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「子育て世代と子供たちが、希望を持てる社会を」ベター・プレイス代表・森本がビジネスを通して目指す未来【後編】

「ビジネスを通じて、子育て世代と子どもたちが希望を持てる社会をつくる。」という企業理念のもと、現在および将来にわたり、人々が「お金の心配なく」「自分らしく働ける」社会を目指す株式会社ベター・プレイス。医療、保育や介護など、人々の生命と社会生活を支える人たちの資産形成や福利厚生を支援するための「はぐくみ基金」の設立、福祉業界向けITシステムの開発のほか、DXにより企業年金を刷新し、初心者の方でも手軽に老後の資産形成ができるような取り組みを行なっています。

前回に引き続き、今回もベター・プレイス代表取締役社長 森本新士にインタビュー。ベター・プレイスが現在提供しているサービスと、その背景。そして人生100年時代に必要なこと、ベター・プレイスが果たしていきたい役割について聞きました。

スマホひとつで簡単手続き。資産形成支援システム「はぐONE」

代表取締役社長 森本新士

―ここからは、ベター・プレイスの事業についてより具体的にお伺いします。前回お話いただいた、保育や介護、医療など、人々の生命と社会生活を支えるための資産形成を支援する「はぐくみ基金」は、今や保育や介護事業者を支援する多くの事業団体で推奨基金として導入されていますが、森本社長ご自身の感触はいかがですか。

はぐくみ基金が始まったばかりで、僕が説明会を行っていた時のことです。福岡のとある保育園に勤める栄養士の方に「私はシングルマザーなんですが、苦しい家計の中から、それでも積立をしたほうがいいのでしょうか?」と相談されたことがありました。その時、「少額でも積立をすることは、将来の安心感につながります」とお答えしたのですが、それから数年後、この栄養士さんと再会したのです。
 
その時「あれから積立を続けています、分配金もあるんですね!」とおっしゃって下さって、とても胸がいっぱいになりました。はぐくみ基金が一人ひとりの生活にあわせて資産形成の安心感となりえているのであれば、本当に嬉しいですし、その安心感こそ、今、生活が楽ではないと感じる方々にベター・プレイスが届けたいものです。

―はぐくみ基金もそうですが、簡単に手続きできるようなシステムを開発したそうですね。

はい、「はぐONE」といってスマホひとつで誰でも簡単に加入の手続きや管理を行えます。

保育や介護など、福祉業界で働く方々は本当に忙しく、時間がない。ですから手続きもできる限り簡単に、何枚もの書類に記入するような煩わしさを省けるよう工夫しました。はぐONEはスマホだけで、掛け金のシミュレーションができ、ご自分に合わせた金額を設定し送信すればいいだけです。

―スマホひとつでできるのはめずらしいのでしょうか?

企業年金では日本で初めてだと思います。よくわからないし面倒くさいから利用しない、その逆で「簡単で手軽にできるなら利用する」ここに着目しました。

簡単さ、手軽さ、使いやすさは加入率の高さにつながっていると思います。

経済が縮小し、高齢化率が上昇する日本に必要なのは「お金に働いてもらう」こと

―つづいて企業型DC(企業型確定拠出年金、以下DC)に関するサービスについて教えてください。

弊社は、DCの制度設計や導入支援などの各種サポートおよび、それらを簡単に手続きできる「はぐONE for DC」というシステムを提供しています。

―そもそもDCの事業を始めたきっかけに社会背景などは関係しているのでしょうか?

日本は1990年に起こったバブル崩壊以降、全く経済が伸びていません。一方で、世界経済はこの30年間、平均で3.5%ほどの成長を続けています。たったの3.5%ですが、これは30年で経済が3倍ほど大きくなったことを意味しています。さらに言うと、アメリカの株価はこの30年間で実に12倍となりました。ところが、日本ではさまざまな要因があるとは思いますが、少子高齢化が進み、国民の意識も横並びで危機感はなく、リスクをとろうとしないままなので、経済は成長していません。経済が伸びないのだから、このままでは所得をあげていくのは難しい状況です。ですから自分が働くだけでなく、お金に働いてもらう感覚を持たなくてはならないのです。

DCとは、世界経済の成長による果実を、会社の積み立て制度を通じて手に入れていく方法です。これからの日本では資産を運用し増やしていくこと、つまりDCは必須だと僕は考えています。

出所:ニッセイ基礎研究所 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65045?pno=2&site=nli

資産形成のもっともパワフルなツール「DC」にDXを掛け合わせ、導入を推進していく

―既にDCの導入はされている中でベター・プレイスの強みとはどこにあるのでしょうか?

ベター・プレイスでは過去100社ほどDC導入のお手伝いをしてきましたが、導入企業の従業員の皆様の加入率は約60%と非常に高い結果となっています。

また、運用商品の選択にも違いがあります。一般的にDCの加入者の半分は元本確保型(キャッシュ)を選び、残り半分は投資信託などの価格変動型で運用しているのが一般的ですが、僕が今までにDC導入を手掛けてきた会社では、投資信託で運用する方の割合が70%から80%と非常に高いのが特徴です。

要するに、既存のDCと比べて何が違うかといえば、加入率が高く、投資商品の選択率が高いということ。今後は、そこの部分をDXの力で、フルオートでできるよう、実装を進めています。

―DCには、DXの力、AIなどはあまり使われていないのが実態ですか?

