志望理由NG

学校選びの真髄 〜6つの志望理由NG集〜

 こんにちは!子どもと共に未来を育む 共育コンサルタントの金澤です。

 学校選びは「マッチング」だよ、という話をしました。自分自身がどういうことを学校に望んでいるかということと、学校がどんな環境なのかということを合わせて考えれば、自分に合う素晴らしい学校生活が得られるようになる、という話です。  以下が参考記事です:


 具体的な学校選びの方法に入る前に、1000名以上の生徒を進路指導してきた経験から言える「こういう選び方をするとリスクが高い」というNG集をご紹介します。
 あまり自分の学校選びに自信が持てていない方は、ぜひこのNG集を読んでチェックしてみてください。当てはまった場合の対処法も合わせてご紹介していますので、合わせてご参考になさっていただけると嬉しいです!


ポイントは自分の話かハコの話か

 今回は「こんな理由だと危ないよ」という事例を6つご紹介します。全てお読みいただくとわかると思うのですが、ポイントは「ハコ(学校)だけが理由になっていないか」ということです。
 冒頭に学校選びはマッチングだと言いましたが、ハコだけが理由になっているということは、その中に入って自分がどういうことをしたいのか、ということが抜けてしまっていることになります。これではマッチングは成立しません。

 いくら他の人がいい学校だと言ったとしても、自分にとっていいかどうかはわかりません。どれだけ「美味しいよ」とオススメされたレストランがあっても、行ってみたらイマイチ好みの味ではなかった、ということもありますよね。食事だったら今後行かなければ済む話ですが、学校では合わないから行かない、と簡単にはいきません。

 ちょっとでも合わなかったということをなくすために、しっかりポイントを押さえて学校選びをしていきましょう!


「レベル(偏差値・内申)がちょうどいい」

 体感上一番多く経験してきたNGは、「自分の内申的にちょうどいい」「今の偏差値から考えて行けそうなところ」という理由です。

 何がいけないかというと、今の自分が基準になっていることです。中3や高3の12月になって、今から考えなければ・・・という状況なら百歩譲ってまだわかります(それでもあまり良くないですが)。

 でも半年以上あるならば、この理由は見直した方がいいでしょう。半年あっても今の自分のレベルで学校選びをするということは、現状維持を前提としています。その考え方で選ぶと、入学後も現状維持を望むでしょう。

 ところが、受験を経ると新しい学校では周りの人の成熟度や志向性が揃うため、良くも悪くもそれまでとは大きく環境が変わり、現状維持をすることに大きな変化を求められます。学校選びの時点で現状維持を前提にしていると、その変化に対応できず、入学直後から置いていかれる危険性が高いのです。

 また、こういう理由を出す生徒は、「背伸びして高い学校に行くより、少し下げてでも自分にあった学校に行った方が内申が取れて指定校推薦に有利」と考えている生徒も多数います。が、はっきり言ってこの考え方は危険です。なぜかというと、繰り返しますが現状が基準になっているためです。

 授業のレベルも上がり、学習内容も難しくなり、周りのレベルもこれまでとは変わります。自分の進路によっては必要な科目も違うし、内申を取ることも今までのようにはいきません。それなのに、現状の内申をベースにして「この学校に行けば内申が取れる」と考えるのは、学校に入ってから置いていかれる典型的なタイプだとすら言えます。

 ではどうすればいいか。ポイントは「レベルがちょうどいいと、自分にとってどういう得(成長)が得られるのか」を考えてみることです。例えば、

【私は今までの経験から、周りのレベルが高すぎると「あんな風にはなれない」と諦めたり焦ったりしてしまって不安定になってしまうので、実力が近い生徒と競り合って切磋琢磨する方が伸びると考えています】
※そう言える然るべき根拠が必要です

