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NSNO Vol.20 エバートンFC 22-23 シーズンレビュー GK&DF編

NSNO Vol.20 エバートンFC 22-23
シーズンレビュー
GK&DF編


各選手200字以内のレビューです。
今季はさらっと読んでいだけることを目標に執筆しました。まずは前編にあたるGK&DF編から(GKエルディン・ヤクポビッチとアカデミープレイヤーは除外しています)。

よろしくお願いします。


1,Jordan Pickford


良くも悪くも、我々エバトニアンは彼に対して盲目的だ。そして対戦相手にとっては、奪えるはずだった得点と勝ち点を失う現実的で最も厄介な壁だろう。彼が英国No.1GKなのか懐疑的な側面があるのと同時に、またもや価値を証明するシーズンでもあった。POTS受賞、代表正GKの維持、契約更新、そして残留。2018年、ロシアで話題になったボトルメモは苦境の最中にあった2023年にも狐の魔法を掻き消した。準備を制する者が本番を制する。

12,Asmir Begovic


第2GKの出番は1試合に限られたが、ウェストハム戦(H)のクリーンシートで残留に貢献。ファンからの不満は何一つない。レギュラーでも不足ない実力者は2年連続で残留争いに沈んだチームであれ自分の立場を受け入れた。ピッチ外でGKアカデミーを開校するなど、自身の役割を広義に渡って発揮し、模範としてあり続けた。プロの鏡としてピックフォードを支えた功労者は今夏クラブを去る。燻し銀とは彼に添えたい言葉。


31,Andy Lonergan


オーストラリア遠征で彼がピッチに立つ姿を見られてよかった。そうでなければ思い出がないままチームを去っていたかもしれない。ロナーガンのInstagramをフォローするエバトニアンはどれ程いるだろうか。奥様との結婚記念日にストーリーズを投稿するハートウォーミングな一面を見て、39歳の選手にこちらも暖かい眼差しを向けたくなる。同じクラブに2年滞在したのは2015年に退団したボルトン時代以来だった。


2,James Tarkowski


コーディとの対談企画で一目瞭然だった。太腿がやたらと太い。背中の傷は恥だと言わんばかりに弾丸78発をブロックした。尊敬するDFにプジョルを挙げている、納得。瞬く間に最重要守備者になってしまい、ランパードを延命させ、恩師のダイシまで召喚。旧知の十八番セットプレーはバレバレなのに競り勝つ逞しさ。ダイシが「ターキー‼︎」と呼ぶ声は迫力があり過ぎて真似したい。ちなみにターキーからはパンの匂いがするらしい。


3,Nathan Patterson


実質今季がデビュー。レンジャーズでは負傷離脱の経歴がないのに、エバトンに来てからたくさん怪我をしてしまってホップ、ステップ、インジュリーという1年だった。プレミアに適応する為に体重を増やしたが逆効果に見える。プレミア屈指のドリブラーたちと対峙して得た経験は必ず役に立つ。直向きな姿勢、熱いハートは十分に伝わった。本人の言葉を借りれば怪我こそ成長のチャンス。幸いにも眼前にはその道のエキスパート、主将の背中あり。


4,Mason Holgate


結局、今季も駄目だった…率直な感想である。更改された契約も不完全燃焼で半分以上を費やした。彼もデイビスやルウィン同様、若い頃からずっと見てきた選手であるが度重なる監督交代の犠牲者…逆に言えば立場をリセットできるチャンスを逃してきた結果でもある。今季、緊急のLB起用でダイシに失格の烙印を押されてしまったが、ここで腐るか別の居場所を見つけるか、キャリアの分かれ道に立つ。


5,Michael Keane


なんだかんだで加入以降リーグ戦30試合以上出場してきたDFは今季12試合の出場に留まり、現在の立場が明らかに。空中戦の強さを除けば心許ないデュエルとパスワークの拙さに進化がない。ターコウスキの加入で求められた守備者がいかなるものか知ってしまった以上、真価を発揮しなければ序列は上がらない。ベテランと呼ぶ年齢に差し掛かり、スパーズ戦、値千金の弾丸ショットも彼の評価を打ち破るには至らないのが切ない所。


13,Yerry Mina


物語の佳境で煌めきを放ったガラスの巨人。今季僅か596分の出場に終わり、5年の費用対効果は決して満足できない。しかし、路上でファンの叱責に対峙、クラブに全てを捧げる契りを体現してみせた。グアルディオラが言う通り、相手に嫌がらせをせずとも魅力ある選手だが、私はダーティーこそミナだと胸を張る。心優しくも狡猾な''キング"は玉座を降りる。練習前、カメラ目線で必ず挨拶をしてくれた彼との別れは寂しい限りだ。



19,Vitalii Mykolenko


加入時のウブな青年は、徐々にプレミアのアップダウンに適応し粘り強さと頼れる場面が増えてきた。彼以外に適任者不在の現状が功を奏しキエフ時代の評価を表現しつつある。マクニールらのフォローを受けて間際で耐える守備も目立つがチームクオリティが上がれば大いに伸びる余地がある。攻撃面の非力さはプレミアのSBとして物足りないがクロス含めパス成功率も昨季より改善。ハードヤードな指揮官の下、もう一皮剥けたいところ。


22,Ben Godfrey


苦難の1年だった。本人の目標、初得点はお預けに。開幕戦のアクシデントはショッキングで、復帰後のパフォーマンスも安定せず。終盤には再び戦線離脱。思えばCBとして獲得した20-21季から両SBとして便利屋扱いされてきたゴドフリー。本来描くはずの成長曲線を、持ち前の過負荷で果敢なスタイルが邪魔をする。ペースとパワーを求められるダイシイズム、研げば刃こぼれするリスク、まずは鉄を熱く、鍛え打つ努力をしたい。


23,Seamus Coleman


今季で最後かもしれない。そんな声が当然のように広がった。最盛期を知るファンからすれば衰えが見えること、世代交代が迫っていることも気づいている。それでも、ノイズを吹き飛ばし逆境に立ち向かい、選手を、スタジアムを鼓舞する主将の輝きは暗く淀んだチームを照らし続けた。記憶に刻まれたリーズ戦のゴールを始め、我々は彼に虜のままだ。今季終盤無念の負傷も、担架の上で拳を突き上げた戦士は未だ青き闘志を燃やしている。


29,Rúben Vinagre

たった2試合の途中出場に終わり、エバトニアンの記憶に残ることはできなかった。少なくともプレシーズンで見せたスタートは期待を持てるものだったが、リーグ戦に限らずカップ戦でも強みを見せることができず、チャンスが巡らないまま時間だけが過ぎてしまった。出ずっぱりのミコレンコが不在の際には、トレーニング中の負傷でベンチからも外れてしまう。まだ若いだけに先のキャリアがあるが本人にとって失意の1年となった。


30,Conor Coady


振り返れば、コーディのチームではなかった、それが現在のエバートンだ。4バックでプレーできない訳ではない。彼の魅力を放ち弱点を晒さないためには3バックの中央が適任なのは明白だった。優れた統率力、士気を高めるスピリットは自信の無いチームの背中を押す。得意のフィードを活かせず、ダイシが望まなかった故の結末は残念だが、加入してくれたことに感謝したい。たった1年、それでも貴方はこれからもブルーズの心にある。




最後までありがとうございました。

MF&FW編は近日公開予定です。

気に入ってくださり、サポートしてくださる方、ありがとうございます。 今後の執筆活動や、エヴァートンをより理解するための知識習得につなげていきたいと思います。