まったく使われていない状況ですね。DC領域におけるDXの導入やAI化は遅れています。正直、儲からないからDX投資が行われていないのです。ベター・プレイスはシステムとして「はぐONE for DC」を提供しており、ほかのDCを使っていてもシステムだけを利用することも、加入説明会などソフト面でのサポートもできます。DCの制度設計や導入支援だけではなく、システムでも大きなシェアを取ることで、DC領域にもDXを促進していきたいと思っています。

経営者やトップが理解してこそ、DCは広がっていく

―ベター・プレイスのDCの特徴について教えてください。

わかりやすい言葉でサービスを案内するのがベター・プレイスの基本です。その上で、資産形成をするのがこれからの時代は大事であり、人生100年時代をサバイブできないのだと経営者の方に理解していただくこと。そして経営者から、従業員の皆さんにも発信していただくようにしています。

これだけ厚生年金も目減りしていく中で、もはやDCやDB(確定給付企業年金)を活用しないといけない状況になっているのですから、そこからマインドセットを変えていかなくてはなりません。

だから経営者、あるいは企業の上層部がこの仕組みとメリットを理解することが大切なんです。そしてDXの導入で、誰でも簡単に手軽に利用できるようにすれば、企業年金に対する壁がなくなり、もっと広がっていくはずです。

「未来を担う子どもたち、次世代を支える若者たちが安心して暮らせる社会の構築」は現役世代の務め

―以前から社長は若者の経済的不安をなくさなければいけないとおっしゃっていますね。
 
若者を見ていて元気がないと思いませんか?元気がないというよりも、欲がないということかもしれません。少なくとも、明日はもっとよくなるとは思っていないでしょう。僕は若者がもっともっと、将来に希望をもてる社会をつくりたいと思っています。
 
でも現実を見ると、今や、働きざかり世代ふたりでひとりの年金受給世帯を支えている。そしていま40代後半の僕らが受給世代になると、ひとりで支えなくてはならないでしょう。
それを裏付けるように社会保険料はどんどん高くなっている。税金と社会保険料が引かれた手取りの給料を見るとガッカリしますよね。そんな時代で若者たちが将来に不安を感じるのも当然です。
 
社会保障をなんとかするというのは、若者たちのために、私たち現役世代の務めだと僕は思っています。
 
―実際にどのような活動が必要だと考えていらっしゃいますか?
 
まず若者に対しては安心して働いてもらえるように、しっかり資産形成をしてもらう。
 
一方で、社会保障費を減らさないといけない。それには現役世代がより長く働けるようにすることです。
 
実際、はぐくみ基金がこれに対応しています。介護現場では60歳以上で働いている方が3割もいらっしゃるんですが、はぐくみ基金は70歳まで入れます。元気に働ける高齢者は少しでも長く働いて、保険料をおさめる側になってもらうなど、社会の変化に柔軟に対応できるような仕組みを提供しています。

資産形成を含め、人生100年時代を「よりしなやかに生きていけるように」

―人生100年と言われ、生き方のマインドは変わりつつあるのかもしれませんが、資産形成に関してはマインドがあまり変わっていない印象があるのですが。
 
そうですね、その通りだと思います。実は最近、ある面白い調査を発見したんです。
 
フィナンシャルプランニングとDC加入者向けアドバイザリーサービスを柱としたアメリカ企業、エデルマン・ファイナンシャル・エンジンズ(以下、EFE)の調査によると、米国企業に勤務する従業員の約60%が将来の経済的な不安により、業務の生産性を低下させているのだとか。
 
そこでEFEのアドバイザーが相談にのり、経済的なアドバイスをします。1時間のコーチングセッションで経済に直結する指導は20%程度で、あとは結婚や出産など、ライフイベントの変化について相談にのり、適切なアドバイスをする。効果は絶大で従業員は非常に安心し、仕事に集中できるようになる。
 
これは示唆に富んでいます。個人が働いて生活しながら、さらにプロフェッショナルな助言をうけて経済的な安心と余裕を持つことができれば、結果的に仕事の効率もアップし企業の業績もアップするのです。人生100年時代に安心して生活していくためには、働き盛りの世代に対しても、金融サポートやアドバイスがより重要となっていくでしょう。
 
さらに健康寿命と平均寿命には9年のギャップがあります。長生きするほど経済的な備えは必要になってくる。60歳、70歳から、よりしなやかに生きていけるような人生設計、そのための金融サポートを提供していきたいですね。
 
―では、最後にベター・プレイスとしての「これから」の思いを教えて下さい。
 
時代を担う子どもたちが貧困に苦しめられることがないように、若者たちが明日への希望が持てるように、そしてやさしい人がやさしいまま生きられる、それだけの資産形成を誰もが当たり前にできるように、できることは何でも挑戦していきます。