 みたいな感じです。これなら、周りの環境と自分の成長がきちんと結びついていて、悪くないと思います(バッチリではないですが)。

 もしこういうことがないようであれば、この志望理由は考え直したほうがいいでしょう。

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「〜〜部に入りたい」という理由で選ぶ

 部活が重要な観点である、という人は多いと思います。それ自体は悪くないのですが、場合によってはこの理由も掘り下げが必要な場合があります。

 良くない例として、サッカー部に入りたいという生徒の例で説明します。

【貴校はサッカー部が強く、体験入部した時の雰囲気も良かったので、ぜひ入りたいと思いました】

 こんな志望理由の生徒がいると思いますが、これは3つのツッコミどころがあります。「なぜサッカー部が強いことがいいのか」「雰囲気とは何か」「それでなぜ入ろうと思ったか」。一つずつ解説していきます。

 なぜサッカー部が強いといいのか。強いと周りのレベルが高く、試合に出られる可能性も当然低くなります。それだけ指導も厳しいかもしれないし、そもそもたまたま今強いだけで、最上位学年が抜けたら弱くなることも考えられます。公立だったら、指導者が転勤で変わって一気に弱くなったりすることもあります。

 それでもサッカー部が強いのがいいということは、何かしら理由があるはずで、その理由こそ自分のニーズであると言えます。そこをきちんと明確に考えていくほうが良いでしょう。例えばプロを目指していて、レベルの高い環境で揉まれたい、これなら自分のニーズとして良いでしょう。

 次に「雰囲気」という言葉ですが、雰囲気が良いとは何か?ということと、雰囲気が良いことが自分にとってどうメリットになるのかということを考える必要があります。

 例えば、

【小・中学校で上下関係の厳しい雰囲気でやってきて、指示されないとうまくできない自覚があり、それが問題だと思っている。そこで上下関係が厳しくない環境で取り組むことで自主性を育みたい】

 ということであれば「いいね!ぜひ!」という志望理由になります。ただ雰囲気が良いというだけでは、志望理由としては足りなすぎます。

 最後に、「サッカー部が強く雰囲気が良い」ことと「サッカー部に入る」という決断がどうして繋がるか。これを生徒に聞くと、多くの場合「中学校(高校)でずっとやってきたから」と答えます。

 それは事実としてはいいのですが、「中学校(高校)でやってきた」→「高校(大学)でもやる」は本当に繋がりますか? 今までサッカーをやっていたけど、次はバスケットボールでも野球でも陸上でも軽音楽でも将棋でもいいですよね。それをわざわざサッカーを続けるという判断をしているわけですから、何か続ける理由があるはずで、そこが自分のニーズです

 サッカーからどういうことを学んだのか、サッカーでどんな自己実現を今後していきたいのか、さらに先にサッカーに関する仕事や貢献をしたいのか。そのあたりまで考える必要があります。

 中学校まで部活に入るのが当たり前、みたいな風潮があります(これも私はあまり理解できません)が、高校や大学でも部活をやらないといけないなんて決まりはありません。むしろ貴重な学生生活の時間を部活に投資することになるわけですから、それ相応の理由や目指すものがあるべきです。

 なければ他にやりたいことやチャレンジしたいことに時間を振り分けたほうがよっぽど有意義です。

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「文化祭・体育祭に行って楽しかった」

 学校を知る(別項でご紹介します)ことについて、文化祭や体育祭に行ってみることは一つの情報源になります。しかし、志望理由で「体育祭を見て、こんな体育祭に参加したいと思いました」といわれると、やはり心配になります。

 これが志望理由として機能するには、例えば

【私は大きな学校行事で委員長として学校を背負い、引っ張っていく役割を体験したいと考えています。その学校行事は伝統があり、盛り上がれば盛り上がるほどよく、その時貴校の体育祭を見てこれだと確信しました】

 くらいのところまでいく必要があります。本気で自分のニーズがこういうものであれば、文化祭や体育祭で学校を選ぶのもありでしょう。でも、3年間の中で文化祭や体育祭は何%を占めるのでしょうか。おそらく1桁でしょう。たくさんある要素の一つにはなり得ても、これこそ唯一の理由だというためには、よほど強い自分のニーズが必要でしょう。

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「先輩にいい学校だと聞いた」

 先輩、それも尊敬している先輩や部活の先輩が通っている学校の話を聞いて、「いいな」と思う生徒が多いと思います。これはいい学校の選び方だと思いますが、気をつけるべきポイントが2点あります。

