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海外のナッジ実践事例①:ウィルス対策(接触抑止ナッジ)

このシリーズでは、海外のナッジ実践の最新事例をお伝えします。今回は、ウィルス対策のナッジ事例を3回に渡って紹介します。

1回目の今回は、「接触抑止ナッジ」をご紹介します。


はじめに:ウィルス対策とナッジ

ナッジとは、自分からその行動をやりたくなる環境づくりをすることで行動の変化をサポートする手法です。ウィルス対策として求められる社会的距離(ソーシャルディスタンス)をとるためには、人々の行動変容が不可欠ですが、人との距離をあけたり、外出しないようにするというのは、平常時にはなかなかないこともあり、規範が明確に共有されていません。つまり、周りの状況をうかがって、やっている人がいれば自分もやるけど、周りがやっていなければやらない、という心理に陥りやすい状況でもあります。その壁を越えるために、ナッジが役に立ちます。


テーマ1:接触抑止ナッジ

外出自粛下でも、食料品などの生活必需品の買い出しには行く必要があります。また、テレワークのできない職種では、通勤してオフィスのエレベーターに乗らないといけない人もいることでしょう。そのような場合でも、なるべく接触を抑止するために海外で実践されているナッジをご紹介します。

①デンマークのスーパー

会計レジの前に、赤い線が1.5m間隔で引かれています。会計待ちの列に並ぶ際の接触を抑止するため、立つ位置を視覚的、直感的に示しているナッジです。

②インドの商店

こちらもお店の会計待ちの列の接触抑止ナッジですが、線ではなく、丸で示されています。皆きれいに円の中に立っていて、ちょっと和みますね。円からはみ出したくないという気持ちに自然となるのかもしれません。

③シンガポールのオフィスビルのエレベーター

エレベーター内での接触を最小限にするため、立つ位置、立つ方向をテープで明確に示しています。

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画像出典 https://coconuts.co/singapore/news/from-food-courts-to-supermarkets-heres-what-social-distancing-looks-like-in-singapore/


これらのナッジは、一見、当たり前にも思えます。しかし、「人との距離を開けましょう」と書いたポスターを貼ることと比較するとどうでしょうか。誰でも直感的に理解しやすくなっていることを実感いただけると思います。

また、どのくらい離れればいいのだろうとか、どちらを向けばいいのだろう、などと迷ったり、躊躇することもなくなります。つまり、適切な行動をガイドする役割を担っているのです。

次回は、手洗いを促進するナッジについてご紹介します。


この記事は、2020/4/8のYBiT研究会での発表をもとに構成しています。
文責:植竹香織(横浜市行動デザインチーム)







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