フィード・バック

みんな熱を持ってる
みんな動くしくみを内蔵している
電動ハンドスピナーやスーフィー教徒
死にかけのヤスデでさえも
回転体は回転体を内蔵している
回路のなかの回路では行き止まりがない
だから「永遠」があるように勘違いする
でも区別したり認識するということは切り分けることだから
きっちりと句読点がつけられてみんな混みあってるというわけ
意味は微熱をおびて ときたま
鏡写しになった無限の壁に向かって並んだりするけど
だれしもが各々の世界のそとがわにさわれるわけではない
そこで 高校数学の微分について思い出すこと
時間の回し車を存在のとげとげにひっかけて
ミクロとマクロの空間の切りくちに投げかけた
連続する声の模様を読み解くこと
そういうことを考えて ママチャリでコンビニに寄って
たばこの煙の粒子が秋の曇り空に分解する瞬間
世界をてのひらで微分するとはこういうことか?
と ひらめいた
そう 極限に向かって行列をつくること
すきまなく 行列のあいだに行列を積みかさね
その行列の間にも行列をつくり、積みかさね……
もうええわー! 目をとじて残光の疵を追うと
アスファルトを踏みしめて熱をつくるみんなが
自分自身のなかの密度に還っていく
収束と反発 指先ではじけるビッグバン
濡れた路上をタイヤがこする音
そののちの静寂の縞模様
最初の雨粒が触れるときに
日常に引き戻していく
回転体の
速度と
線と


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?