々雑多な素材を調理という過程を経て料理という一つの集合へと昇華させる高尚な営みであるわけです。家を始めとする建築物も広くは器の一つでしょう。その中に生活や、様々な営みが詰まっているもので、キャパシティを決めるものでもあります。図書室の本棚は既に器としての機能を失いつつあり、その空間いっぱいに本が溢れ出ようとしておりますが、まあそういった器を満たすという行為にもまた高度に文脈的な意義があるということは論をまたないでしょう。

キノコは小さい頃から大器晩成型だな、と言われて育ってきたのですが、それはいま思い返せば幼年期、思春期、青年期を通して目を瞠るような才能を感じさせることがなかったということであります。いまだに何に適正があるのかよく分からず生きているのですが、この世に器として生まれたからには何かしらでそれを満たしてみたいとは思っております。まあそのための模索活動の一環として沢山の本を書い集めて、全てではないにしても目を通して何かを得ようとしているわけです。

ちょうど話題になっている100冊の選書の内容はともかくとして、自己啓発をしたい、少なくとも内発的に啓発をしたいと思うということ自体は悪くないですし、10,000冊読む過程でその内の100冊が時流に阿るような自己啓発本でも別にいいのでは、と個人的には思います。それは当人のキャパシティの問題ですし、最近では動画で学んでプログラミングができるようになる人もいるわけで、自分がたまたま知っているマイナーな書籍をありがたがるのはオタクの良くないところでしょう。魂を美しく健康に保つためにも、器を磨きながら生きていきたいものです。

本の紹介です

Weeklyというのもあるよ。

dailyの方は文字通り日々気軽に読めそうなライトなものを、そしてWeeklyの方は有料というだけあって内容の充実ぶりはDailyの比ではありません。バック・ナンバーも100号を数え、どこから読んでも何かしら得るものがあるはずです。
というか、読んでないなんて信じられません。よろしくお願いいたします。
そして主宰うでパスタとキノコによる対談というかおしゃべりが聞ける特典付きです。


本日のBGM


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