 一つは「どの部分をどうしていいと思ったのか」ということ。先輩がいいと思っていることを、自分が本当にいいと思うかはわかりません。

 例えば先輩が「うちの学校楽しいよ」と言ったとき、何が楽しいかはまだわかりません。授業が大変でやりがいがあるかもしれないし、授業がゆるくて楽かもしれない。そこを聞かずに「あの先輩が楽しいと言っているからきっと楽しいんだ」と判断するのは危険です。きちんと、何がどう楽しいのかをはっきり聞いて、その上で判断すべきです。

 もう一つは「悪い点も公平に聞く」ことです。いかにいい学校だとしても、一つや二つはマイナスなこともあるはずです。それを聞くことなく、いい点だけを聞いていると、実態よりはるかにキラキラ見えてしまうもの。そして実際に入ってみると、聞いていない話がたくさんあってショボーン、という話は毎年よく聞く話です。

 先輩は、自分の高校をオススメしているわけですから、放っておいたらいいところしか話しません。必ずこちらから「逆に、ここはイマイチだな〜と思うところはどこですか」と聞いてくださいね。


「先生(親)の勧めがあった」

 先生や親に勧められて、という理由もよく聞くものですが、これが裏目になるケースはどういう場合かお分かりになるでしょうか。

 ここまでお読みいただけたらなんとなくお分かりかと思いますが、これは自分のニーズではありません。先生や親を超絶尊敬していて、その勧め通りに行くことが生き甲斐だということであれば問題ありませんが、そういう人は稀でしょう。

 勧められたときに気をつけなければいけないのは、その勧める理由に自分が心から納得し、自分のニーズと捉えても違和感がないかどうか、という点です。なんとなく「まあそうだよな」というレベルでしか感じないなら、それはおそらく自分のニーズではありません。よく考えて、自分がそれでモチベーションを高められるくらい納得できるか、という基準で考えてみてください。

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「大学進学実績がいい」

 そして大トリはこちら。これ、高校受験限定ではありますが、本当に多い志望理由です。

【貴校は大学進学実績がいいので、大学で高いところを目指す私にはぴったりだと思いました】

 さあ、ここまでお読みいただいた皆様、この理由に「自分のニーズ」という観点で突っ込んでみてください!

 ではいきますよ。

・大学進学実績がいいのはどこに要因があると考えているか?
・大学で高いところ とはどういう大学?
・高いところを目指す というのは何が目的?
・大学進学実績が高いところがピッタリだというなら、他にもっと高いところがあるのでは?

 などなど・・・。掘り下げるべきところがたくさんあります。

 ではどう考えればいいか。方向性が悪いわけではないですし、大学進学実績を重視するなというわけではありません。理由が浅い状態で終わることが問題だと思って、掘り下げていってください。

 例えば、朝から夕方までとことん勉強させて、がっちり管理して成果を出す学校もあれば、学校側からは何も言わず自主性を大切にした教育活動を行い、生徒が底力をつけて成果を出す学校もあります。同じ自主性重視でも、割と放任主義で塾通いが多い、という場合もあります。

 そこで、自分はどういう環境で勉強すると伸びるのか、を考えてみるわけです。管理された方がいいか、自分で決められる方がいいか、先生のスタンスは、宿題の量は、カリキュラムは・・・。こうやって、「自分にとってはこういう環境が理想」と思えるものこそ、自分のニーズです。

 こんな風にちゃんと考えれば、合う学校が見つけやすいし、本当にその学校に行きたくなるので勉強のモチベーションが自然と高まっていくのです。

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まとめ:理由を自分に注目して深めていくことが大事

 以上、志望理由のNG集ということで6つの例を紹介してきました。

 全てに共通するのは、「自分のニーズになりきっていない」ことです。 逆に言えば、その理由をどんどん自分に注目して深めていくと、自分のニーズになって、やる気や良い学校生活に繋がることがほとんどです。

 しっかり時間を使って、今自分がぼんやり考えている志望理由をとことん深めていくことをお勧めします!


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