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思わず捨てちゃうごみ箱〜まちなかナッジ@象の鼻パーク(横浜市中区)〜

2021年10月2日〜3日、横浜・みなとみらいの象の鼻パークで行われた「Futurescape Project 2021」において、まちなかナッジプロジェクトの一環として、宇都宮大学・糸井川高穂先生及び研究室の皆様のご協力により、「思わず捨てちゃうごみ箱」を出展しました。


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「思わず捨てちゃうごみ箱」は、子どもに大人気のゲーム「マインクラフト」のキャラクター「クリーパー」をモチーフに、アクリル板を組み合わせてできたごみ箱です。キャスター付で移動可能なため、イベント会場のなかを巡回してゴミ拾いも行ってくれました。


本作品を製作いただいた宇都宮大学の糸井川高穂先生にお話をお伺いしました。 糸井川先生は、省エネ行動や安全行動にナッジを活用した研究をされています。


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ー今回出展された「まちなかナッジ」のコンセプトを教えてください。

糸井川:ナッジとは、「自発的な行動変容を促す手法」のことで、誰かに強制されたり、インセンティブによって動かされるのではなく、自分からやってみたい!と思ってもらうことがポイントです。
今回は、いかに自分からゴミを捨てようと思ってもらえるかということを考えました。
このイベントは親子連れが多く来場するのではと思い、まずは子どもに関心を持ってもらうことで、大人にも影響を与えることができればと考えました。
うちには小学生の子どもがいるのですが、「マインクラフト」というゲームが大好きでよく遊んでいることもあり、その中のキャラクターがゴミ箱としてイベント会場の中を歩いたりしていると面白いのではと思い、それをモチーフに作製しました。


ー手応えはいかがでしたか。

糸井川:子どもや若い人たちに特に関心を持っていただき、特にたくさんの子どもがごみ箱を目にした瞬間に目を輝かせながら走って近寄ってきて、ごみを捨ててくれたのは嬉しかったです。あとは、こんなゴミ箱がまちなかにあったら、渋谷のハチ公のような待ち合わせスポットになるのでは?と言ってくれた方もいました。

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ーごみ箱が待ち合わせスポット!面白いですね。

糸井川:はい、ごみ箱というとどうしても「汚い」とか「臭い」などの良くないイメージが想起され、忌避されがちなものだと思います。しかし、そのデザインを工夫することで、ポジティブな受け止め方をされることもあるのだと思いました。自発的な行動変容を促すナッジの観点からまちなかに置かれるもののデザインを工夫することで、さまざまな可能性が開けてくるのではないかと改めて感じました。

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意外と違和感なく馴染むデザイン


ー今後は、どのような取組を考えられていますか。

今回は2日間だけの展示でしたので、実際の都市生活空間の場で、もう少し長期的に設置して、一般のゴミ箱と比べてナッジごみ箱がどの程度効果的かなどを効果検証できるような機会を見つけていきたいと思います。

また、今回はみなとみらいという観光スポットでの試みでしたが、ビジネス街や落ち着いた場所など立地によっても人を惹きつけるデザインは異なってくると思いますので、さまざまな場所でそこに合ったデザインを考え、検証していければと思っています。

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興味深そうに立ち止まる人も多数


ー糸井川先生、どうもありがとうございました。

公共空間では、ごみやタバコのポイ捨て、迷惑駐輪・駐車、ペットの路上糞害、エスカレーターの乗り方など、望ましくない行動が取られてしまう場面もしばしば見受けられます。

そのような状況への対策としては、条例やルールの制定、モラルやマナーに訴える啓発という手法がとられることが多いのが現状ですが、そういった働きかけに加えて、「自発的な行動変容」を促すナッジの活用可能性の大きさを改めて感じました。

今後も、まちなかナッジプロジェクトにご期待ください!


(文責・写真:ポリシーナッジデザイン合同会社 植竹香織)

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