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スパイスを通してしたいこと

料理教室などを通して作っているカレーの歴史や背景。使っているスパイスを通してその歴史、効能、使い方、逸話などを話すのが好きである。そして、ほほう。とか、おー。とか頷いたりしてくれる人の顔をみるととても嬉しくなる。

インド西部の田舎の村では訪れた客をもてなすため、村の男達が馬小屋に集まり牛糞でできた燃料を元に火を起こし様々な料理を作ってくれた。牛糞は草などと混ぜて家の壁などを作るのにも使われたりしていた。その村では死にそうな老人の話を若者達が集まって聞く。という風習があった。私はそれは素晴らしい習慣だと思った。

ペルシャやイランからインドに移り住んだ人々はパルシーやイラニと呼ばれ、独特の文化を守りながらインド各地で暮らしている。そんな人々が多く暮らすムンバイの郊外の高級住宅街。一人の上品な女性がパルシーの伝統料理を教えている。彼女が語るパルシー料理のことを通じて民族の誇りや愛情、伝統というものを感じた。そんなことを知ってインド各地でパルシー料理を食べたり、イラニチャイを飲んだりするとなんだか心が熱くなる。

北東インドでは村人のことを思い立ち上がった女性教師がいた。彼女はその土地でしかできない幻のターメリックの価値を根気強く村人達に伝えている。それが北東インドの独特の歴史と重なり、考えさせられることがたくさんあった。

その昔、巨大な富と繁栄をもたらした南インドの街でホテルを営むその末裔達。誇りと食へのこだわりが日本のインド料理人たちに影響を与えていた。自信と威厳が料理の味付けに加えられ、リッチな味わいは記憶に残るものであった。

ガンジーの側近を務めた男性の孫娘はニューヨークでデザインを勉強してガンジーが作った大学の脇でカディという手紡ぎ手織りの布に新しい価値を加えながら、環境に優しい暮らしをしていた。彼女やガンジーが訴える「自分たちのものは自分たちで作る」という考えにはとても影響された。

南インドのニルギリ山脈でカフェを営む11カ国語を操る老店主。自然エネルギーを使ったコーヒー農園を営む同級生。アチャールの達人にチャパティ名人。チャイが大好きなおじさんに淹れるのが上手なおばさん。

様々なこと、もの、人が私を彩ってくれる。

私はそんな経験や体験を重ねていき、面白くそして楽しく様々なところで伝えていければ良いなと思っている。

スパイスや食文化を通して見える世界は深く、広く、面白く、興味深く、楽しく、哀しい。

色々なところへ足を運び、知って、経験して伝えていく。

もっともっと学びたい。

そしてそれを通して新しいスパイスのミックスなどを作っていきたい。

「学び」と「伝える」が今の私がスパイスを通してしたいことなのかもしれない。

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