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短編小説『予祝』

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津々浦聖(きよし)は米農家産まれで農業の跡継ぎであった。ベーシック・インカムが始まった世の中で、彼は父からは「自由に生きろ」と言われる。四十代にもなった身の彼は、これからどう生き…
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#ベーシック・インカム

短編小説『予祝』第二章

短編小説『予祝』第二章

 初夏。立夏。竹笋生の侯。今日が一粒万倍日であることに願掛けて、稲の種を蒔く。木々に若葉が茂り、風景に涼しげな彩りを添える。田園の奥、農道を歩いている子どもが三人。小さなカゴを持っているところを見るに、おそらく野いちご狩りに行くところだろう。寄り道に田圃に張られた水の中を覗いているようだ。
 ベーシック・インカムが始まって数ヶ月が経った。彼の住む町の様子も変わってきたようだ。第一に都会から人が訪れ

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