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べてるの家のメールマガジン「ホップステップだうん!」 Vol.208

今号の内容
・巻頭写真 「第28回 べてるまつり」 江連麻紀
・第28回 べてるまつりダイジェスト 特集
・「伊藤知之の「50代も全力疾走」 第13回 ハッピーバースデー
・福祉職のための<経営学> 070 向谷地宣明 「タコとレンマ」


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2020年のべてるまつりが初のオンラインで開催されました。

べてるまつりが終わったべてるメンバーの数人から連絡がありました。

「どうだった?」「疲れて頭がマイナスになった」「興奮して震えた」「緊張して吐いちゃった」「(自分が)映像だとちょっと太って見えた、やだぁ、もう」

幻覚妄想大会の大賞を受賞されたコロナ大爆発の研究者小柳里映さんからも感想が届きました。

「浦河に来て19年目で初めてグランプリをいただきまして喜びひとしおです。今年は向谷地さんのラジオやミナ(生活介護)での食器洗いやモップがけ、それから世話人のお仕事のトイレ掃除も3か月前から頑張っています。トイレ掃除にはお金の神様もいるとのこと。大好きな上山博くんソーシャルワーカーのおかげでもあります。成長させてくれています。グランプリをもらうことができたのは世界中の皆様それからべてるのスタッフの皆様のおかげでもあります。本当にありがとうございます帰ってきたら血圧が高かった。」

集まれない寂しさはありましたが、学んで笑って、最後の「コロナへの手紙」に込み上げてきた感情に泣けた、そんなべてるまつりでした。

今年はスクショ写真です。


(写真/江連麻紀)

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新刊『弱さの研究 ー「弱さ」で読み解くコロナの時代ー』

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本体価格:1600円+税
出版社:くんぷる
発売:2020年11月中旬

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第28回 べてるまつりダイジェスト特集

昨日(11月14日)、浦河町立総合文化会館で第28回べてるまつりが開催されました。今年は、新型コロナ対策として、初めての無観客オンラインLIVEで行われました。

この日のために、事前に動画を収録したり、バングラデシュ、イタリア、フィンランドともオンラインミーティングを行ったりして準備をしてきました。

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プログラムのはじめとして、まず特別講演を行っていただいたのは作家の高橋源一郎さんです。

○ 高橋源一郎さん プロフィール
1951年、広島県生まれ。明治学院大学名誉教授。
横浜国大に入学後、全共闘運動に参加して逮捕。拘留中の東京拘置所で失語症を患い、そのリハビリとして小説執筆を始める。72年から横浜で肉体労働を10年続け、その間に大学は除籍中退となった。81年『さようなら、ギャングたち』で群像新人長編小説賞優秀賞を受賞、ポップ文学の旗手となる。88年『優雅で感傷的な日本野球』で三島賞を受賞。主な作品に『虹の彼方に』『ジョン・レノン対火星人』『文学がこんなにわかっていいかしら』『ゴーストバスターズ』『あ・だ・る・と』『日本文学盛衰史』など。競馬評論も手がけ、新聞にコラムを執筆、テレビ・ラジオの中継にも出演している。(ラジオデイズより引用)

高橋さんとの最初の出会いは、2011年に横浜のお寺で行われた対談でした。その内容が今月新刊として発行される『弱さの研究ー「弱さ」で読み解くコロナの時代ー』(くんぷる)にも収録されています。

今回の講演のなかでも言われていましたが、高橋さんは次男が重篤な脳障害が残ると言われた病気にかかり、そのことが明治学院大学の同僚だった辻信一さん(ナマケモノ倶楽部)と一緒に「弱さの思想」について考えるきっかけになったそうです。

また、およそ40分の講演のなかで、今年世界中で一番読まれた本として、カミュの『ペスト』を紹介し、その一部を朗読してくださいました。

『ペスト』は、感染症のペストが流行し、死者も大量に出て社会全体が蝕まれたときに、行政組織や医療システムは混乱してうまく機能しないなかで、それまで社会から周辺化されていた人たちが活躍するという話だそうです。
カミュはこの作品で第二次世界大戦をテーマとして重ねて書いたと言われています。
「ペスト」は「外からやってきた敵」ではなく、それは私たちの内側にもある。それは「言葉」だそうです。誰しもが「内なるペスト」を抱えていて、それは拡大し増殖していく。それが例えば「ヘイト(憎悪の言葉、差別や誹謗中傷)」などの「言葉のウイルス」です。第二次世界大戦ならユダヤ人排斥などですが、現代でも「ヘイト」は世界中で人種や移民、特定の外国籍の人たちなどに向けられています。それらはどんどん人に感染って増えていく。ペストなどの病原菌は薬や免疫で治るかもしれませんが、「内なるペスト」は気づかないのうちに人を殺すようなもっとひどい「症状」を蔓延させているかもしれない。
それを防止するための方法はどうしたら見つかるのだろう。これがカミュが伝えたかったテーマのようです。
このような視点は現代においても重要であり、カミュを通じて、そのことに気がつくことの大切さを高橋さんはお話されていました。


次のコーナーでは、事前にイタリア、フィンランド、バングラデシュとつないでオンラインミーティングした様子を流しました。
どこでも新型コロナによる影響を受けながらも、工夫しながらそれぞれの活動を営んでいることを共有することができました。

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