オーロイブルーイング(香川)
クラフトビールをつくるマイクロブルワリーには、「ファントムブルワリー」という形態があります。これはファントム、つまり実体を持たない醸造所のことで、他社の醸造設備を使って製品をつくる形態を意味しています。
いわゆるOEM(受託生産)と異なるのは、自前の設備はなくてもブルワーが存在していること。そのため、ファントムブルワリーにはしっかりとつくり手の個性が表れます。
香川県高松市で人気を博すオーロイブルーイングは、代表の渡辺仁史さんが2022年にファントムブルワリーです。
もともと「いつか地元に貢献できるような店をつくりたい」と考えていた渡辺さんは、複数のブルワリーで腕を磨き、昨年7月には高松市内にタップルームをオープンさせるなど、精力的に活動しています。
関東ではなかなか聞き慣れない「オーロイ」という言葉は香川の方言で、「恵みの雨」を意味するもの。降雨量の少なさから水不足に陥りがちな香川らしいキーワードは、我々クラフトビールファンにとってはまさに、恵みの一滴をもたらす存在と言えそうですね。
遠からず、「自前の醸造所を構えるつもりで準備をしています」と語る渡辺さん。先日の「ビビビビアフェス」でも大人気を得たように、まもなく全国のクラフトビールシーンの台風の目になるかもしれません。
〈Text By Satoshi Tomokiyo〉
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