梅雨の終わりに

 皆が、今年は空梅雨からつゆだと言う。

 梅雨の貴重な晴れの日
 (といっても昨日も晴れだった。)に
 空から燦々さんさん
 降り注ぐ太陽の光と
 晩夏ばんかのような暑さを
 その身に受けてか
 がくが少ししなびた紫陽花あじさい
 林の間を駆けてきた風を
 大きな青葉に滑らせながら涼んでいた

 梅の実は黄に色付き
 早く採って欲しそうに
 重たいその身を木にぶら下げていた

 地に落ちたものは誰にも拾われず
 また来年に会いましょうと言って
 木の陰へ、草の陰へと身を隠す

 大きく伸びをした雑草たちは
 人の手によって刈られ
 育ったのと変わらぬ場所に
 無造作にして干されていく

 干し草は虫たちの
 住処すみかとなり、避暑地となる
 また、落ちた梅の実
 その他たくさんの種たちの布団となる

 来年には春の陽気に目が覚め
 芽を出して、そうして自然の輪は廻る

 日が経ち、夏越なごし大祓おおはらいの日

 もうすぐ梅雨が終わるぞと
 川を荒らしに土砂降りの雨が降る
 もうすぐ晩夏が来るぞと
 木々の間に蝉が合唱し始めた

 梅雨よ、さようなら
 僕の気持ちに寄り添うような
 あの曇天が大好きでした

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