「ホップステップだうん!」 Vol.170
今号の内容
・巻頭写真 「 べてるの春」 江連麻紀
・続「技法以前」144 向谷地生良 「子供の観る世界」
・ 伊藤知之の「スローに全力疾走」96「つながりのレシピ」を観劇して
・「当事者研究手帳術」 宮西勝子
・福祉職のための<経営学> 032 向谷地宣明 「事業」になる人
・ぱぴぷぺぽ通信 すずきゆうこ 「手術」
春になってべてるは新人スタッフが4人増えました。
そして、新人スタッフの当事者研究をメンバーにやってもらっています。新人スタッフが苦労を語って、メンバーに励ましてもらう会です。
その新人スタッフのひとりの苦労が、自分を出せなくて殻に閉じこもり症候群。
自分には殻があるという弱さに抵抗感を感じて、殻をとらなくちゃいけない、とらなくちゃいけない、と悩んでいることを語りました。
そうすると「殻とらなくていいよ。」「そのままでいいんだよー。」とメンバー。
その中でも、いつもぼそぼそと小さな声で言葉が聞きとりづらい話し方のメンバーのSさんが「自分も一緒だよ。・・・・・・。」と、最初の言葉だけしか聞こえなかったそうですが、一生懸命に伝えてくれました。
「一緒に考えてくれて、共感してくれてうれしかった。苦労を話してよかった。Sさんの後半は聞こえなかったけど、一生懸命に伝えようとしてくれたことに感動した。」と新人スタッフは言っていました。
べてるの春は新しいスタッフの弱さの情報公開からはじまりました。
(写真/文 江連麻紀)
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続「技法以前」144 向谷地生良
「子供の観る世界」
4月5日(土)に、札幌市内のコミュニティーセンターの一室ではじめての「子育て当事者研究の集い」が開かれました。これは、当事者研究と出会い、子育てを含めた家族の苦労の研究を始めた二人の母親が、幼稚園に通っているお母さん方によびかけてはじまったもので、当日は16名ものお母さんとその子供たちが集い、私もお邪魔しました。
会場となった和室の入口に向かうと一人の女の子が立っていました。みどりちゃん(4歳)です。呼びかけ人になった母親の一人娘で何度か会ったことがあります。「みどりちゃん、こんにちは!」そう声をかけると、みどりちゃんは思いっきり笑顔で「こんにちは!おじさん“さわやか”だね!」と挨拶を返してくれたのです。私は、みどりちゃんの“さわやか”という意外な言葉と語彙の巧みさに驚き「みどりちゃん、凄いね!」と言いました。
その後、昼食時にみどりちゃんが、私の隣に座ったときのことです。みどりちゃんが、お気に入りのスヌーピーのイラストを見せてくれたのです。「結構、美人でしょ」その一言を聞いた時、私は先ほどの“さわやか”の言葉を思い出し、「スヌーピーが美人だとしたら、私の”さわやかさ”は、どんな感じなんだろう」とあらためて考えてしまいましたが、あらためて子供の感性のユニークさを感じました。
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